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昇級した直後に勝てなくなるのは、弱くなったからではない

競技かるたをしていると、

昇級した直後に勝てなくなる

ということがあります。

D級に上がったのに、大会でなかなか1勝できない。
C級に上がったのに、C級相手に勝てない。
B級に上がったのに、B級相手に全然通用しない。
A級に上がったのに、A級大会でまだ勝てない。

こういうことは、かなりあると思います。

そして、その時にどうしても思ってしまいます。

「あれ、自分ってこんなに弱かったっけ」
「昇級したのに、全然勝てない」
「前の級の時の方が取れていた気がする」
「自分のかるたが通用しなくなったのかもしれない」

でも、自分はこれは、

弱くなったわけではない

と思っています。

ただ、

戦う場所が一段上がった

だけなのだと思います。

昇級すると、周りが一気に強くなる

昇級するということは、その級で勝てるだけの力がついたということです。

D級で勝ったからC級に上がる。
C級で勝ったからB級に上がる。
B級で勝ったからA級に上がる。

これは、ちゃんと強くなった結果です。

でも、昇級した瞬間に、周りは全員その級以上になります。

今までは通用していた取りが、通用しにくくなる。
取れると思った札が取れない。
攻めたつもりでも守られる。
自陣を抜かれる。
終盤で押し切られる。

これは、自分の積み上げが消えたわけではありません。

自分が弱くなったのではなく、

相手の基準が上がった

のです。

前の級で強かった自分を、一回手放す

昇級直後に苦しくなる理由の一つは、

前の級で強かった自分

が残っていることだと思います。

前の級では勝てていた。
同級相手に自信があった。
自分の勝ち方があった。
周りからも強いと言われていた。

だからこそ、昇級後に勝てないと苦しくなります。

「自分はもっと取れるはず」
「前なら勝てていた」
「この札は取れるはずだった」

と思ってしまう。

でも、新しい級では、前の級と同じ感覚では勝てないことがあります。

それは、自分が弱くなったからではなく、新しい級の速さや圧に、まだ体が慣れていないだけかもしれません。

だから、昇級直後は一度、

前の級で強かった自分

を手放してもいいと思います。

そして、

新しい級で勝てる自分を、これから作っていく

と考える。

昇級はゴールではなく、次のスタートなのだと思います。

最初は勝てなくて普通

昇級した瞬間から、その級で安定して勝てる人ばかりではありません。

むしろ、最初は勝てなくて普通だと思います。

新しい級のスピードに慣れる。
新しい級の取りに慣れる。
新しい級の大会の空気に慣れる。
自分の武器がどこまで通用するかを知る。
逆に、どこが通用しないかを知る。

この時間が必要です。

勝てない時期はつらいです。

でも、その時期は無駄ではありません。

「この札は通用した」
「ここは全然勝てなかった」
「この展開なら戦える」
「この形になると苦しい」

そういう情報を集めている時期でもあります。

最初から勝てないからといって、

自分はこの級にいる資格がない

と思う必要はありません。

昇級できた時点で、その級に挑戦する力はあります。

あとは、その級で勝てるかるたを少しずつ作っていけばいいのだと思います。

勝てない理由を大きくしすぎない

昇級後に勝てない時に気をつけたいのは、

勝てない理由を大きくしすぎないこと

です。

「自分は弱い」
「才能がない」
「この級では通用しない」
「かるたが分からなくなった」

こう考えると、かなり苦しくなります。

でも実際には、原因はもっと小さいことかもしれません。

暗記が少し薄い。
相手陣への出方が弱い。
払い切りが足りない。
序盤の入り方が悪い。
終盤で守りすぎている。
自陣への執着が強い。
相手の速さに飲まれている。

こういう具体的な課題の積み重ねで、勝てていないことが多いと思います。

だから、勝てない時ほど、

何ができていないのかを小さく分ける

ことが大事です。

今日は相手陣を見る。
今日はお手つきを減らす。
今日は自陣右だけはしっかり取る。
今日は送り札を雑にしない。
今日は序盤の暗記を濃くする。
今日は終盤で守りすぎない。

