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新しいわたしの7月は、子宮の底に溜め込んだ暗黒物質を出してから始まった。

7月というお題。
7月。7月かぁ⋯⋯
なんか面白いことあったかなぁ?
自転車ごと田んぼに落ちた話とか?
小学生の頃、水泳の授業で嫌いな女に負けたくなくて、息継ぎを我慢して25m泳いで死にかけた話とか?
⋯⋯面白くする自信がない。
そもそも7月の出来事なのか、記憶がない。

そう、クロサキナオさんの企画。
毎月締切ギリギリになって頭を悩ませている。
わたしの思い出は、明確に月と結びついていないものが多いらしい。
わたしはお題があると「うるせぇ、好きに書かせろ」となって書けない人間だ。
でもこの毎月にまつわるエトセトラ、という広いお題なら書けるかもと5月から参加させてもらっている。

そんなとき、はしさんのこちらの記事を目にした。

そうか、創作大賞で書けばいいんだ。
わたしの今年の7月で間違いなくいちばん大きなウェイトを占めている出来事なのだから。
はしさん、ありがとうございます。


投稿から1週間が経った。
こんなにたくさんの反応をもらったこと自体が初めてで、本当に自分の書いたものなのだろうかと信じられない気持ちでいる。
普段交流のない方、そもそもわたしのことを知らなかったという方からも🩷、マガジン追加、コメント、感想記事を寄せていただき、「自分のために書くけど、もし必要な方がいたら届いてほしい」という目的は達成されたようにも思う。

自分のために書く、というのは、いい加減あの日々に自分のメンタルを引っ張られるのをやめたい、というところからのスタートだった。
わたしが不妊治療を始めたときは、「治療したら可愛い我が子に会えました」という話ばかりで、自分も絶対そうなれるのだと思っていた。
40代後半、芸能人だと50代でも産んだという話もあって、30代になったばかりの自分たちには失敗する要素なんてないと思っていた。
でも、現実はそうじゃない。
騙されたというと語感が強すぎるけれど、本当にそんな気持ちだった。
治療したからといって、誰もが我が子を抱けるわけじゃない。
治療のさなかにいたときですら、そんなことは知らなかったし、自分がそうなるとは疑いもしていなかった。

確かに語りにくいことではある。
でも、治療を始める前に知識としてではなく、当事者の言葉として知っていたのなら、万が一のときの立ち直りは違っていたのではないか。
数百万円単位の現金を失い、10kg分の贅肉が増えたのは自分だけじゃないと分かっていたら、あそこまで孤独ではなかったのではないか。
誰も語らないのなら、わたしが書くしかないと思った。
書いて、一旦の区切りをつけて、先に進んでいこうと思った。

だから、同じように不妊治療が実らず絶望の淵にいて、身動きが取れない人を想定して「必要な人に届いたらいい」と考えていた。
その想定を遥かに超えて、いろいろな立場の方に読んでいただけた。
届けたいと思って下さった方がいて、広がっていった。
わたしひとりの力ではこうはならなかったと思う。
本当に感謝してもしたりない。ありがとうございます。


わたしの大好きなエッセイストに、こだまさんという方がいる。
こだまさんが著書の中で、こんなことを語っている。

2016年10月、出版に先駆けて見本本を読んでくださった雨宮まみさんから感想をいただいた。
「一生に一度しか書けない文章っていうのがあって、これはまさにそれなんだけど、それを書いちゃったら終わりかっていうと、書いたら次も書ける。びびって書かない人は、ずっと何も書けない」

(中略)

「ちんぽ」を出したわたしは、溜め込んだものを出し切り、抜け殻になっていた。恥ずかしい部分を全部見せてしまった。もう語りたいことが見つからない。小出しに書いていけばよかったんじゃないか。そんな後悔をしていた。

『夫のちんぽが入らない』 文庫版エッセイ「ちんぽを出してから」より

もう何冊も素晴らしい著書を出しているこだまさんと比較するなんておこがましいにも程があるのだけど、わたしがあのエッセイの第一稿を書き上げたときは、まさにこんな気持ちだった。
もう何も書けない。皆さんに読んでいただきたいものがない。語れることなんて何もない。

あれはわたしにとって、まさしく「一生に一度しか書けない文章」だ。
あれ以上のものなんて、もう出せない。

出したあと、自分に何が残っているのだろうと思うと、怖くなった。


だけど、わたしはやっぱり書くことが好きだ。
語りたいことなんて何もなかったとしても。
「記事を旅立たせてやれ」「これ以上自分の記事に引っ張られるな」と叱咤して下さった方もいた。

だから、次のエッセイを書いた。
2200文字の、軽いもの。

書けた。ちゃんと、書けた。わたしにも語れるものがまだあった。
近々出したいと思う。

アイコンを変えただけで「新生⭐︎めぐみティコ」なんて言っていたけど、ここから本当の新しいわたしになる。


感想記事、今週もたくさんいただきました。
感想に感想を書くのはどうにもやぼったい気がして、ご紹介だけにとどめさせてください。
ありがとうございます。何度も繰り返し読ませていただいています。
viewがすごく回っていたりしたら、それはわたしの仕業です。


これまでにいただいたものは、こちらのマガジンに収録させていただいています。


「傷つけたらどうしようと思っていました」「何度も書くのやめようと思いました」と感想を下さった何人もの方に言われました。
気を遣わせてしまって申し訳なかったです。
何を書かれてもわたしは大丈夫です、と今は言えます。
読んでくださった方が、何を思ったのか、どんなことを考えたのか、そちらの方に興味があります。自分の気持ちなんかよりも。
本当にありがとうございます。


トップでご紹介いただきました。
コメントのお返事もね、すごく励みになりました。
もしかしたらそういう未来もあるかもしれないなぁ、と思えました。
ありがとうございました。


☀この記事はクロサキナオさんの企画参加記事です☀
#クロサキナオの2024SummerBash

https://note.com/kurosakina0/n/nca6ac9a35baa


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