【初回】オンチェーン金融(トークナイゼーション)の連載をはじめます
2026年7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」、いわゆる骨太の方針2026の本文では「オンチェーン金融の推進」が掲げられました。オンチェーン金融が国策になった日と言える日です。
オンチェーン金融とは、ブロックチェーン上で、トークン化預金やステーブルコイン等による資金決済を、商流・物流等のデータ管理とプログラムによって連動・一体化する金融。
ステーブルコイン、トークン化預金、そしてCBDC—個別の話題としてはニュースになっても、それらを一つの体系として説明した日本語の情報は、驚くほど見当たりません。だから私は一つの記事や一冊の本ではなく、読者によって知りたいことのレベルを変えて6つの連載を同時に走らせることにしました。決済の仕組みそのものを知りたい人。いま起きている政策・技術の動きを追いたい人。そして、自社で何をすべきかまで踏み込みたい人。この3層を、6連載に分けてお届けします。
どこから読み始めても構いません。ただ、順番に読めば「基礎→現在地→実務」と、理解が積み上がっていく設計にしてあります。
① 『決済の教科書』(全10回)
振込ボタンを押すと、数秒で相手にお金が届きます。あまりに当たり前で、その裏側で何が起きているかを考えたことがある人は、ほとんどいないはずです。
全銀システム、日銀ネット、SWIFT、ISO20022—決済に関わる仕事をしていれば一度は耳にする言葉なのに、平易に整理された解説は驚くほど見当たりません。難しいからではなく、当たり前すぎて、誰も説明してこなかったからです。
本シリーズは、その空白を埋める全10回です。振込ボタンを押した瞬間から出発し、全銀システム、日銀当座預金、海外送金とSWIFT、ISO20022を経て、最終回「銀行はなぜお金を創れるのか」にたどり着きます。読み終えたとき、②③で扱うステーブルコインやトークン化預金の議論が、まったく違う解像度で読めるようになっているはずです。この連載が、後続2つの土台になります。
② 『AI×オンチェーン金融の読み解きシリーズ』(全10回)
2026年5月、自民党の「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」の提言が党内で了承されました。骨太の方針への反映も調整されていると報じられており、単なる党内文書では終わらない重みを持っています。
提言が描く未来像は明快です。AIエージェントが選択・購買・支払・契約を自動で行う時代が来る。そのとき取引の信頼性を担保する基盤として、ブロックチェーンが位置づけられている—という構図です。
本シリーズは、この13ページの提言を、専門用語の解説から実務者への示唆まで一気に読み解く全10回です。日本の政策論だけでなく、AP2・ACP・x402といった海外のプロトコル動向、ChatGPTのInstant Checkout撤退が教えた教訓まで扱います。①が基礎なら、②は「いま何が動いているか」の現在地です。
③ 『オンチェーン金融 実務家ノート』(全10回)
「ステーブルコインとトークン化預金、結局うちは何をすればいいのか」—この連載は、その問いに答えるために始めます。
①と②が「何が起きているか」を書くのに対し、③は「自社ではどう動くか」だけを書く連載です。全10号、毎号に現場でそのまま使えるチェックリストや構造図を添えて、実務の手が止まる場所を一つずつ潰していきます。トークン化預金の相互運用設計、日銀当座預金トークン化のシナリオ、新決済システムへの接続戦略、AML/CFT態勢構築—基礎知識では止まらない、実装レベルの論点だけを扱います。無料の①②で土台と現在地を掴んだ方に、次の一歩として届けたい連載です。
3つの連載をすべて読み終える頃には、オンチェーン金融という分野の見取り図が、あなたの中にできあがっているはずです。
④『オンチェーン金融 技術者向けテックノート』(全10回)
ステーブルコイン、トークン化預金、トークン化資産、AIエージェント決済を理解し、PoCや実装へ進むには、金融制度やユースケースだけでなく、その背後で動く技術を理解する必要があります。本シリーズでは、ブロックチェーン、スマートコントラクト、ERC、MPC、オラクル、オンチェーンID、相互運用、AIエージェント決済を、金融実務とコード・アーキテクチャの間をつなぎながら解説します。
10回を通じて、一つのオンチェーン金融システムがどのように構成されるかを理解するシリーズです。
⑤『世界のオンチェーン金融 プロジェクト』
オンチェーン金融を調べていると、世界各地のプロジェクト名が次々に現れます。参加する中央銀行や金融機関の数、使われているブロックチェーン、実証された取引件数などが注目されますが、それだけでは、プロジェクトの意味は分かりません。同じ「トークン化金融の実証」と呼ばれていても、実際には、目的が混在しています。
本シリーズ「世界のオンチェーン金融・プロジェクト解剖」では、ニュースの見出しではなく、その内側にある金融構造を読み解きます。
⑥『オンチェーン金融 ユースケースの地図』
鋭意執筆中!リクエストがあれば早めに書きます(笑)
以下のような構想を説明するとき、しばしば「ブロックチェーン」「トークン化」「スマートコントラクト」「24時間365日」といった言葉が並びます。
・海外への支払いを数秒で完了させる。
・企業グループ内の資金を、休日や夜間でも移動させる。
・外国為替取引と資金決済を同時に実行する。
・余剰資金を自動的にMMFへ投資し、支払いが必要になれば即座に償還する。
・商品が到着したことを確認してから、売り手へ代金を支払う。
しかし、本当に問うべきなのは、ブロックチェーンで実現できるかどうかではありません。その取引を、オンチェーンで実現する必然性があるか。
本シリーズでは色々なユースケースを取り上げ、この疑問に答えていきます。
本連載群は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
また直近の情報をもとに構成していますが、その正確性を保証するものでありません。ご利用の際には十分ご留意ください。
