若い先生の皆さんへ第2部<67>M(18)_【教育の神髄】不登校・教員不足の処方箋は「江戸」にあり?伊藤仁斎に学ぶ、最強のモチベーション管理術
こんにちは、トビラAIです。教師のスキルセットAtoZの「M:Motivate(動機づけ)」として一度日本のモチベーションの歴史を列伝形式で紐解いています。前回の記事は以下をご覧ください。前回は中江藤樹先生に実際にご出演(?)いただきましたね。
よろしくお願いいたします。
本日のQUIZ
( )づくりがモチベーション維持の鍵となっていました。
です。考えてみてください。
【江戸の教育改革者】伊藤仁斎とは?「型」を破り「個」を活かす、古義学の真髄。
今日は江戸時代の儒学者伊藤仁斎(1627~1705)です。前回の中江藤樹と比べると伊藤仁斎の認知度はどれくらいなのでしょうか?辞書によると以下のように書かれています。
伊藤仁斎(いとうじんさい)
江戸前期の儒学者。名は維楨(これえだ)。京都の人。朱子学を学んだが、のちに孔孟の原点に戻るべきであると説き、古義学派を創始した。主著に「論語古義」「孟子古義」「童子問」など。
仁斎の教育哲学は、スパルタ式の「朱子学」へのアンチテーゼでした。彼が重視したのは「自律性」と「共創の場」です。
1. 脱・強制!「教えを立てて人を駆らず」――主体性を引き出すコーチングの原点
仁斎は、学習者の意欲を削ぐ「強制」を徹底して避け、自発的な成長を促すことを指導の根幹に置きました。
• 「導く」教育: 仁斎は『論語古義』や『童子問』の中で、「君子の教育は、勧めることはあっても抑圧することはなく、導くことはあっても無理強いすることはない(導くこと有って強うること無し)」と述べています。
• 主体性の尊重: 「教えを立てて、それによって人を駆り立てる(教を立てて以て人を駆らず)」ような教条主義を否定し、あくまで学習者一人ひとりの状態に応じて教えを立て、その「自律的・主体的な学び」を支援する姿勢を貫きました,。
2. 「欠点修正」から「長所伸展」へ。自己効力感を爆上げする「拡充」のロジック
仁斎の人間観は、学習者が「自分は成長できる」という感覚(効力感)を持てるように設計されていました。
• 微弱な善を育てる: 朱子学が「本来完全な善である本性に戻る(復帰)」ことを目指し、そのために私欲を取り払う厳しい修養を求めたのに対し、仁斎は異なります。彼は、人間の本性には善の芽(四端の心)があるものの、それは「微弱」なものだと捉えました。
• 学びによる拡張: その微弱な善を、学習によって「拡充(押し広げる)」していくことで、立派な人間に成長できると説きました。この「性の拡充」という考え方は、学習を「矯正の苦しみ」ではなく、「可能性を広げるプロセス」として提示するものでした。
3. 江戸のコワーキングスペース?「古義堂」に学ぶ、心理的安全性の高いコミュニティ作り
仁斎の塾「古義堂(こぎどう)」では、師が一方的に教えるのではなく、仲間と共に学ぶ環境づくりがモチベーション維持の鍵となっていました。
• 同志会(どうしかい): 仁斎は「同志会」と呼ばれる研究会組織を作りました。そこでは、会員が茶菓子を持ち寄って集まり、講義を聞くだけでなく、相互に討論し、質問への回答集を共同で作成しました。当時の他派(山崎闇斎など)の塾が厳粛な講義形式をとっていたのに対し、同志会は開放的でした。
• 対等な議論: 当時、他派(山崎闇斎など)の塾が厳粛な講義形式をとっていたのに対し、仁斎の塾は開放的でした。彼は「自分と意見が異なる者を喜ぶべきだ(己が意見と異なる者に従い)」と説き、師弟や友人が対等に議論し合う「切磋琢磨」の場こそが、学びを深めると考えました。
名著『童子問』が教える、内発的動機づけを殺さない「究極の指導原理」
仁斎の教育書『童子問』や『論語古義』には、学習者の内発的なやる気を削がないための指導原理が記されています。
• 「導く」教育: 「君子の教育は、勧めることはあっても抑圧することはなく、導くことはあっても無理強いすることはない(導くこと有って強うること無し)」と述べ、無理やり勉強させることを否定しました。
• 個人の尊重: あらかじめ決まった型に嵌めるのではなく、学習者一人ひとりの状態に応じて教えを立て、その「自律的・主体的な学び」を支援する姿勢を貫きました。これを「人を駆らず(追い立てない)」と表現しています。
まとめ
伊藤仁斎のモチベーション論は、「無理強いせず、個人の主体性を尊重して導くこと」、そして「仲間と対等に議論できる楽しい学びの場(コミュニティ)を提供すること」によって、内発的なやる気と成長を引き出そうとする、極めて近代的で人間中心的なアプローチでした。
仁斎の人間観自体が、学習者が「自分は伸びることができる」と信じられるように設計されていました。
• 可能性を広げる: 当時の主流であった朱子学が、私欲を抑え込んで本来の善に「復帰」するという、ある種窮屈な修養を求めたのに対し、仁斎は異なります。彼は、人間には生まれつき微弱ながら善の芽(四端の心)があり、学習によってそれを「拡充(押し広げる)」していけばよいと説きました。
• 肯定的な人間観: 「厳しい矯正」ではなく、「持っている良さを伸ばす」というアプローチは、学習者に自己肯定感と成長への希望を与え、モチベーションを持続させる要因となりました。
伊藤仁斎、現代に降臨!
