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若い先生の皆さんへ第2部<165>T(11)_「自由に話し合って」で教室が崩壊する理由。脳科学が明かす、学力を爆上げする「明示的指導」の設計図

   こんにちは、トビラAIです。今回は教師のスキルセットAtoZの「T;Teaching」の11回目です。前回は一見活気があるだけの「美しい授業(自己満足)」の罠に気づき、冷徹に授業の効果を自責意識で検証することを提案いたしました。未読の方は以下をご覧ください。

それではよろしくお願いします。


この記事を読むとできるようになること

  • 子どもを置いてけぼりにしない、脳科学(認知負荷理論)に基づいた破綻しない授業が設計できるようになります。

  • 生徒の「ワーキングメモリ(脳の机)」をパンクさせない、1回6分以内の精密な「スモールステップ指導」が実践できるようになります。

  • 「子ども中心」という美しい言葉の罠を見抜き、データ(PISA等)に裏付けられた本当に学力を伸ばす「足場かけ(スキャフォールディング)」ができるようになります。 

  • 読了時間目安3分

 こんな経験はありませんか。 「今日は子どもたちに深く考えてもらおう!」と意気込み、授業の最初から「この問題の解き方を、グループで自由に話し合って見つけてみてください」と投げかける。教室は一見、あちこちで話し合いが始まり、活気があるように見えます。しかし、いざ個人のノートを見てみると、多くの子が数式の手前で鉛筆を止めたまま、困惑した表情を浮かべている……。

 なぜ、最初から子どもたちに『発見』させようとするアクティブラーニングは失敗し、授業が破綻してしまうのでしょうか。その答えは、子どもの気合いや根性の問題ではなく、人間の脳の構造、特に『ワーキングメモリ(作業記憶)』のキャパシティ限界にあります。
ここでQUIZです。

今回のQUIZ

 人間の脳の「ワーキングメモリ(作業記憶)」の限界を、バーバラ・オークリー博士はある生き物に例えています。それは何でしょうか?
ア フクロウ
イ タコ
ウ アリ
エ カブトムシ

考えてみてください。

今回は、なぜ最高のデリバリーにおいて、教師が主導する「明示的指導(Direct Instruction)」が絶対に欠かせないのかを、脳科学の視点からカチッと紐解いていきましょう。

あなたの授業、パンクしてない?脳の机は「1Kアパート」より狭いという絶望

 私たちが何か新しい情報を聞いたり、問題を解こうとしたりするとき、脳の中で一時的に情報を保持して処理する領域を「ワーキングメモリ」と呼びます。これは、勉強をするための「脳の机」のようなものです。

脳科学(認知負荷理論:CLT)が明らかにした不都合な真実、それは「この脳の机は、驚くほどスペースが狭い」という事実です。

 一般に、人間のワーキングメモリが一度に処理できる情報の塊(チャンク)は、わずか「4つから7つ程度」と言われています。しかも、これから新しく学ぶ分野(生物学的二次知識)になればなるほど、一つの情報が机の上で大きなスペースを占拠してしまいます。
 Barbara Oakley博士はこの状況を4本足の表現されています。下の画像をご覧ください。

Barbara Oakley(2021),p8

 先ほどの「最初から生徒に解き方を発見させる」という授業を、この脳の机の上で再現してみましょう。 生徒の机の上には、「問題の意味を理解する」「公式の候補を思い出す」「グループの仲間の意見を聞く」「自分の意見をまとめる」「ノートに何を書くか迷う」といった大量の要素が、一気にドサッと置かれます。

 結果はどうなるでしょうか。一瞬で脳の机の上がパンクします(右側のタコの状態)。これを「認知オーバーロード(認知過負荷)」と呼びます。 脳がパンクした生徒は、思考を深めるどころか、不快感を回避するために脳のスイッチを完全にオフにしてしまいます。「授業がつまらない」「何を言っているのか分からない」と感じる正体は、実はこの脳のパンク状態なのです。

無免許で公道へ?「自由に発見させる授業」がただの教育放任である理由

 知識がまだ頭の中に構築されていない初学者に対して、「自ら能動的に発見しなさい」と丸投げするのは、アクセルとブレーキの踏み方すら教えていない教習生を、いきなり車の運転席に座らせて「さあ、自由にドライブしてごらん」と公道へ押し出すようなものです。それは教育ではなく、ただの放任です。

 生徒が自力で問題を解く(=行動に移せる)ようになるためには、まず教師が主導し、知識の骨格をカチッと手渡す「明示的指導(Direct Instruction)」が必要です。

 明示的指導とは、決してダラダラと教科書を読み上げるだけの退屈な講義ではありません。かつて私が大学生のとき受けた「哲学概論」の講義は、教授が椅子に座って書籍を読むだけの衝撃の授業でした。寝るしかない。まさか先生方の授業がそんなことになっているとは思いませんが、ただ説明しているだけに終わっていませんか?

