就労支援を受けている人が就職の壁になりやすいポイント(本人にどうしようもないものもある…)
就労移行支援で支援員をやっていて、就職でつまづきやすいところ。上手くいかない状態が続いてしまうポイント。
それは、前の記事で書いた「就職しやすい人」の逆、というのはそうなんですけども、こちらに書いてない事項もある。
そしてそれは本人の責任じゃなくて社会の責任の面も大きい。
今回の記事では、そこを書いていきます。
前の記事よりもさらに世知辛くなるのですが……。
◆前置き◆ ここに当てはまっていたからと言って自分はダメなんだと思わないでね。環境が悪いとか、そうならざるを得なかったとか、自分ではどうしようもないとかあるから。
はい。
当てはまっていたからと言ってダメとかじゃない。悪いとかじゃないです。しかし、残念ながらこの社会は、悪くないのに酷い目に遭う事がそれなりにあります。自分の責任ではない=自分でどうにかできるものではない、そういう要素で就職が厳しくなったりする。
だから、当てはまっていたからもうだめだ、とは思わないでほしい。大体、当てはまっていたからって「就職しやすい要素」もたくさん持ってるのにそれが見えてない人も居るでしょう。最後は結局個別の話です。
それでも、「そこはネックになりやすいのか……」と気付く事。「え??そんなとこ??」っていう、気が付いたらうまくカバーできる事もある。
事実というのは残酷なものですが、そこを知ってこそ、対応ができる。今回の話は、知って、自分の就職について正しく把握し、そして就職できる率を少しでも上げるものにしてもらえるようにと思っています。
1:他責してしまう(本人は自責のつもりの場合も)
えー、これが不動の一位ですね。
他責する人は企業がとにかく忌避します。そりゃあそう。特に障害者雇用の場合、戦力をそんなに求めてない場合がある。
え?障害者雇用の話「手帳を持った健常者が求められてる」「配慮してやるから効率を出せ、戦力になれ」っていう話が溢れてるよ、って?
そういう職場も少なくないけど、意外とそればかりじゃないです。
そういう嘆きを見ていると、就労移行支援とか就労継続支援とか、支援施設を使ってなくて支援員がついてないのかな……?って思いも出ます。それか地域性。やっぱ東京とか大阪は求人多いです。フルリモート求人って多くが東京本社だし……
割と、作業速度がゆっくりだとかミスが多いとかなんかちょっとやらかす(人間関係ではなく、忘れ物とか皿を音す的なわざとじゃない器物破損とか)とか、そういうのはどうでもいい。っていうかそれは障害者雇用に限らないと思う。私もミスはいっぱいするし……
で。
例えば、仕事のやり方が分からなくてパニックになり、質問してもあんまし分かりやすい答えが返ってこず、更にメンタルが悪くなって泣いてしまった。
こういう場合、ここまでは別にいいんですよ。
私には病気・障害があるのに、仕事のやり方を綿密に教えてくれない。質問に対して常に的確に返してくれない。配慮が足りない!
ってやってしまうのが問題。
これ、実際に「その質問にその回答は、企業の人、ちょっと配慮足りないな……」って思う事は割とあるんですよ。
でも、配慮が足りない!って怒りだした時点でおおむねアウトです。
これは、クレーマーを思い浮かべると分かりやすいと思います。言っている事が全く的外れなわけではないクレーマーも居ますよね。何が問題かと言えば例えば「商品に初期不良があった!土下座して謝れ!」というやつ。初期不良があったなら交換か返品を求めればいいのに、土下座を求めている。
これも「謝れ」まではまあ、そうね、でもその言い方さぁ……っていうところもある。
つまり、本来0か100かではないです。ないですが、相手を責め立て始めた時点で0です。
いや、わかりますよ、その責め立ててしまう行動パターンも含めて、その人の背負ってるしんどい事で、成育歴や病気が関わる事です。でも、クレーマーにも事情があるよねきっと生活しんどいんだろうな、って思えます?
クレームじゃない?配慮を求めてるだけ?
