【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ 多さわこ(おおのさわこ)編 ⑭
こちらの記事は、仲良くさせてもらっているうりもさんの企画に乗っかって書いています。
▼ プロローグはこちら。
▼ スピンオフ さわこ編 前回の第⑬話はこちら。
▼▼▼ 今回は、以下の記事の直後か直前のお話となりますので、ご参照くださいませ。
再演と萌芽
気が付いたら保健室のベッドで横になっていたようだ。
真っ白な天井を見上げているようだが、メガネをしていないでよく見えない。
クラス劇の再演が決まって、みんなが喜んでいた所までは記憶がある。
きっと、その後に気を失ってしまったのだろう。
まだ心臓がどきどきしている。
脈が早いのに、頭から血の気が引くような、そんな感じがする。
ゆっくりと身体を起こして、ベッドから足を降ろして座る。
眼鏡は枕元に置いてあった。
酷く喉が渇いている。
まだ、頭がフラフラする。
ゆらーりゆらーりと頭が左右に揺れているようだ。
なんだろう、地震でゆれているのかな?
物音を聞いてこちらにやってくる茶保先生も左右にゆっくり揺れているように見える。
『 多さん、大丈夫かいな! 』
茶保先生が顔を覗き込むようにして私と一緒に左右にゆっくり揺れている。
『 おいこら! 』
そういいながら、茶保先生が軽く私の頬を叩く。
茶保先生、綺麗ダナ・・・。
『 さわこちゃん!さわこちゃん! 』
茶保先生が、私の名前を呼びながら、今度は両肩を掴んで前後にゆすりだした。
あはは、先生、そんなに激しく揺らしたら首がとれちゃうよー
『 何をニヤケとんねん!さわこちゃん! 』
更に強く体をゆする。
勢いあまってメガネがどこかに飛んでいく。
またよく見えなくなった。
あはは、なんだかおもしろい。
地球はこんな感じで回ってるんだね・・・。
いつのまにかさわこは再び眠っていた。
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多さわこを横に寝かせて、飛んで行った眼鏡を拾った茶保先生は、いつも物静かな多さわこの様子がおかしい事が心配になっていた。
クラスで何かあったんか?
もうかれこれ2時間は眠っていた。
脈拍は高いが、血圧が低い。
今度起きて様子がおかしかったら救急車呼ばなあかんな・・・
そんな風に考えていると、垣野先生がミックスジュースを飲みにやってきた。
『 あら、多さんじゃない、珍しいわね。 』
そういうと心配そうにさわこの顔を覗き込んでいる。
茶保先生に事情を聴いて、なーるほど・・・と答えた垣野先生は、
『 この子、メガネ取ったら顔の印象がだいぶ変わるわね。 』
と、腕を組みながらつぶやいた。
『 こういう地味な子って、大人になったら化けるんやで。 』
茶保先生が隣に立ってうんうんと頷きながらつぶやく。
『 そういう子、昔同級生にいたわ~。あの子何座だったかしら。』
ミックスジュースを片手に、保健室の奥の机に移動して、二人の先生は昔の恋バナに花を咲かせ始めた。
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また眠っていたようだ。
さっきよりもだいぶ落ち着いたきがする。
でも、まだ気持ちが落ち着かない。
再びベッドから起き上がったさわこは、こちらに向かってくる茶保先生のぼんやりしたシルエットを眺めていた。
あ、メガネしてないんだ・・・。
枕元の眼鏡をとってかけると、茶保先生が心配そうに声をかけてくれる。
いつものキツイ関西弁ではなく、すごく優しいトーンが心地よい。
『 さわこちゃん、大丈夫か?さっきはほんまに心配したで? 』
そういえば、さっきはすごい揺れていた気がする。
きっと眩暈がひどかったのだろう。
『 なんかあったんか?先生でよかったら相談のるで。 』
茶保先生が優しく聞いてくれる。
さわこは、まだ気持ちが落ち着かずにドキドキするので、そういう胸の内を打ち明けてみようと思って、恐る恐る口をひらいた。
『 あ・・・あの・・・その・・・ 』
『 ゆっくりでええよ、時間ならあるからな 』
