第10回: 5年ロードマップの読み方と、いま実務担当者がやるべき3つのこと
連載の最終回です。提言は金融庁を中心とした5年間のロードマップ策定を求め、骨太の方針2026への反映が調整されています。3メガ共同SCの実運用目標は2027年3月。日銀当預トークン化の論点整理は年内。東証T+0、PIP拡大、2027年のADB名古屋総会でのアジア発信——時間軸はすでに引かれ始めています。
ロードマップの読み方: 「確定した未来」と「争われる設計」を分ける
5年計画を読むコツは、もう戻らない流れと、これから決まる設計を仕分けることです。
ほぼ確定した流れ: 金融のオンチェーン化が国家戦略になること。TDとSCが併存すること。エージェント決済の標準化が国際的に進むこと。
これから争われる設計: TDの銀行間相互運用の仕様。当預トークン化のアクセス範囲。AML機能集約の線引き。国内決済におけるSCとTDの役割分担。エージェント権限(AP2的な仕組み)と国内法制の接続。——価値の大半は、この「争われる設計」への参加で決まります。
実務担当者がやるべき3つのこと
①自社の5年計画と重ねる。 勘定系更改、次期システム投資、全銀・日銀ネット接続の計画に、TD/SC対応の分岐点を書き込む。「対応する/しない」ではなく「いつ判断するか」を先に決めることです。
②標準化のテーブルに人を出す。 業界団体、実証プロジェクト、パブコメ。設計が固まってから読む側に回るか、固まる前に書く側に回るか。人ひとり分の工数で、5年後のシステム改修費が桁で変わります。
③社内に翻訳者を育てる。 規制の言葉と実装の言葉、両方を話せる人材が、この5年で最も希少な資源になります。
この連載が、その最初の教材になれば幸いです。ここから先の各論——貴社の場合はどうか——は、ぜひ個別に議論させてください。
