見出し画像

オンチェーン金融 技術者向けテックノート(全10回:無料/有料)

ステーブルコイン、トークン化預金、トークン化資産、AIエージェント決済を理解し、PoCや実装へ進むには、金融制度やユースケースだけでなく、その背後で動く技術を理解する必要があります。本シリーズでは、ブロックチェーン、スマートコントラクト、ERC、MPC、オラクル、オンチェーンID、相互運用、AIエージェント決済を、金融実務とコード・アーキテクチャの間をつなぎながら解説します。

1.なぜテックを深掘りするのか

オンチェーン金融に関する議論では、ステーブルコイン、トークン化預金、スマートコントラクト、ウォレット、オラクル、AIエージェントといった言葉が頻繁に登場します。しかし、用語の意味だけを知っていても、システムを設計したり、PoCの論点を整理したりすることは困難です。
例えば「KYC済みウォレットだけに送金する」という一文は、実装レベルでは、顧客IDとウォレットアドレスの対応、Credentialの発行と失効、AllowlistまたはIdentity Registry、移転前のコンプライアンス判定、個人情報の保持場所、監査証跡などに分解されます。
また「L2上でステーブルコインを送る」という一文にも、RPC、Nonce、Gas、Sequencer、Data Availability、L1への確定、Event監視、残高照合、障害復旧が含まれます。

2.全10回でつながる技術スタック

ブロックチェーン/L2
        ↓
スマートコントラクト/EVM
        ↓
ERC・署名規格
        ↓
金融トークンの発行・運用
        ↓
ウォレット・MPC・鍵管理
        ↓
オラクル・外部システム連携
        ↓
ID・KYC・プライバシー
        ↓
相互運用・DvP/PvP
        ↓
AIエージェントの権限・商取引
        ↓
x402/MPPによる機械間決済PoC

各回は独立して読めますが、第1回から順に読むと、個別の技術が一つの金融システムとしてつながる構成です。

第1回 ブロックチェーンでは何が動くのか

ウォレットで署名された取引がRPC、ノード、ブロック生成者、EVM、コンセンサスを通り、どの段階で技術的・業務的に確定するのかを解説します。L2ではSequencer、Rollup、Data Availability、L1確定が加わることを整理します。

第2回 スマートコントラクトとEVMをコードから理解する

スマートコントラクトを「契約書」ではなく、状態を変更するプログラムとして読みます。Storage、Memory、Calldata、ABI、msg.sender、Event、Revert、外部呼出し、Reentrancyなどを扱います。

第3回 ERCと署名規格は何を標準化しているのか

EIPとERCの違いを整理し、トークン規格と署名・認可規格を比較します。EIP-712、Permit、Transfer With Authorization、Nonce、Domain Separatorなどを解説します。

第4回 金融トークンの設計・アップグレード・本番運用

Mint、Burn、Freeze、Pause、Allowlist、Clawback、Role Based Access Controlを金融業務へ対応させます。Transparent/UUPS Proxy、管理鍵、Storage Layout、アップグレード監査も扱います。

第5回 ウォレット、MPC、鍵管理、リカバリー

秘密鍵、公開鍵、EOA、コントラクトウォレット、HSM、MPC、Threshold Signature、Policy Engineを整理します。

第6回 オラクル、外部システム連携、Proof of Reserve

スマートコントラクトが外部APIを直接参照できない理由から始め、Oracle Contract、Node、Data Feed、Push/Pull、Webhook、Message Queueを説明します。

第7回 オンチェーンIDとプライバシー技術

顧客IDとWallet Addressの対応、オンチェーン/オフチェーンKYC、Identity Registry、DID、Verifiable Credential、失効を整理します。

第8回 相互運用とDvP/PvP

Lock and Mint、Burn and Mint、Cross-chain Messaging、Relayer、Source Finality、Canonical Tokenなどを整理します。

第9回 AIエージェント決済のプロトコルスタック

MCPやA2Aによる通信、AP2・ACP・UCPによるIntent、Mandate、Cart、Order、Evidenceの構造を整理します。

第10回 x402/MPPで機械間決済を実装する

HTTP 402、Payment Challenge、署名付き支払指図、Facilitator、Stablecoin Settlement、APIレスポンスの同期を扱います。

本連載群は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
また直近の情報をもとに構成していますが、その正確性を保証するものでありません。ご利用の際には十分ご留意ください。


いいなと思ったら応援しよう!