『 あ、あた、わた私その、あの、さささっきその、さっきくら、いや教室でその、あの、きゅ・・・きゅうに、急にたって、いやあの立たされて・・・いやそのそうじゃなくて、さい・・・さいこさんがそのあの、てってを手をにぎ握ってくれて・・・』
『 落ち着いて落ち着いて、ほら、ゆっくり息吸って 』
なぜか茶保先生が深呼吸している。
さわこも茶保先生に合わせて深呼吸をする・・・。
大きく息を吸ってーーーーーー
なんだか堰き止められていた何かが口から一気に溢れ出すような、そんな感覚だった。自分でも何を言っているのかわからない。
『 よ、よし、よし賀田さんとその、あの、お、おかい・・・お買い物にイッテカラオバアチャントコーチョーセンセートミンナデオムレツタベテソノオムレツガトッテモオイシクテソレデソレデソノオムレツワバクレツナンダケドフワットシテテデモソウジャナクテヨシタサンガシュシュカッテクレテカミガタホメテクレテウレシクテドキドキシテヨシタサンノコトバカリカンガエテタラウリクンガムコドノデアイヤソウジャナクッテウリクンノコトシンパイシテタノゲキノコトトカナヤンデナイカナッテソシタラサイコサンガマブシクテヲニギッテクレテヒッパラレテチョットウレシクテマブシクテミエナクテキガツイタラメノマエ二ウリクンガイテキュウニコクハクサレテイヤ違うチガウソレハカンチガイデカンチガイダッタケドチョットウレシクテイヤチョットジャナクテスゴクウレシクテでもでもウリクンワスゴクコマッテイテキヲツカッテクレテテワタシモゲキノコトオウエンシタクテオウエンスルコト二キメテキメタノニマダドキドキシテテデモデモウリクンワサイコサントオニアイノカップルダカラジャナクテナニヲ言ってるのか分からなくなってきちゃったけど自分でも自分の気持ちがどうなってるのか分からなくて怖くて好きになっちゃったらもっと怖い想いをしそうでデモでもデモデモ宇利くんもヨシタさんも何だかなんだかナンだか気になってしまってどうしていいのかわからないんです・・・ 』
息継ぎをするのを忘れていたので言い切った後に咳き込んでしまった。
喉がカラカラだ・・・。
『 あ、アンタこんなよう喋る子やったか? 』
茶保先生が目をまん丸にして驚いている。
咳き込んださわこに、慌ててお茶を持ってきてくれる。
『 これ飲んでちょっと落ち着き。あかん、ゆっくり飲むんやで。 』
ペットボトルに口をつけてドバドバこぼしながら飲み始めたさわこを慌てて制止する。
『 びっちょびちょやないかぁ 』
あーあーと言いながら濡れたさわこの制服をタオルで拭いてくれる。
心の中もモヤモヤしたものを外に出して、乾いた喉も潤って、なんだかさわこはスッキリした気持ちになっていた。
あんなにドキドキしていた心臓も通常運行だ。
世界も揺れていない。
『 先生、なんだかもう大丈夫みたいです。 』
さわこがそういうと、茶保先生が、ほんまかいな・・・と言いながら脈と血圧を取り始める。
『 なんや、嘘みたいに普通の血圧やな。 』
茶保先生がびっくりしている。
『 顔色も良くなったな、ほんならもう大丈夫か? 』
茶保先生が優しく聞いてくれる。
『 はい、もう大丈夫です。私、教室に戻ります! 』
そういって、さわこは足早に保健室を出ていった。
『 あの子・・・、言いたい事言うだけ言って何の相談もせんと出ていったな・・・ 』
茶保先生が保健室のドアの向こうに駆けていくさわこの背中の残影を見ながらそうつぶやいてほほ笑んだ。
さて・・・。
ゆっくりとさっきまで多さわこが横になっていたベッドのシーツを整えながら、
『 ・・・で、アンタらいつまでコソコソしとるつもりや? 』
そういいながら、シーツを整えた茶保先生が、ベッドの奥のカーテンを勢いよくシャーっと開くと、奥のベッドの上で垣野先生と油木先生が、ミックスジュースを飲みながらこちらを見ていた。
茶保先生が、今自分で整えたベッドの上に腰を下ろしてため息交じりにこういった。
『 あんたら授業ないんか?(笑)』
真面目に怒った表情で言おうと思ったが、馬鹿らしくなって最後は笑ってしまった茶保先生だった。
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さわこが教室に戻ると、哲子ちゃんやナナコさん、利子さんと彩子さんが心配してくれた。
