今ごろ、アワビはどうしているかな【島総②#27】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習②
東京での表彰式で全国の発表や大きな科学館に触れた2日間でしたが、学校ではまだ、「アワビいっぱい大作戦」の最後の活動が残っていました。
子どもたちが育て、標識を付けてきた小さなアワビたち。
その「続き」が、いよいよ海で始まろうとしていました。
1.アワビを海へ返す日
東京での表彰式を終え、島へ戻ってくると、「アワビいっぱい大作戦」も、いよいよ最後の活動になりました。
子どもたちが育ててきたアワビの稚貝を、海へ放流する日です。
前日、私は放流用の入れ物を探していました。
エチルアルコールで剥離したアワビは、普通のバケツへ入れると、また壁面へ張り付いてしまいます。
そのため、網目状になった袋のようなものが必要でした。
学校中を探し回り、最後に見つけたのが、流し台の残飯受け用の袋でした。 「これなら使えそうだ。」
そんなふうにして、何とか準備を終えました。
放流当日。
子どもたちは、自分たちが育ててきた小さなアワビを、そっと手に乗せていました。
よく見ないと分からないほど小さな稚貝です。
それでも子どもたちは、ずっと世話をしてきたアワビだということを、ちゃんと分かっているようでした。
2.岩場へ放す
この日は、民放テレビ局と地元新聞社も取材に来ていました。
カメラを向けられると、子どもたちは少し緊張した様子になります。
それでも、いつもの活動と同じように袋を持ち、岩場へ向かっていきました。
以前、水産研究所のY先生と一緒に見て回った放流場所です。
子どもたちは岩場へしゃがみ込み、海水の中をのぞき込みながら、そっとアワビを放していきました。

海へ入った稚貝は、岩へ張り付くようにして、少しずつ見えなくなっていきます。
午前中の放流が終わったあと、午後3時頃からは、保護者の漁師さんの船でも放流を行いました。
漁師さんは、
「これぐらい育っとったら、だいぶ残るやろうな。」
と話していました。
子どもたちが付けた標識のアワビが、水揚げされるのは順調にいって3年後だそうです。
その話を聞きながら、子どもたちは海の方を見ていました。
3.放流が終わって
これで、「アワビいっぱい大作戦」の大きな活動は一区切りになりました。
もちろん、最後には子どもたち自身で活動を振り返り、まとめをしていかなければなりません。
ホームページにも、今回の実践を整理して掲載する予定でした。
放流が終わったあと、子どもたちは少しほっとしたような顔をしていました。
毎日世話をしてきたアワビが、ようやく海へ戻っていったからです。
私はその様子を見ながら、来年度の総合的な学習の時間はどんなテーマにしようかなとぼんやり考えていました。
4.新聞に載ったアワビたち
翌日になると、前日の放流の様子が地元新聞へ掲載されていました。
記事はそれほど大きくはありませんでしたが、カラー写真付きでした。
アワビ育成から放流までの経緯や、子どもたちのコメント、さらに学習をまとめたホームページのアドレスまで紹介されていました。
せっかくなので、私は記事をスキャナで取り込んで保存しておくことにしました。
学校では、子どもたちも新聞をのぞき込みながら、
「テレビ映っとったな。」
などと話していました。
少し照れくさそうでしたが、うれしそうでもありました。
5.「今ごろ、アワビはどうしているかな」
その日の「島っ子交歓BLOG」の担当は、1年生の男の子でした。
昨日の放流のことを書いてみたらどうかな、と少しだけ話題をアドバイスすると、テレビに映ったことや、放流の様子を書き込んでいました。
その中で、私はそれに対するある子のコメントが気になりました。
「今ごろ、アワビはどうしているかな(?0?)」
放流したアワビが、今どうしているのか。
ちゃんと岩場に張り付いているのか。
そんなことを考えていたのでしょう。
職員室では、子どもたちがブログへ書いたコメントが話題になることがありました。
「ああ、この書き方、○○らしいな。」
そんなふうに話しながら、教師たちは子どもたちの文章を読んでいました。
短い言葉でも、その子らしさは、ちゃんと表れるものなのだと思っていました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回(最終回)に続く・・・
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初めて来られた方へ👇👇
本シリーズは、離島の小学校で実践した総合的な学習の記録です。
本作は2003年度、赴任2年目の取組を扱います。
アワビの中間育成・放流を軸に、交流活動やICT活用を重ねながら広がっていった学びの過程を描いています。
前年度には「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、農林水産大臣賞を受賞しました。
▶ 前シリーズ 総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)
総合実践のvol3、アワビいっぱい編(マガジン離島の総合的な学習の時間②)👇👇👇
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