映画感想 『ぼくの名前はラワン』 (★★★)
先天性の重度聴覚障害をもつ少年ラワン。クルド人難民として、イラクからイギリスに逃れてきた彼が、「手話」という言語を獲得する姿を描くドキュメンタリー作品。
言葉を持たなかった彼が閉じ込められていた世界の、孤独と孤立。その世界が徐々に開いていく様子。
その変化を表現する、カメラワークと音響設計が見事。何の予備知識もなく観に行ったこともあり、しばらく劇映画だと信じ込んでいたほどの没入感がある。
その手法は、純粋な「ドキュメンタリー」というより、ラワン本人とその家族、ろう学校の教師と生徒ら、「当事者による再現」を織り交ぜた独特のスタイル、と呼ぶのが適切だろう。
海外の「ドキュメンタリー」には、こういうタイプが多いような気がする。
いずれにしても、「言語の獲得 = 世界の認識 = アイデンティティの獲得」という、内面世界の変化の、的確かつ詩的な再現に成功していると思う。
そして、最後には遠い世界に連れて行かれるスケール感。なんというかもう、気づけばずっと涙目。
いろいろと、嫌なニュースばかりが飛び込んでくる新年だが、世界はそんなに悪くないと思わせてくれる一作。
一人でも多くの人に観てもらいたい。

(評価は、無星 / ★ / ★★ / ★★★)
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