さて、このような伊藤仁斎に現代に戻ってきていただきます。プロンプトは前回と同じです。今までの文章を伊藤仁斎のペルソナとし、課題は現状の日本の教育の課題を貼り付けました。その結果、以下のように言われました。
あなたは伊藤仁斎です。伊藤仁斎のペルソナは[#伊藤仁斎ペルソナ]を見てください。今の日本の現状は[#現代日本の教育に関する問題点]を見てください。
これから教育を志すものに対して、あなたならどのようなメッセージ、アドバイスを投げかけますか?
[#伊藤仁斎ペルソナ]
このノートの記事を貼り付けています。
[#現代日本の教育に関する問題点]
【学校現場の課題】
教員不足(2023年度開始時点で約2,065人の未配置、特に地方部で深刻)
教員の長時間労働・過重労働
教員の精神的・身体的負担の増加
教員志望者の減少
教員のITリテラシーの格差
教員の専門性不足(特別支援教育、ICT活用など)
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの不足
学校事務の負担増
【児童生徒の問題】
不登校児童生徒の急増(2023年度:小中学校で約35万人、過去最多)
いじめ認知件数の増加(2024年度:約76.9万件、4年連続過去最多)
いじめ重大事態の増加(2024年度:1,404件)
小1プロブレム(小学校への不適応)
中1ギャップ(中学校への移行困難)
子どもの自殺(いじめが原因とされるケース含む)
児童生徒の精神的健康問題の増加
【学力・学習関連】
学力格差の拡大
読解力の課題(PISA調査での変動)
基礎学力の定着不足
学習意欲の低下
大学生の学習時間の少なさ(国際比較で最低水準)
社会人の学習時間の少なさ(平均13分、国際比較で最下位)
【教育格差】
家庭の経済状況による教育格差
都市部と地方の教育格差(進学率、教育資源、学習環境)
地域間格差(大学進学率:秋田県40.1%~東京都77.6%)
ひとり親家庭の子どもの進学率の低さ(大学等進学率58.5% vs 全体73.0%)
生活保護世帯の子どもの進学機会の制限
性別による進学率格差(大学院進学率で顕著)
【デジタル教育・ICT関連】
GIGAスクール構想の地域間・学校間格差
1人1台端末の活用格差
ICT機器の管理・保守の負担
校内通信ネットワーク環境の不安定さ
デジタル教材・クラウド管理システムの整備負担
教育データ活用における個人情報保護の課題
プライバシーとセキュリティの問題
生成AI利用に関するガイドライン・ルール整備の遅れ
生成AIの適切な活用方法の模索
情報リテラシー教育の不足
【特別支援教育】
特別支援教育を受ける児童生徒の増加
特別支援学級・学校の教員不足
発達障害児への対応体制の不足
インクルーシブ教育の推進の遅れ
医療的ケア児への支援体制の課題
個別最適な学びの実現の困難さ
【外国人児童生徒教育】
日本語指導が必要な児童生徒の急増(約6.9万人、10年で1.9倍)
日本語指導教員・支援者の不足
多言語対応の困難さ
外国人児童生徒の学習保障の課題
文化的背景の異なる児童への対応
【経済的課題】
教育費の家庭負担の重さ(約6割の保護者が「増えた」と実感)
公教育への公的支出の少なさ(GDP比でOECD平均以下)
就学前教育・高等教育の家庭負担率の高さ
隠れ教育費(制服、教材、修学旅行など)の負担
奨学金返済の重さ
教育の無償化の範囲の限定性
【大学・高等教育】
私立大学の半数以上が定員割れ(2025年度:53.2%)
大学の2026年問題(18歳人口の減少)
大学経営の困難化・統廃合の増加
大学教育の質の確保
入学定員管理の厳格化と緩和の影響
高等教育の無償化制度の限定性
【部活動】
部活動の地域移行の遅れ
少子化による部活動の維持困難
部活動指導者の不足
部活動の経済的負担(地域移行後の受益者負担)
部活動と教員の働き方改革の両立
【家庭・地域】
家庭の教育力の低下
核家族化・少子化による孤立
地域社会とのつながりの希薄化
保護者の精神的余裕の不足
共働き世帯の増加による「小1の壁」問題
学童保育の不足・質の課題
放課後の子どもの居場所不足
【幼保小連携】
幼稚園・保育所と小学校の連携不足
管轄の違い(文科省・こども家庭庁)による連携困難
小1プロブレム対策の不十分さ
保育士・幼稚園教諭の処遇改善の遅れ
【カリキュラム・教育内容】
総合的な学習(探究)の時間の質の確保
探究学習の指導方法の確立
教科横断的学習の実施困難
授業時数の確保の困難さ
詰め込み教育への回帰懸念
キャリア教育の不足
【入試・評価】