クレーマーも多分そう思ってます。
そう、クレーマーに見えちゃうんです、責め立て始めたら。
会社で配慮がもらえなくて困ったら、まず、支援員に相談してほしい。何故かといえば直接言いに行ったらだいたい感情まみれになり、感情まみれになった時点で企業、っていうか、担当の職員は怯えるか防衛するかになり、「どう配慮しよう」ではなく「あの面倒な人をどう対応しよう」になります。
……ですけど、あの障害者雇用担当の企業職員分かってない!ひどい!という時、直接対決しちゃうんですよね、多くの場合。
支援員が信頼を得られていないと言われればそれまでで、申し訳ないというしかないですが、でも、そこで落ち着いて、第三者に話してみて整理する。ができない人は企業は忌避します。企業っていうか担当の職員が。
企業の従業員も人間だし、そして「障害者雇用担当にされたけどろくな研修は受けてない」というような要配慮状態の人間だったりする。
そんなの知るかよ、配慮しろよ、って?うん、正論ですけど、正論って嫌われるんですよ。
そして、このように相手を責めるのではなく「何もしてもらえなくても仕方ないですよね、私って嫌われ者だから」とかになる人も居るんですけど、これ、他責ですからね。
「あの人達は、障害や病気を理由に人を嫌う人間である」ということを言っているので。そしてこの言葉にはほぼほぼ「こんな私でも嫌わずに優しくしてくれるのが正しい人間の姿なのに」というニュアンスが含まれています。
本当の本当に「私はどんな聖人にも嫌われる」というのなら、なぜ嫌われるのか理由を述べる事ができなくてはなりません。理由なんてないよそういう星の元、って言われちゃうと、え、絶対悪?居るだけで全ての人間に嫌悪をもたらす?それって負の方向だけどめちゃめちゃ特別な人間って名乗ってるよ?ということになります。
この辺はもはや、別途記事にした方が良いような心理的な複雑な話なので今回はこの辺にしておきます。
しかしとにかく、就職が上手くいかない人、支援員視点から見ると人を責め立てる人が多いんですよ。
病気や障害でしんどいのは分かります。そしてそこへの企業配慮が足りていないのも正しいです。正しいんです。
でも、貴方の病気や障害は貴方のせいではないが、企業のせいでもないんですよ。企業が全てを背負って当たり前というのもまた違うんです。
2:愛想がない
ほらきた発達特性持ちで表情が動かなかったり空気が読めなかったりする私をいじめに来たな? って思った人、ちょっと待ってください。
そこじゃないです。そこもあるのは否めないけど、でもそこはぜんぜん本質じゃないです。
たとえば、表情が動かない。なるほどそれは障害特性です。
でも「表情があまり動かない障害特性がありますが、内心では皆さんの事を仲間だと思っていますしいつも感謝していますよ」って口に出すことをしないのは別問題です。
え?そんな思ってもいない事言えない?周りを仲間とは思ってないし感謝なんかしないよ仕事でしかないでしょ、って? ……それを言ったら相手が傷つくと思いませんか?思わない? いや、多くの人間は「所詮仕事」と言いながらもそこでの人間関係にメンタルを左右され、言われたことをずっと気に病み続けるんですよ、障害や病気の有無に関わらず。
ていうか、本当の本当に仕事の同僚が心の底からどうでもいい人は病まないし傷つかないので文句も言わないし、苦しんで退職もしないんです。
仕事の人間関係に苦しみ、いつもなんでか疎まれて仕事が続かない、という人。なんでか、職場の人間の事なんてどうでもいいって言うんですよね。
ぜんぜんどうでもよくないじゃん?っていう。
愛想を出す努力を一切しないのに、同僚には愛想を求めてるんですよ。
空気が読めない、も同一問題です。
「空気が読めなくて、ズレた事言っちゃってる事もあると思う。表情や場の空気が読めなくてすみません、でも、いつもカバーしてくれるみんなに感謝しています」って言わないのが問題。
これを「空気読めないのは障害特性なんだから許してよ!」っていうのが他責です。 え、障害なのに、って? 確かに障害は貴方が持ちたくて持ってるものではない。 でも、同僚が障害を負わせたわけじゃないですよね。 空気が読めない人間が仕事のチームに居る場合、チームメンバーはだいたい、その人間を常日頃許し、許容し、サポートしてるんですね。
空気が読めないからそれにも気付かないという地獄が発生しますけど、でも。空気が読めない自覚があるなら、なんで「私、最近空気読めないことして困らせてる事ある?出来るだけ気をつけて、適切なふるまいを覚えていくから教えてほしい」って言わないんですか?