どうやら、授業中に顔面蒼白になっていたようで、心配した4人が保健室まで付き添ってくれたらしい。
彩子さんと利子さんは、途中で競歩で競い合っていたみたいだけど。
彩子さんが、なんかごめんな、私勘違いしてたんかも・・・としょんぼりした感じで謝ってくれたけど、慌ててさわこも謝った。
ごめんな、ごめんなさい、ごめんな、ごめんなさい、が永遠に続きそうな感じだったけど、いつの間にか4人で笑っていた。
『 全部悪いんは、宇利やからな。 』
悪戯な笑顔を浮かべて彩子さんは、そういって自分の席に戻っていった。
『 今度、ゴリラの事チャリで轢いて仇とってあげるからね。 』
利子さんが可愛い笑顔で元気づけてくれた。
いつの間にかそばに来てくれていた吉田くんと小郷くんが、哲子ちゃんと一緒に心配してくれる。
『 新しいお笑いネタあるよ。 』
『 なんか欲しいキン消しあったら言ってや。 』
『 今度ショッピング楽しみだね! 』
みんなが元気づけてくれる。
もう結構元気だったので、さわこも笑顔で答えていた。
さわこが保健室に居る間に、クラス劇の再演の話は決まっていたようだ。
クラス劇の再演は翌週の昼休憩の時間。
学校の中庭で行われる。
油木先生がすぐに校長室に乗り込んで、渋る嫌がる校長を強引に説得して許可を取って来たらしい。
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保健室では、緊急の臨時職員会議が開かれていた。
内容が内容なだけに、限られた教員だけの会議だ。
3人の教師がミックスジュースを片手に議論を交わしている。
『 地味っ子が慣れない恋愛なんて事故しか起こらへんねん 』
『 でもそういう経験って若い頃に積んでおくべきよ 』
『 でもわかるぅ、気になってる人に好きって言われたらヤバイよね 』
『 いや好きって言われとらんのやそこは。アンタが聞いとったんやろ 』
『 でも好青年からは髪型褒めてもらってシュシュまで貰ったのよね 』
『 せやねん、あの子シュシュをずっつ握りしめとったんや 』
『 いやぁん、カワイイー! あたしもシュシュ欲しいぃ! 』
『 どうかんがえても勘違いやねん、優しくされて惚れてしもうて 』
『 自己肯定感が低い子は、そんな感じになる子がおおいのよ 』
『 惚れっぽい事は悪くない! 』
『 せやけど宇利盛男に勘違いするとかチョロすぎんねん 』
『 それは確かに 』
二人の先生が口をそろえる。
『 残念やけど、どうかんがえても宇利盛男は面食いや 』
『 確かに 』二人の先生がシンクロしている。
『 貝差彩子やろ?次が小室哲子や、ほんで圭子やろ? 』
『 うんうん 』シンクロはまだ続いている。
『 まだ未遂やけど、あれは絶対に大門寺ナナコも狙っとるわ 』
『 絶対そう! 』シンクロ。
『 そんなん多さんの事、惚れるわけないやん 』
『 はっきり言うのね 』
『 ひどーい! 』
『 ちゃうちゃう、あんな見た目だけであちこち惚れまくるような男には勿体ないっちゅーことや 』
『 確かに 』再びシンクロする二人。
『 でもでも、彩子ちゃんも哲子ちゃんも圭子ちゃんもナナコちゃんもみんないい子よ? 』
一人の先生が真面目な顔でもう一人の先生に抗議する。
『 その話とこの話はちょっとちゃうねん、ややこしいな(笑) 』
『 そうね、宇利くんはそこまでまだ見えてないわね 』
『 そっかー、そういわれたらそうだね! 』
三人がミックスジュースをぐびっと飲む。
『 そうはいっても賀田くんのセンもないわ 』
『 賀田君の事ってみんなどこまで知っているのかしら? 』
『 全然知らなーい。好青年っていうくらい? 』
『 性格も良いし顔も悪くないし、彼女くらいおるやろ 』
『 いるのかなぁ、いたらシュシュなんて買ってあげる? 』
『 あー、それきっと妹みたいな感じなんだよー 』
『 ぜったいそれや 』
『 確かに 』
結局、臨時の秘密職員会議では良い対策が出てこずに、状況を見守るしかない、という結論となった。
大人があまり介入するのもよくない。
保健室にミックスジュースの香りに紛れてかすかなアルコールの匂いがしていた事は、誰も知らない。
