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第5回: SC/TDのAML/CFT設計——「同じ規制」でも、実務はこれだけ違う

ステーブルコイン(SC)とトークン化預金(TD)は、どちらもAML/CFT(マネロン・テロ資金供与対策)の規制に服します。しかし「規制に服する」ことと「態勢をどう作るか」は別問題です。両者の実務設計は、想像以上に違います。

TDの態勢: 既存の延長線

TDは銀行預金そのものです。保有者は原則としてその銀行のKYC済み顧客であり、取引モニタリング、疑わしい取引の届出、制裁スクリーニングは、既存の銀行AML態勢の対象取引が一つ増えるという整理で始められます。もちろん24時間365日化やプログラマビリティへの対応は必要ですが、態勢の骨格は流用可能です。

SCの態勢: 新しい問いの連続

SC(電子決済手段)は移転の自由度が高い分、態勢設計に新しい問いが並びます。

  • 保有者の把握: 自社が本人確認していない先へ移転が起きたとき、誰が・どこまで把握責任を負うか

  • トラベルルール: 移転に付随させる送金人・受取人情報を、どの技術方式で実装するか(FATF勧告16改訂で要求が構造化データへ強化される見込み。第6回参照)

  • 凍結・没収への対応: 台帳上の資産に対する凍結要請を、技術的にどう執行可能にしておくか

  • 国境: クロスボーダー移転時の、相手国規制との整合

これらは「できるか」ではなく「最初からプロトコルに組み込んでおくか、後から人力で追いかけるか」の設計選択です。後者を選んだ態勢は、取扱量の増加とともにコストが線形以上に増えていきます。

提言が示した第三の道

自民党PT提言は、AML機能をオンチェーン上に集約して各行の負担を軽減する方向性に言及しました(第9回で詳述)。個社の態勢設計と業界の共通基盤——この二層を見据えた設計が、これからの標準になると考えています。
態勢構築の具体的なチェックリスト(50項目)は、有料連載「実務家ノート」第4号で公開予定です。


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