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歩くのが嫌いだった私が、歩くことに救われるまで

(約2,300字)


ある日、昼休みにふと思い立って外を歩きました。特に目的はありませんでした。歩くのは正直あまり好きではありませんでした。しんどいですし、汗もかきますし、できるだけ避けたい行為でした。それが今では、家から駅までの道をわざわざ歩くようになり、昼休みの散歩も習慣になっています。歩くことが“最上の思考時間”になるなんて、当時の私は想像もしていなかったと思います。なぜ嫌いだった歩行が、気づけば自分を整える時間に変わっていったのか。その変化は、ただ静かな道を一人で歩き始めた瞬間から生まれていったように感じています。


なぜ、歩くのが嫌いだったのか。

当時の私は、移動はできるだけ楽にしたいと考えていました。バスや電車に乗れるなら乗りたいですし、歩数はできるだけ減らしたいと思っていました。歩くと疲れますし、汗で不快にもなります。
「歩かないで済むなら、それがいい」
そんなふうに感じていたいました。

休職中の生活で身体の“歩くための筋肉”が少なくなっていたことで、自然とこうした気持ちになったのかもしれません。歩行は単純に見えて実際には全身を使う運動なので、慣れも必要になります。今振り返ると歩くことを避けていたのは、身体がまだその動きを受け止められる状態ではなかったからだったのも一因だったのでははないかと思います。


歩き始めたきっかけはどこにあったのでしょうか?

大きな理由があったわけではありません。
昼休みにふと外へ出たとき、
「少し歩いてみよう」
と感じただけでした。ほんの小さな衝動でした。

しかし、少し歩いてみると意外なほど頭が軽くなりました。日常の焦燥感から離れただ歩く。それが思った以上に心地よかったのです。それ以来、昼休みに歩く習慣がゆっくりと続くようになりました。

さらに、今までバスで向かっていた最寄り駅までの道も歩くようになりました。以前の自分ではあまり選ばなかった行動です。
ただ、行動はいつも小さな一歩から変わっていくものだと思います。


なぜ、歩くと考えが深まるのでしょうか?

歩く習慣を続けていると、「歩くと頭がよく回る」という感覚が確かなものになってきました。

理由のひとつとして、歩くことで 血流が上がる という身体の変化があるのだと感じています。歩行は全身の巡りをよくし、とくに脳への血流が増えることで思考が整理されやすくなると言われることがあります。

また、私は歩くときに音楽を流さなくなりました。
無音のまま歩くと、自然と感覚が外側に向かいます。
鳥の声、風の音、遠くの車の音、街路樹のざわめき、空の明るさ。こうした細やかな刺激が、内側の思考とゆっくり同期していく感覚があります。

この“外界と内界のリズムの重なり”が、考えを整える働きを生んでいるのかもしれません。

気がつけば、歩く時間は note のネタを考える時間としてもちょうど良くなっていました。机の前で考え込むよりも、歩きながらふと浮かんでくるアイデアのほうが素直だったりします。歩行のリズムが、思考の流れを無理なくほぐしてくれるように思います。


歩くことで、世界はどのように変わって見えたのでしょうか?

ただ歩くだけなのに、景色の見え方が変わっていきました。
空の高さ、風の冷たさ、街路樹の葉が色づいていく速度、人の流れのゆらぎ。

以前は“そこにあるだけ”だったものが、少しずつ表情を持って見えるようになりました。

こうした変化は、どこか「無常」に触れる感覚に近いように思います。
同じ道でも、昨日と今日では光の角度も風の質も微妙に異なります。その変化に気づくこと自体が、歩くという行為に小さな豊かさをもたらしている気がします。

歩く時間は“何もしない時間”ではなく、外界との静かな対話に満ちた時間なのだと感じるようになりました。


嫌いだった行動が、どうして“心地よい時間”に変わったのでしょうか?

歩く筋肉がついてくると、歩行のしんどさは自然と薄れていきました。身体が変わると、同じ行動でも感じ方が変わることを実感しています。

さらに、歩くと頭が整うという「心のメリット」も感じられるようになりました。身体が軽くなると、日常のストレスも受け止めやすくなります。

行動 → 身体の変化 → 認知の変化

このサイクルが静かに回り始めたことで、歩くことが“心地よい時間”になっていったのだと思います。


そしていま、歩く時間に何を感じているのでしょうか?

歩くことは、いまの私にとって「最上の思考時間」になっています。
決断をするときも、ちょっとした悩みを整理するときも、歩くと答えの輪郭が自然に浮かんでくることが多いです。

特別な道具もテクニックもなく、ただ歩くだけで整っていく時間があることに、いまでは少し救われているような感覚があります。

今日、もし数分だけでも時間があれば歩いてみませんか。
思考がほぐれる感覚や、季節の気配に気づく瞬間が、そっと日常の質を変えてくれるかもしれません。



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