空気が読めないのは自分が悪いんじゃないから、そんな自分で勉強したくないし周囲に聞くような手間なんてかけたくない?
これは障害や病気とか全く関係なく、人間は基本、人のミスは許すし苦手もカバーしますがミスや苦手を自ら対処する姿勢がなく改善の姿勢がない人間の事は許さないです。
え、努力してるのに。 っていう人は、残念ですけど、たいてい努力の方向間違えてます。
空気を読む努力をするんじゃないんです。読めないんだから。サポートされてるかどうか分からないのも仕方ない。分からないから聞けばいい。なんで聞かないの?って事です。
聞いたら時間を取らせて迷惑かけるって?……残念ですけど、聞かずに大やらかしする方が迷惑なんですよ。迷惑をかけてきた側の空気読めない私が言うんだから信じてほしい。
でも、じゃあ、私は迷惑ばかりなのかって?
そこは簡単でね。
感謝を伝えましょう。
人間は、困ってる人を助けて感謝されるのがものすごく大好きな生き物なので、貴方が感謝をするだけで、迷惑を上回ってお釣りが出ます。
感謝しましょう。感謝を口で言いましょう。できれば、感謝のために表情を練習するくらいがちょうどいいです。
え、感謝とか恥ずかしい? 恥ずかしいのは貴方の都合です。相手の都合じゃないですよね。自分の都合ばかり優先してたら嫌われるのは当然ですよね?
え?感謝なんかしてない? 貴方の障害は、貴方の責任じゃないけど同僚の責任でもないのにいつも助けてくれるのに?
……正直仕事は粗いし遅いし、なんやかんややらかす。でもいつもニコニコしていて周囲に感謝している。そういう人、だいたいスッと就職していくんですよ。
3:勤怠が安定してない
安定してないから病気なんだよって?
はい。重々承知してます。前の記事にも逆方向から書いています。
しかしこれすらも、
それ自体よりも「認識のなさ」が致命的だったりします。
どういう事かというと、調子が良ければ週4来るけど、ダメな時は週1になる状態の人がね。週4の求人に応募しようとするのね。
就労移行で支援してると、これがね、かなり多いんですよ。
仕方なくはあるんです。人間、自分が一番調子のいい時を基準にしてしまいますからね。
でも、1ヶ月で、週4の時と週1の時があったよね、って振り返りで面談するんですけど「調子が良ければいけるから」で週4に応募しようとするんですね。……とはいえ「絶対にこれ応募する!!」って言われたら、支援員は止める訳にはいかないです。本人の希望ですし、通るかどうかは企業側次第だし、未来予知なんてできませんから、仕事に実際行けばやれてしまう可能性を0とは言えないから、挑戦を阻害するわけにもいかない。
……で、就職できてしまって、でも短期間で辞めてしまい、事業所に戻ってくる。いや、戻ってきてくれたら全然いいです。出戻りなんて合わせる顔がないって戻ってくるのさえ嫌になる人も少なくないので。
勤怠が安定しないから病気なんだよ障害なんだよ、わかります。
でもそれなら「いける時は週4行けるけど、調子が落ちると週1でも無理になります!」って宣言して面接に挑んでほしい。
通るわけないって? まあほぼ通らないですが、それで通った場合は企業にちゃんと配慮を求められますよね。
自分の状態を、きちんと把握して、相手に適切な言葉で伝える。
それが出来ていない、っていうの、勤怠よりも致命的なんですよね。
え?正直に言ったら面接落とされるもん、私は早く働かなきゃいけないんだから嘘ついてでも面接通りたいって?別に私はそれを否定しませんけど、嘘ついて通っても、求められるのはついた嘘の通りの勤怠ですよ?
