中小企業診断士はなぜ“仕事を取り合わない”のか?
「最近、診断士界隈に飛び込んできたけど、なんか変な業界だな」と思ったことはないだろうか。
いや、いい意味で、である。
わたしがこの業界に入ったのは、2009年。
企業内診断士として副業を経て、2010年1月に独立。
正直、最初はかなり不安だった。
営業経験ゼロ、実績ほぼゼロ、頼れるのは登録後の9ヶ月の活動で得た人脈だけ。
「みんな、どうやって食べていってるんだろう……」と漠然とした不安を抱く日々。案件なんて、自分で取りにいかなければ入ってこない。そう思っていた。
でも、実際は全然違った。
“独立宣言”したのが奏功したのか?
気づけば、先輩診断士たちから仕事を紹介されるようになっていたのだ。
「私では手が回らないからやってみる?」「この案件、あなたに合いそうな気がするんだけど」──そんな言葉とともに、次々と声がかかった。
いやいや、まじで?なんで?これ、何かの罠?
最初は半信半疑だったが、次第にわかってきた。この業界、「仕事を紹介し合う文化」がごく自然に存在しているのである。
資格業界といえば、ライバル関係バチバチ!案件の奪い合い!みたいなイメージを持っていたわたしにとって、中小企業診断士の世界は、かなり“異質”に映った。
というのも──
独占業務がない=みんなやってることがバラバラ
そもそも中小企業診断士には「独占業務」がない。
つまり、他士業のように「この業務はこの資格がなければできませんよ」という縛りが基本的にないのである。ということで、診断士は同じ資格を持っていても、やってることが全然違う。
経営戦略の立案支援をしている人もいれば、補助金の申請支援に特化している人、はたまた研修講師やセミナー登壇がメインの人もいる。中には行政の委員や大学の先生になってる人まで。
この「バラバラさ」がライバルになりにくい一因になっている。

「紹介し合う文化」が当たり前にある世界
わたしが独立したての頃、先輩診断士たちは「これやってみる?」とポンと仕事を振ってくれた。自分の知り合いに繋げてくれた。
「いや、こんなおいしい話ある?」って思うかもしれないが、実際は“おいしい仕事”なんてまず来ない 笑。
(言い方は雑であるが)報酬が高いとか、ラクな案件とか、そういうのはベテランの皆さんがしっかり押さえている。
でも、無名のわたしに対して「まずは経験が大事だから」と仕事を回してくれるその文化に、正直かなり救われた。
たとえば、あるとき紹介されたのは、某自治体からの中小企業向け支援事業の資料作成業務。地味だけど、ヒアリングや要件整理のトレーニングにはぴったりだったし、先方との関係性づくりの大切さを肌で学べた。
お金よりも“経験値”を積む意味がわかってきた。
なぜそんなに仕事を回すのか?5つのリアルな要因
では、なぜ中小企業診断士業界ではそんなに仕事を紹介し合うのだろう?
紹介し合うインセンティブが働きやすい業界構造だからだ。
わたしなりに考える、その背景にある要因は、以下の5つだ。

1 仕事が一部の人に集中してキャパオーバーになりがち
人気者には案件がわんさか集まる。物理的に捌けないから、誰かを紹介するしかないのだ。
2 年数を重ねると、単価が合わなくなる
「この報酬でやるのはちょっと……」という案件も出てくる。そういうとき、後輩に任せる選択肢がある。
3 経験を積むことの重要性を理解している
先輩たちはみんな、経験の積み上げがいかに大事かを知っている。「(年齢ではなく歴が)若いうちに修羅場をくぐれ」というメッセージなのだ。
4 得意・不得意がハッキリ分かれる
人によって補助金が得意だったり、講師業が得意だったりする。わたしのように業界特化型もいる。自分の不得意分野は得意な人に振ったほうが効率的。
5 紹介することが“巡り巡って自分のためになる”と知っている
ここが一番大事かもしれない。紹介すれば信頼が生まれ、信頼がまた次の仕事を呼ぶのだ。
「三方よし」が成り立つ仕組み
こうしてできあがった「紹介し合う文化」は、いわば“診断士版・三方よし”である。
本人にとっては、やるべきことにリソースを集中できる。
後輩にとっては、経験という何よりの資産を得られる。
顧客にとっても、「紹介してくれて助かった!」「いい人に会えた」となる。
全員にとってプラスなのだ。
紹介された立場として、いちばん印象に残っているのは、ある経営者向けセミナーで講師を務めたときのこと。独立まもない頃だった。
初めての登壇でガチガチに緊張した。喉はカラカラだし、変な汗は出るし、声も震えるし。
それでも、「あのとき引き受けてよかった」と今でも思っている。あの経験があったから、その後自信を持って経営者向けの講師案件もこなせるようになったのだ。
結論:いい業界だから、もっと紹介しあおうじゃないか
中小企業診断士の世界は、確かに実績主義ではある。仕事を得るためには信頼と経験が不可欠だ。
でもその一歩目を踏み出すために、誰かが背中を押してくれる文化がある。
この業界の“紹介し合う文化”、もっと誇っていいし、もっと活用していこう。
せっかくなら、「あの人に任せてよかった」と言われるような存在になりたいものだ。
だからわたしも、後輩に仕事を振れるように、日々がんばっているのだ。
おもしろかったら、“スキ”や“シェア”、お待ちしています!
独立間もない頃のエピソードはこちら
↓
このnoteについてはこちら
↓

いいなと思ったら応援しよう!
チップは不要です。
また読みたくなったら、戻ってきてね🫶