トコの観察日記 〜産まれた日のこと 前編〜
はじめに
これは娘である「トコ」の出産時の日記です‼️
私の視点から書き綴ったものです。
こちらに自己紹介を書いています。
ゴールデンウィーク

今年も、天気の良いゴールデンウィークが終わった。
半袖だと少し肌寒い、でも薄手の上着を一枚羽織ればちょうどいい、そんな気温。
心地よい風が部屋のカーテンを揺らしていた。
ゴールデンウィークといえば、例年ならちょっと遠出をしたり、人混みに揉まれてクタクタになったりするけれど、今年は何もしなかった。
近所に買い物へ行って、ぐだぐだ過ごしていたら終わっていた。
いや、何もしなかったわけじゃない。
今年は「その日が来るかもしれない」と思って、ただただ、待つことにした。
10か月前から分かっていたこと。
それは、「ゴールデンウィークに子どもが産まれる」こと。
そわそわしながらゴールデンウィークを過ごしていたけれど、拍子抜けするほど何も起こらず。
ただカレンダーが、静かにめくられていった。
GW明け

連休が明けて数日後。
妻が「お腹が張る感じがする」と言い出した。
まだ歩けるし、そこまで痛くないというので、カバンに荷物を詰め込んで、タクシーではなく電車で隣駅の産婦人科へ向かう。
診察の結果。
「まだ本陣痛ではないけれど、血圧も高いので入院しておきましょう」とのこと。
正直、ホッとした。
自宅で突然破水してパニックになるより、入院して陣痛に備えられる方がずっといい。
妻は入院になったがすぐに産まれるわけではなので、夫である私は家に帰っることになった。
入院中

病室の妻からLINEで状況が届く。
「だんだん痛くなってきて、全然寝られない」
大変さが伝っていくる。
そして翌朝。
いよいよ本格的な陣痛が始まった。
病院から連絡があり、私も呼び出される。
産婦人科に着くと、
そこには数分おきの陣痛に、必死に耐えている妻の姿があった。
陣痛でほとんど眠れずに朝を迎えたらしい。
立ち会い

私は、血を見るのが苦手だ。
だから出産の立ち会いは、最初から「立ち会わないつもり」だった。
……そのはずが。
「立ち会いたくなるかもしれないよ?」
そんな妻の一言に、たしかに、と思い直した。
結局、立ち会うかどうかはその時の気分で決めればいい、ということになり。
同意書にサインだけはしておいた。
そして今。
看護師さんの「せっかくだから」の後押しもあり、
妻にもそう言われ、心が揺れた。
私は分娩室に入った。
想像以上だった。
いや、想像なんて、最初からできるはずもなかった。
陣痛の波がくるたびに、妻の眉が苦しげに歪む。
声も出せないほどの痛みに耐えている。
ただ見ているだけで、胸がざわざわした。
途中から陣痛促進剤を投与することになった。
30分おきに少しずつ量を増やして、出産を後押ししていくという。
薬が効きはじめてから、痛みはさらに強くなった。
けれど、まだ「その時」は来ない。
耐える時間がひたすら続く。
30分がやけに長く感じる。
妻はずっと、うねるような痛みに耐えていた。
そのまま1時間、2時間と時間は過ぎていった。
お腹の赤ちゃんは少しずつ下がってきている。
順調に進んでいる。でも、まだ時間はかかる。
妻の体力は明らかに削られていた。
私にできたことは、ほんのわずか。
汗を拭いてあげること。お茶を飲ませること。
そして、声をかける、ただそれだけだった。
つづく。