じゃあ、調子が安定しない私って働けないじゃん!って?
……残酷ですけど、そうです。不安定の度合いにもよりますが。
その場合、働く事よりも、生活保護や障害年金を申請する事の方に時間と力を向けた方がいい事も、あります。
自分の状態を、残酷で、理不尽な事であっても、きちんと理解すること。それが出来ていないと働くのは難しい。
これね、仕事を振る側の事を考えたら分かりやすくなると思うんです。
「この人に、3日くらいで出来る仕事を頼みたい」という時。週4で働く事になってる人に頼むかどうか。普通は頼みますよね、え?期日による?そうですねこの場合2週間くらいだったりするんですよ。
そう、週4のはずが週に2回休んでも、まだいける程度で振る、でもそしたら1日も出社してこない。
そしたらさすがに頼めない。
……あとこの例だと、週に1回しか出勤できなかったがその週1日で死ぬほど頑張って2日で仕上げるけれどぶっ倒れる、などの人も居ますね。
これって自己理解の話なんだよね
他責してしまう
(周囲が満点ではないけど労力出してるのを見ようとしていない)愛想がない
(周囲に感謝を示そうとしないのに、周囲の冷ややかな視線は傷つく)勤怠が安定してない
(という自覚がない)
これは、障害や病気、それによる能力の低さとかいう話じゃないんですね。いや、正確にはそういう認知能力も含めて障害や病気というのはあるんですけど、でも、これは就職の話ですからね。
「周囲の労力も見えないし、周囲への感謝という概念もないけど周囲に優しくされないと傷つくし、自分の一番いい時の状態しか受け入れられない」という人も沢山の支援を受けて、労働という権利が守られる世になればいいなって思いますけど、今の社会の余裕じゃ無理です。
今この社会にできるのは「そこまで病気や障害がしんどいのであれば、就労可能状態ではない。生活保護や障害年金で最低限の健康的で文化的な生活を保障します」まででしょう。
それすら守られてない事が多いのはまた別途の問題で、今の社会制度では、そういう人の働く場所は福祉的就労ということになります。無理せず、就労継続支援A型やB型の、それもノルマなくてやりたい時だけやれる形式の施設で出来る範囲の作業をして。って事になります。
いわゆる健常者というのは、そんなに自己理解しなくても、なんか自動的にやってける。元気なつもりで実は意外と調子崩して欠勤してても注意を受ける程ではなく「自分って元気じゃ~ん」なんて思っていられる。
自己理解というのは、障害や病気のあるなしに関わらず、強い武器です。……でも、だからこそ、障害や病気のある人は「せめてこの武器を持たなければ厳しい」という事でもある。
まとめ
どんよりした事ばかり書いてきましたが、でも。
就職の本質はビジネススキルではないです。
……え?就労移行支援ってビジネスマナー売りにしてるとこ多いって?それは「ビジネスマナーを学ぼうという、周囲を見て慮ろうという心意気があります」という事を示すためのものですね。マナーがそもそも根っこはそういう事ですから。
つまりは、愛想というのの本質は「心意気」です、腕前じゃない。
他責してしまう人が気をつけるべきは完璧であろうとすることや周囲に完璧を求める事ではなく、「次からこうしてほしいな」って言える事です。
勤怠は非常に重要なものの、大切なのは「自分の調子を客観的に見られる事」です。勤怠が不安定な人の多くは、根本的な体力や病状というよりは「自分の限界を知らない」のが問題。
……もちろん、全ての対策をして、学んで、聞いて、鍛えて、それでもどうにもならないほどの重い病気や障害、強い特性がある人も居るでしょう。その全てを支えられるほど社会はまったく成熟していない。
でも、「少し、気付いて、自覚して、周囲に聞いて、感謝して」で、何とかなる人も少なくない。
世界は理不尽で、ひどくて、運しだいな事も多くて、努力が報われるとは限らなくて、でも、正しい方向の努力には力はあります。
できる限りの事を、この、クソったれな世界で、なんとか、お互い、やっていきましょう。