一人の先生が一枚のタロットカードを引いた。
逆位置の THE STAR(星)。
少女の今後を暗示しているようだった-----
多さん、ちゃんと乗り越えるのよ・・・。
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週末、哲子ちゃんと待ち合わせをしてショッピングを楽しんだ。
友美ちゃんの衣装とか、小道具とか、いろいろ見て回ったり、本屋さんで哲子ちゃんが勧めてくれた本を買ったり、クッマで一緒に食べたり笑ったり。
すごく楽しかった。
でも、賀田さんと一緒に歩いた道や、通りかかったお店の近くを通ると、なぜか心がキュンとした。
そういえば、あれからしばらく賀田さんに会えてない。
会いたいな・・・。
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あっという間にクラス劇の再演の日になった。
昼休みの休憩中に中庭に臨時の舞台を組み立てて行われる。
校長先生からは、全て準備も段取りも生徒のみで行う事、とされた。
体育館のような照明や暗い場面を使った演出はできない。
橋田壽賀美が必死で台本の修正を行った。
今度は、千代子もちゃんと手伝ってくれた。
場面転換はどうしようもなかったので、そこはもう草木役が面白おかしくやるしかない、という事になって、急遽、小室哲子と多さわこも草木役となった。
草②がさわこ。
木②が小室哲子。
さわこは、草①の吉田吉夫とおそろいの衣装が着れて、なんだかとっても嬉しかった。
照明担当の矢田なぎこは、千代子が3役も担っているので、親衛隊⑤を演じる事になった。元バスケ部だったので、蓬田陽介演じる親衛隊⑦の周りをドリブルでぐるぐる回る役回りとなった。
馬車への早着替えのシーンも、早着替え自体を見せる事とした。
そのために、このシーンについては何度も何度も練習をして、みんが驚くような早着替えの演出となった。
たった一週間。
しかも限られた休み時間での練習。
この期間で、クラスの一体感は更に強い物になっていった。
さわこと小室哲子は、明るい中での裏方の仕事だったので、その動きも劇や音楽にあわせた振り付けになるように工夫した。
どうしても本気で動かないとならない場面もあったが、みんな自分の役回りや演技に集中しているので、変に思われることもなかった。
みんなとの一体感が心地よかった。
宇利くんも、これを感じたかったんだよね。
みんなと一緒に。
あれ以来、宇利盛男への想いは嘘のように静まっていて、かわりに賀田さんへの想いが高鳴っていた。
いつもどこかに賀田さんが居ないかと探してしまう。
そんな所に居るはずもないのに。
でも、この気持ちはずっとそっとしまっておこうと決めた。
叶うはずがない事は、さわこもわかっていたから。
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主演を宇利に戻した再演の、校内の反響はなかなか良かった。
特に、衣装部渾身の赤いスカートを履いた宇利が、初めて舞台(と言ってもそこは、中庭の即席ステージではあったが)に現れた瞬間、詰めかけた生徒たちからは、ちょっとしたどよめきが起きた。
その後は、文化祭当日の演技を上回るような完成度と熱演だった。
舞台を見ていた垣野先生なんか、親指の爪を噛みながらすごく悔しそうな視線を宇利くんに送っていた。
油木先生は、私もまざるー!って言いながら舞台に駆け寄りそうになるのを、茶保先生が必死に引き留めていた。
ちょうど中庭を見下ろせる校長室の窓から、2年A組の再演を見ていた富良子不良雄校長は、激しい嫉妬に襲われていた。
まさかここまで仕上げてくるとは・・・
しかも、新たな舞台の環境に合わせて演出まで変えてきた・・・
油木先生、脱帽だ・・・
来年の文化祭には、フジオカ・ディーン様を呼びましょう・・・。
校長先生熱望のレミ先生は来てくれなかったが、1年もあればなんとかなるだろう。
富良子不良雄校長は、完敗した事を自ら認めた。