全部を一気に直そうとしなくていいです。

「この級で通用しない」

ではなく、

この部分はまだ通用していない

と考える。

そうすると、次にやることが少し見えやすくなります。

通用している部分も必ずある

勝てない試合でも、全部がダメなわけではありません。

負けた試合の中にも、通用している札はあります。

相手陣を取れた札。
自陣で守れた札。
相手より先に反応できた札。
送り札が効いた場面。
終盤まで残せた暗記。
自分の武器として使えそうな取り。

こういうものは必ずあると思います。

勝てない時は、どうしても負けた理由ばかり見てしまいます。

もちろん、それも大事です。

でも、同じくらい、

何が通用したのか

を見ることも大事です。

新しい級で勝てるようになるには、まず通用している部分を見つける。

それを武器にする。

その上で、通用していない部分を少しずつ直していく。

全部を否定してしまうと、自分のかるたが分からなくなります。

でも、

「この札は通用した」
「この攻めは効いた」
「この形なら戦える」

が見えてくると、新しい級でも少しずつ自信が出てきます。

もう一度、挑戦者になる

昇級直後に大事なのは、

もう一度、挑戦者になること

だと思います。

前の級では、勝つ側になっていたかもしれません。

同級相手に自信を持って取れていたかもしれません。

でも、新しい級では、また挑戦者です。

相手の強さを認める。
自分にまだできないことを認める。
取れない札は、今は取れないと認める。
でも、そこで終わらずに食らいつく。

この姿勢が大事だと思います。

変に強がる必要はありません。

「昇級したんだから、この級でもすぐ勝たないと」

と思いすぎなくていいです。

最初は、

一枚でも多く取る。
一つでも通用する形を見つける。
相手の強さを観察する。
負けても次につながる情報を持って帰る。

これでいいと思います。

できないことを認めるのは、負けではありません。

相手が強いと認めることも、負けではありません。

そこから何を学ぶかが大事です。

昇級直後は、かるたを作り直す時期

昇級直後は、自分のかるたを作り直す時期なのだと思います。

前の級で通用していたものを、そのまま使える部分もあります。

でも、そのままでは通用しない部分もあります。

だから、少しずつ変えていく。

暗記をもっと濃くする。
相手陣への攻めを増やす。
払いを強くする。
自陣への執着を減らす。
終盤の戦い方を変える。
試合の入り方を変える。

この時期は、うまくいかないことも多いです。

前より負けることもあります。

自分のかるたが崩れているように感じることもあります。

でも、それは後退ではなく、

作り直している途中

なのだと思います。

試して、負けて、また直す。

その繰り返しで、少しずつその級の中で戦えるようになっていくのだと思います。

最後に

昇級した直後に勝てなくなるのは、弱くなったからではありません。

戦う場所が一段上がっただけです。

相手が強くなった。
基準が変わった。
今までの勝ち方が通用しにくくなった。
だから、新しい級で勝てるかるたを作り直している。

そう考えればいいと思います。

最初から勝てなくても大丈夫です。

最初からその級で完成していなくても大丈夫です。

昇級できた時点で、そこに挑戦する力はあります。

あとは、その級の速さや強さに慣れて、自分の武器を見つけて、少しずつ勝てる形を作っていけばいい。

勝てない時期は苦しいです。

でも、その時期は、新しい級の中で自分のかるたを作っている時間です。

焦りすぎなくて大丈夫です。

弱くなったわけではありません。

今は、次の級で強くなる途中なのだと思います。


他にも、競技かるたについてnoteを書いています。

500円記事の

競技かるたについて、今考えていることを全部書いてみる

では、自分が今考えている競技かるた観をかなり長く書いています。

同じく500円記事の

競技かるたトークテーマ100選

では、かるた会や練習後、感想戦などで使える話題を100個まとめています。

また、100円記事の

試合動画を実況してみると、かるたの言語化がうまくなる

では、クイーン戦の最初10枚を一枚ずつ実況しながら、試合動画をどう見るかについて書いています。

競技かるたを、練習・感想戦・言語化・考え方の面からもっと深く見ていきたい人は、よければ他の記事も読んでみてください。

昇級後に勝てない時、

「この級では通用しない」

と大きく考えるのではなく、

「どの部分が、まだ通用していないのか」

まで小さくして考えると、次にやることが見えやすくなります。

そこから実際に「何を練習するか」をどう決めるのかについては、こちらの記事で具体的にまとめました。

→「何を練習すればいい?」の前に、考えてほしいこと――競技かるたの悩みから、本当にやるべきことを見つける方法
https://note.com/toarubuchou/n/n2a4e5f1bd190

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