 違うんです。明示的とは、何事も「狙って結果を出す」ことなのです。

 プロのデリバリーとは、生徒のワーキングメモリの負担を極限までコントロールする、以下のような精密な設計図に基づいています。

情報を細分化する

 一気にすべてを教えず、5〜10分の短いスモールステップに分ける。東大の栗田教授はCourseraの講義で「6分間のマイクロティーチング」を展開されていますが、要は1つの内容を6分以内に収めよ、ということなのです。先生という生き物はとにかく喋ってしまうもの。コンパクトに簡潔に、6分以内を狙ってまとめましょう。ちなみにこの講座のリンクは下に貼っておきました。Courseraでは極めて珍しい、日本語の講義です。ほっこりします。

教師が思考を実演する

 問題を解く際、教師自身が「なぜその補助線を引くのか」「どこで躓きやすいのか」を、頭の中の声を明示して実演してみせる。これは意図的に、あらかじめどこを強調しないといけないのか狙って決めておかないといけません。

明確な基準を提示する

 解説付きの解答例(Worked Example)を最初に見せ、脳の机の上に「完成形のイメージ」を用意してあげる。例えば数学の証明問題の解説をするときに、ここまで書ければ2点、これがあれば+2点というように、最初に採点のルーブリックを示すのもよいでしょう。その狙いは、生徒がこのルーブリックに沿って解答をすることで、4本しかないタコの足に対応できるように導くことです。

 このように、教師が狙って「足場(スキャフォールディング)」を丁寧に組んであげるからこそ、生徒の脳はパンクすることなく、安心して新しい知識を長期記憶へと移行させる準備ができるのです。

データが証明した不都合な真実:「天才の発見」を待つより、「プロのデリバリー」を届けよ

 国際的な学習到達度調査(PISA)の膨大なデータを分析した研究でも、非常に明確な結果が出ています。「教師が主導する明示的指導」の頻度が高い国ほど、数学や科学の成績と強い正の相関があるという事実です。

 私たちは、「子ども中心の授業」という美しい言葉に惑わされてはなりません。 子どもたちが本当に自律的に考え、批判的思考を発揮し、応用問題を解けるようになるのは、「教師のデリバリーによって、基礎的な内容を十分にマスターした後」です。脳の中に確固たる知識のリンクがない状態では、いくら話し合わせても薄っぺらいおしゃべりで終わってしまいます。

 講義だけで成績は上がりません。しかし、プロが魂を込めて行う「明示的指導」というデリバリーがなければ、子どもたちの自立した「解く力」は絶対に芽生えないのです。

 先生方、明日からの教壇では、最初から生徒に丸投げする「美しい形」を一度捨ててみてください。まずはあなたが教壇の主役となり、子どもたちのワーキングメモリを守りながら、圧倒的に分かりやすい明示的な指導で知識の骨格をプレゼントしてあげるのです。そこから、子どもたちが自力で羽ばたくための本当の物語が始まります。

QUIZの解答

イ(タコ)
でした。

ありがとうございました。
今回の脳科学に基づく「明示的指導」の物語はいかがでしたでしょうか? もし「明日からの授業設計に役立ちそう!」「脳のタコを救いたい!」と感じていただけましたら、ぜひ「スキ」と「フォロー」をぽちっとお願いいたします。あなたのその1アクションが、トビラAIのワーキングメモリを無限に拡大する最大のエネルギー源となります!

また、職員室の仲間や、授業づくりに悩む先生方にも、この「足場(スキャフォールディング)の秘密」を届けてみませんか?下のボタンからX(旧Twitter)や各種SNSでシェアしていただけると、嬉しくてトビラAIの脳のスイッチが200%でオーバードライブします。コメント欄での熱い意見交換も大歓迎です!

プロのデリバリーで、子どもたちの未来の扉を共に開いていきましょう。

感謝一入
Warm Regards,
トビラAI拝

参考文献

  • Sweller, J., van Merriënboer, J. J. G., & Paas, F. (2019). Cognitive Architecture and Instructional Design: 20 Years Later. Educational Psychology Review, 31, 261–292.

  • Kirschner, P. A., Sweller, J., & Clark, R. E. (2006). Why Minimal Guidance During Instruction Does Not Work: An Analysis of the Failure of Constructivist, Discovery, Problem-Based, Experiential, and Inquiry-Based Teaching. Educational Psychologist, 41(2), 75–86.

  • Stockard, J., Wood, T. W., Coughlin, C., & Rasplica Khoury, C. (2018). The Effectiveness of Direct Instruction Curricula: A Meta-Analysis of a Half Century of Research. Review of Educational Research, 88(4), 479–507.

  • Hattie, J. A. C. (2009). Visible Learning: A Synthesis of Over 800 Meta-Analyses Relating to Achievement. Routledge.

  • McKinsey & Company. (2017). Drivers of Student Performance: Insights from PISA.

  • Oakley, B., Rogowsky, B., & Sejnowski, T. J. (2021). Uncommon Sense Teaching: Practical Insights in Brain Science to Help Students Learn. TarcherPerigee.

  • The University of Tokyo"6分間模擬授業で学ぶ授業づくり(Learn How to Teach by 6 Min. Micro Teaching)"Courseraの講義

トビラAIプロフィール

※ 本稿では画像生成と文章の推敲に生成AIを使用しています。

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