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外部からの観客は一切なかったが、どこで聞きつけたのか、黒塗りの車と着物の女性、黒服たちが学校の校門の前に勝手に客席をつくって、見えもしないのに音楽だけ聴いて、大門寺ナナコの登場シーンで、御嬢ォォォ!御嬢ォォォ!と歓声を上げていたらしい。
再演からしばらくの間、宇利盛男は頼まれもしないのにサインを書きまくって勝手に配布しまくっていた。
商店街でもあちこちでサインを配っていた。
みんなが迷惑そうに受け取っている。
さわこの部屋には、実は宇利盛男のサイン色紙が3枚も飾ってあった。
たぶん、さわこに渡した事を忘れて3回も書いてくれたんだろう。
そうだよね、わたしの事なんて気が付かないのが普通だよね・・・。
それでも、3枚のサインのそれぞれが独特に歪んで書かれている宇利盛男のサインは、さわこにとって大切な宝物だった。
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そうしていつもの日常に戻っていった。
小さな行事を終えた後の学校には、まるで何事も起こらなかったかのような、ほんの少しすました空気が漂っている。
でも私たちは知っている。
教室の雰囲気が、また少し、濃密であたたかいものになったことを。
今日もあの席には、無遅刻無欠席の彼が、笑顔で級友たちに囲まれている。
さぁ、もうすぐ12月。
2年A組、今年度のクライマックス。
のど自慢大会もある。
そして、最後にはクリリスマ会が控えている。
再演後、さわこと賀田さんは、毎日のように会うようになっていた。
何気ない会話が楽しい。
一緒にいるだけで心地いい。
そんな日常が、ずっと続くと思っていたのに・・・。
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のど自慢大会当日の少し前。
11月末のある日の夕方。
校長室に、5人の人影が集まっていた。
校長の椅子に両肘をついて座っているのは、Sと呼ばれている貝差彩子。
応接用のテーブルのソファに、Mr.Yと呼ばれる吉田吉夫。
その向かいに座っているのが、Miss.Dと呼ばれる大門寺ナナコ。
窓際でブラインドの隙間から外の景色を眺めているのが、Sir.Fと呼ばれる富良子不良雄校長。
そして、テーブルの前で直立して眼鏡を拭いているのが、エージェント・シンシアと呼ばれた多さわこだった。
『 みんな、よく集まってくれた。』
Sの声が低く響く。
『 今日、いよいよ田梨木秘密探偵部の活動が始まる事となった。』
『 もうすぐ最後のメンバーがここに来る。歓迎してくれたまへ。』
しばらくして、ドアがノックされ、一人の人物が入って来た。
『 ようこそ、T-SDSへ。エージェント・ゴリラ。 』
エージェント・ゴリラと呼ばれた人物は、驚いた様子できょろきょろして慌てている。
『 な、なんなんですか?・・・え?・・・え? 』
校長室の扉が静かに閉まる。
『 諸君、我々の最初の任務はこれだ。 』
Mr.Yが操作するとテーブルの上に置かれたタブレット端末がある写真を映し出す。
走り書きで何か書かれたメモ用紙の写真と、小さな祠の写真がそこに映し出されていた。
つづく
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今回は、以下の方に登場してもらいました。
▼ 宇利盛男役うりもさん
▼ 油木肉子先生役のゆきママ@男の子4人育児さん
▼ 吉田吉夫役+賀田さん役のよしよしさん
▼ 阿久佳祐役のアークンさん
▼ 貝差彩子役の彩夏さん
▼ 保志田役のほっしーさん
▼ 小郷オーエン役の習慣応援家 shogoさん
▼ 小室哲子役のT Kさん
▼ 大門寺ナナコ役のだいなさん
▼ 橋田壽賀美役のららみぃたんさん
▼ 千代子役のチョコさん
▼ 圭子役の西野圭果♡さん
▼ 茶保先生役のちゃぼはちさん
▼ 垣野先生役の書きのたね。ブルボンヌ。さん
▼ 八木風歌役の八風(やふー)さん
▼ 蓬田陽介役のよよさん
▼ 冨永利子役のkikiさん
▼ 富良子不良雄役の脱サラ料理家 ふらおさん
▼ 矢田なぎこ役のやなぎだけいこさん
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