“完璧”より“隙”がある人間の方が、仕事もうまくいくという話
今日は、年齢を重ねるほど必要だと思われるスキルの話をしたい。
若さゆえの完璧志向と“ツッコまれる隙”ゼロの日々
半月ほど前、元ミクシィCEOで起業家・投資家の朝倉祐介さんのVoicyを聴いたところ、わかりみが過ぎる内容だった。
ミドルエイジの憂鬱「ツッコミ」から「ボケへの跳躍」
タイトルからして、ハッとさせられる。
わたしは若いころ、とにかく「隙を見せたくない人間」だった。
ツッコまれることが怖くて、一切ミスを許さない完璧主義。
それは自分の余裕のなさや、自信のなさの裏返しであった。
ネイリストとして、繊細な技術を求められる現場では、「できない自分」を見せるなんて考えられなかったのだ。もちろん、売上目標を達成できないなんて、あり得ない!
そんなわたしは、自分ができることについては、「なぜ他の人はこんな簡単なことができないのだろう?」と、ついついイライラしてしまっていた。若いころのわたしは、完璧主義という鎧で身を固めようとしていたのだ。
“器用貧乏”の誤解 —多才さこそ武器である

そんな20代だったわたしに、ある日、会社の上司がはっきり言った。
「まどかは器用貧乏だ」と。
“器用貧乏”とは、何でもソツなくこなせるが、どれも中途半端で、突出した成果を出すのが難しい人のこと(裏を返せば、「なんでもできる才能がある」という強みでもあるが、この場合はネガティブな方を指している)。
会社員時代のわたしは、何でもそこそこにこなすタイプだったので、(個人としての)目標も定まらず、飽きも早く、一つのことに集中しきれていなかった。努力が分散しがち、その現実は痛いほどわかっていた。
でもだからこそ、多才さを自分の強みにするべきだと思い込んでいた。
独立コンサル転身で訪れた転機 — 完璧な自分からの解放
その傾向は、30歳ぐらいまで続いた。
しかし、美容業界から独立してコンサルの道に進んだことで、自分を一段、手放さざるを得ない状況に追い込まれた。
そこは、得意も専門性もバラバラな人々が集まる“多様性の世界”だった。「この人たちと競うなんて、烏滸がましい」と本気で思った。
学ばせてもらう立場に徹せざるを得なかったのだ。
そのとき、わたしはようやく大切なことに気づいた。
「優れた自分であろうとするプライドを手放そう!」
その瞬間こそが、転機だったのだ。

“不完全さ”をさらけ出す勇気 — ボケ力(りょく)のススメ
確かに、不完全な自分を見せるのは恐怖である。
でも、背伸びしてしまった後には仮面が剥がれ、誤魔化しは通用しない現実がそこにある。
そこで思うのだ。周りの優れたところを認め、パクる・真似る姿勢のほうがずっと健全だと。
若いころはツッコミ(完璧主義的態度)に流れてしまいがちだが、ミドル以降は“ボケ”を解放する余裕と強さ(寛容で柔軟な態度)が必要だと思う。
講師という役割で見つけた“ポンコツ力”の輝き
現在、わたしは講師という立場にある。
例えば、資格の学校TACでは、中小企業診断士1次試験の財務・会計を担当している。
では、本試験問題を解けば、いつでも100点を取れるのか?
現実的には、90点以上取れれば合格ラインだと認識している。
(講師でも未知の領域から出題されることもあるのだ)
2次試験事例Ⅳの計算一つとっても、TACの教室には、その能力に長けた人も多く、わたしより計算そのものは得意な受講生も珍しくない。
(研究開発業務に関わっている人は相当えぐい)
本質的に、診断士試験は高度な計算力を試す試験ではないので問題ないのだが、以前は講師だったら全部の問題を解けるのだろうと思い込んでいた。
しかし、80分という制限時間内では限界がある。
最近では、難解な問いについてはAIに頼る場面も増えて、「一緒に学ばせてもらう」感覚すら味わっている。エピソード記憶として残るので、得した気分になるのだ。

こんな不完全なわたしに対しても、教え子たちは「先生」という立場で信頼してくれる。 わたしはその理由の一つに、ボケ力(りょく)―言い換えるなら“ポンコツ力”の効用があると信じている。
“ポンコツ力”は愛嬌、孤独を避けるスキルである
このポンコツ力、特に合格後の教え子たちとのつながりに効果を発揮する。
合格したら、同じ診断士仲間だ。それでも彼らにとってはわたしは“先生”で、どうしても気を遣わせてしまう場面もあるだろう。それでも、煙たがられている感じはしない。むしろ、いじられてなんぼだとも思っている。
親しい友人からも、「まどかさんって意外とポンコツだよね」と指摘されることがある。
つい先日、旅行先では「事前の段取りだけして、現地では何も調べないわたし」が露呈した。現地に着いたら、そこからは友人にお任せだ。
ぼーっとしていたら、友人が「そうだ、まどかさんは何もしない人だった!」と急いで自分のスマホでマップを開いていて、笑った😆
わたしは、プライベートでは20代~60代まで幅広い友人がいるが、年下の友人といるときほど、(ほんの少し意図的に)ポンコツ力を発揮する。
彼らは「もうしょうがないなあ」と言いつつ、自ら段取りをしてくれる。
「自分は完璧!誰にもツッコませない!」という雰囲気を醸し、ツッコミ力が突出している40代以上と、必要以上に積極的に関わりたいという人は、果たしてどれだけいるだろうか?
ポンコツ力があることでこそ愛嬌が生まれ、人との間に温かいつながりができるのでは、と思うのである。

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