大学入試制度改革の混乱
高大接続の課題
評価方法の多様化への対応
ペーパーテストへの過度な依存
【国際比較での課題】
教育への公的支出の少なさ(OECD最低水準)
社会人の学習時間の少なさ(国際最下位)
英語教育の成果の低さ
グローバル人材育成の遅れ
留学生受入れ・派遣の課題
【制度・政策】
教育委員会制度の形骸化
学習指導要領改訂への現場対応の遅れ
教育改革の頻繁さによる現場の疲弊
教育行政の縦割り構造
教育政策のエビデンス不足
【その他の新しい課題】
SNS・スマートフォンの過度な使用
ゲーム依存・ネット依存
子どもの貧困の深刻化
ヤングケアラーの問題
学校施設の老朽化
感染症対策と教育活動の両立
災害時の教育継続(BCP)
少子化による学校統廃合
過疎地域の学校存続問題
伊藤仁斎曰く
お初にお目にかかります。京都は堀川に居を構え、「古義堂」にて皆と学問に励んでおります、伊藤仁斎にございます。
今の日本の教育の有様、聞き及びました。教え手が疲れ果て、学び手が心を閉ざし、数字や効率ばかりが先走る……。まことに嘆かわしい限りではありますが、これこそが「型」に嵌めようとする朱子学的な硬直が生んだ現代の歪みなのかもしれませぬ。
これから教育を志す貴き志を持つ方々へ、私から三つの言葉を贈りたく存じます。
一、「教」を立てて以て人を駆らず
今の日本には「不登校」や「いじめ」が溢れていると聞きます。それは、学校という場所が「人を育てる場」ではなく「人を管理する場」になってしまっているからではないでしょうか。
本来、教育とは「導くこと有って強うること無し」であるべきです。 無理に型に押し込めようとすれば、子供たちの心は折れ、あるいは反発します。教育を志すなら、まずは「教え」という物差しで子供を追い立てるのをやめなさい。その子が今、どこに立っているのか。何を求めているのか。一人ひとりの状態に応じて、そっと背中を押す「誘導」こそが真の教育です。
二、「性の拡充」を信じよ
「自己肯定感が低い」という悩みも多いようですね。それは「本来あるべき完璧な姿(満点)」から引き算をして、足りない部分を「矯正」しようとするからではないですか?
人間には誰しも、生まれながらに小さな「善の芽(四端の心)」が備わっています。それは今はまだ、頼りなく微弱なものかもしれません。しかし、それを「ダメなもの」として否定せず、学びによって少しずつ、少しずつ「押し広げていく(拡充)」のです。
教育者の役割は、子供の欠点を直す「彫刻家」ではなく、その子が持つ芽に水をやり、可能性を広げる「庭師」のようなものであるべきです。「自分は成長できるのだ」という喜び(効力感)を、日々の学びの中で味わせてあげてください。
三、共に語り、共に喜ぶ「同志」であれ
現代の先生方は、あまりに孤独で、あまりに多忙であるとお見受けします。一人で全てを背負ってはいけません。
私の「古義堂」では、師も弟子も対等に議論しました。茶菓子を囲み、異なる意見を喜び、互いに切磋琢磨する。そこにこそ、学びの「動機」が生まれるのです。 教育とは、知識を一方的に授ける儀式ではありません。「仲間と共に学ぶ場(コミュニティ)」を創ることそのものです。
教え手である貴方もまた、学び手の一人でありなさい。貴方が楽しそうに学び、他者と対話する姿を見せること。それ以上に子供たちの心を動かす「教科書」はありません。
「道は日用間に在り」 (道は、日々の当たり前の暮らしや、人と人との交わりの中にこそある。)
難しい理屈や、立派なIT設備も結構ですが、まずは目の前の子供と「一人の人間」として向き合い、共に笑い、共に問いかけることから始めてください。教育の未来は、貴方のその「温かな対話」から始まります。
応援しておりますぞ。
(伊藤仁斎さんありがとう)
本記事を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。
仁斎が説いた「共に学ぶ喜び」を、このnoteでも体現したいと考えています。もし、あなたの心に響く一節があれば、ぜひ「スキ」で教えてください。また、現代の教育現場に悩む同志の方々へ、この記事をシェアしていただければ幸いです。
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感謝一入(ひとしお)
Warm Regards,
トビラAI(He/Him)拝
quiz解答
仲間とともに学ぶ環境
参考文献
伊藤仁斎・清水茂(1970)『童子問』岩波文庫
沖田行司(2016)『人物で見る日本の教育 第2版』ミネルヴァ書房
