90年代大阪のレコード店ソレイユの記憶──DANCE MANIAのゲットーハウスと未知の音に導かれて
先日、初めて12インチを購入した時のことを書きましたが、僕にとって忘れられないお店があります。
大阪市北区・曾根崎2丁目あたりの小さなビルに、ソレイユ(les disques du Soleil)というレコード店がありました。
90年代に大阪で新譜レコードを買っていた方なら、ご存じの方も多いかもしれません。
印象的だったのは、オレンジ色の厚手のショップバッグ。

あの袋を思い出すと、当時の空気
――湿ったビルの空気や雑居ビル特有の匂いまで、ふっと記憶が戻ってきます。
店内は、とにかく濃い、そしてマニアックなセレクション。
通っていた人それぞれに「ここで出会った1枚」がきっと違うだろうな、と思うほど、独自の世界がありました。
🎧シカゴのDANCE MANIAとの出会い
僕にとってのソレイユの“聖域”は、シカゴのゲットーハウス。
DJ FUNK、TRAXMEN、Paul Johnson、DJ DEEON、DJ Milton……いわゆるDANCE MANIAのレコードです。
90年代半ばのDANCE MANIAは、ハードなテクノから卑猥なボイス連呼のチープで粗削りなトラックまで幅広く、いつも「聴いたことのない12inch」を買うワクワクがありました。

当時を代表するDANCE MANIAの数曲を挙げると―
Robert Armani『Circus Bells』
Hardfloorのリミックスも有名です。
Traxmen Presents Mark Bernard『 Load』
とてもシンプルで力強いトラック。
Traxmen『Wet Floor』
Jeff MillsのMIX-UPでも選曲されていました。
D.J. Funk #1『Work That Body』
こちらもJeff MillsのMIX-UPでも選曲されていました。
Paul Johnson『Feel My M.F. Bass』
これは当時買った中でも群を抜いて好きなトラックでした。
Wax Master Maurice『Stop Screaming』
田中フミヤのMIX-UPで異彩を放っていました。
💿DANCE MANIAのCD
そして、簡素な作りのDANCE MANIAのCDたちも購入しました。

ソレイユにはDANCE MANIAの新譜もバックカタログも豊富にそろっていましたし、気さくな男性店員さん(店長さんだったのかもしれません)は、僕がお願いした過去作の取り寄せにも笑顔で対応してくれて、本当にありがたかったです。
🎧ソレイユで知った音楽たち
レジ前の棚にはサイケアウツのカセットなどもありました。
のちに“ナードコア”と呼ばれる流れにつながっていく存在です。
僕はその方面に深く踏み込みはしませんでしたが、一度Bayside Jennyのイベントに大勢で行き、クラナカのDJがやけにかっこよかった記憶があります。

店全体のセレクションはとにかく“濃度”が高かった一方で、普通の新譜もちゃんと置いてありました。
店内で流れていたHerbert & Dani Siciliano『So Now...』やNightmares On Wax『Carboot Soul』衝動買いしてしまったのも、ここでした。
(ということは、1999年までは通っていたようです。)
ときにはウェアも入荷していて、Basic Channelの薄いグリーンのTシャツを買ったこともありました。
ここではDance Mania等のゲットーハウスを中心に大量に買いました。財布は軽くなりましたが、心は確実に豊かになっていました。
京都にも支店があったようですが、そちらには結局行けずじまい。
いつの間にか足が遠のいてしまい、友人から「閉店したよ」と聞いたときは、胸がすこしきゅっとしました。
🏬思い出のレコード店たち
あの頃の大阪には、まだたくさんのレコード店がありました。
阪急東通り商店街のLPコーナー。
名前も思い出せない、あの角の店。
通りを曲がった先のビル2階にあった小さなお店。
日本橋電気街のあの裏通りにあった店。
一見気難しそうだけれど、気さくに話すようになった店主のお店
大阪駅前ビル(1〜4)をめぐるときに必ず覗いていた、あの場所たち。
あのお店たちは、今ではほとんど残っていないのかもしれません。
でも、僕にとっては青春の1ページ…どころではなく、
1〜3章分くらいの厚みがある、大切な記憶です。
