9ヶ月間、多言語でKindle出版してみて、うまくいかなかった話──AI翻訳は魔法じゃなかった
9ヶ月前から、多言語出版を始めました。
母国語である日本語をはじめ、いくつかの言語にAI翻訳し、Kindleで本を出してきました。
「え、なんのために?」
——楽しいから。
始まりは、とても単純でした。
日本語で書いた文章を、AIで英語に翻訳したときの感動です。
確かに自分の言葉なのに、
英語という衣装をまとった瞬間、
まるで別の人が書いた文章のように見えた。
それが、妙に面白かった。
去年の夏、GPT-5にアップデートされて翻訳精度がさらに上がった頃、
ふと思ったんです。
英語だけじゃなく、
他の言語にしたら、どうなるんだろう?
それはまるで、服を着替えるような感覚でした。
黒もいいけど、オレンジもいい。
白やブルーも着てみたら、もっと面白いんじゃない?
そんな軽いノリで、言語を増やしていきました。
正直に言うと——
ちょっと、調子に乗っていました。
AI翻訳があまりに自然で、
「これ、いけるんじゃない?」と思ってしまった。
収益はどうだったか
ほぼ、ありません。
先日も「アメリカでロイヤリティが発生しました」というメールが届いたのですが、
金額は……3円。
スタバでお茶もできません。
でも、最初から目的は「稼ぐこと」でも「バズること」でもありませんでした。
ただ、
👉 自分の言葉は、どこまで届くのか
それを確かめたかっただけです。
実際にやったこと
使用AI
• Monday
• GPT-5.2
(ChatGPT有料プラン:月3,000円)
無料版だと直訳調になりやすいため、
有料版でローカライズされた文学表現になるよう調整しました。
対応言語
• 日本語
• 英語
• フランス語
• スペイン語
• ポルトガル語
出版数
• Kindle:20冊
• Kobo:1冊
表紙
• 外注なし
• GPTs(Glibatree Art Designer)でAI生成
④ うまくいかなかったこと(ここが本編)
● Kindle本と洋書カテゴリーを間違えていた
今日わかったのですが、
日本語以外の本を、日本のKindle本カテゴリーに置いていました。
今さら・・・。知った時のショックをお察しください。
要するに、日本の本棚に置いている状態です。トホホ
本来は「Kindle洋書」に置くべきだったんですね。
約8ヶ月、気づきませんでした。
● 市場に届いていなかった可能性
言語を増やしすぎて、
マーケティングが雑になっていたのも事実です。
● 言語ごとのアルゴリズム差
不思議なことに、
多言語を出すたびにアルゴリズムの反応自体は悪くなかった。
でも、それが売上にはほとんど結びつかない。
数冊売れる程度でした。
● フランス語は、思ったより弱かった
私が一番好きな言語はフランス語です。
リアルでは話せないのに、AI翻訳だと出てしまう——
そこに、完全に調子に乗っていました。
現実のフランスは紙文化が非常に強い。
無名の異国作家がKindleで読まれる土壌は、正直かなり厳しい。
🇫🇷 フランス語
• 文化的相性は良い
• でも Kindle が弱い
• 紙・書店・文学賞中心
• AI翻訳は嫌われやすい空気
👉 好きでやるならOK。戦略言語ではない。
🇪🇸 スペイン語
• 母数は多い
• 国ごとの差が激しい
• KUは英独ほど強くない
👉 2言語目以降なら検討。
🇵🇹 ポルトガル語
• ブラジル市場はある
• 文学ジャンルは厳しめ
• 偶発ヒット型
👉 実験向き。主軸にはしにくい。
● KoboのAI表紙NG問題
フランスではKoboが強いと聞き、挑戦しましたが——
AI生成表紙はほぼNG。
申請しても即取り下げ。
販売できてもレコメンドが非常に弱く、1冊も売れませんでした。
さらに、Koboに出すとKindle Unlimitedが使えない。
結果として、現在はKobo販売を停止しています。
⑤ 日本語版への回帰
意外だったのですが、
レビューを書いてくれたのは日本の読者でした。
「ぜひ、日本語で書いてください」
その一言に、何度も救われました。
Xやnoteで出会った作家仲間、フォロワーさんの応援も大きかった。
もしそれがなければ、
きっと途中で書くのをやめていたと思います。
で、結論
9ヶ月、多言語出版をしてみて思ったこと。
• AI翻訳はすごい
• でも魔法ではない
• 簡単に世界に届くわけでもない
それでも——
今日、新しくドイツ語で小説を書きました。
なんだそれ、と思われそうですが、
やっぱりやめられないんです。
1円でも、読まれるかもしれないから。
たぶん、Kindle病ですね。
ドイツ語版「やわらかい火」*KU(Kindle Unlimited)の方は読み放題です。ドイツ語ですがw
今後の方針:3言語に絞る
🇯🇵 日本語=根っこ
• 一番深く書ける
• 感情と「間」の精度
• 既存読者と信頼の積み重ね
🇬🇧 英語=世界への入口(長距離走)
• 競争は激しい
• でも読者数は圧倒的
• romance より literary / quiet fiction 向き
👉 今すぐ結果を求めない。
🇩🇪 ドイツ語=いちばん現実的な海外市場
• KUが強い
• 静かな文学・心理描写が読まれる
• 翻訳文学への耐性が高い
• AIを「補助的思考装置」として受け入れやすい文化
最後に
多言語出版は、
稼ぐための近道ではありませんでした。
でも——
自分の言葉が、どこまで届くのかを
身体で確かめるための実験だったのだと思います。
① とりあえず、やってみる(試す)
② なんで上手くいかないんだろう?(検証する)
③ じゃあ、やり方を変えてみよう(修正する)
——いまは、③の途中です。
「トライ・アンド・エラー」は、たぶん私の座右の銘です。
きっとこれからも、私は書いてしまうと思います。
静かに。
地味に。
検証しながら。
これは
「稼ぐためのノウハウ」ではなく、
「創作 × AI」の実験記録として、
どこかの誰かに届けばいいなと思っています。
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