台風臨休と、10月1日の約束【島小②#26】/離島の小学校編Season2 26
2003年9月、台風と台風の間をうまくよけながら、無事運動会は実施されました。
多くの若者の参加で、盛り上がった運動会となりました。
その後の運動会の振替休日を含めた自宅に帰ってからの話です。
前回の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
今から約20年以上前、2002年(平成14年)4月、県で唯一の離島にある小学校に赴任しました。
車も信号もなく、連絡船は1日3往復が命綱の島でした。
海の荒れる日は、移動そのものが大きな出来事になります。
島の仕事や暮らしは、天候と船の都合に大きく左右されていました。
少ない職員で学校を回し、小中の宿舎で生活をともにする日々が続きました。
予定通りにいかないことが、特別ではなく日常です。
また、島にはインターネット接続はなく、デジタルデバイドは広がっていくばかりでした。(※離島のデジタルデバイド編参照)
そんな中でも,総合的な学習の時間で子どもたちに自信をもたせてやりたいと考え,取り組んできました。(※離島の総合的な学習の時間編①参照)
そんな背景となるこの島での小学校編では、授業や行事だけでなく、島ならではの工夫や出来事、ここでしか味わえない体験の数々を、当時の日記を元に小さな学校と暮らしの記録として綴っていきます。
2年目2003年の、Season2(2年目)2学期のお話です。
離島の小学校編Season1(1年目の記録)マガジンはこちら
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
1 台風の気配と、止まる島の時間
運動会を終えたあと、台風は島に直撃こそしなかったものの、南の海上を発達しながら通過していきました。
その影響で連絡船は1日欠航となり、島は外との行き来が完全に止まることになりました。
私はこの前日に島を離れ自宅に帰っていました。
水門も閉じられたと聞き、あらためて島の暮らしが天候に大きく左右されていることを感じます。
もしこのタイミングが数日ずれていたら、中学生の修学旅行や自分の移動にも影響が出ていたはずで、そう考えると運がよかったとも言えました。
同じような空の下で、運動会を予定していた学校もあったはずです。
結果的には曇り空の1日でしたが、実施か順延か、その判断は相当に難しかっただろうと思います。
島にいると、天気は単なる話題ではなく、生活そのものに関わる現実として迫ってきます。
2 休みにならない「休み」の日
再び島へ戻る休日の最終日でした。
船が動かない1日は、落ち着かない時間でもありました。
島にいる用務員さんから連絡が来るようになって、以前のように港まで行って確認することはなくなっていたものの、最終便がどうなるのかがはっきりするまでは、動きようがありません。
結局、その便も欠航が決まり、子どもたちの家へ翌日の連絡を入れることになりました。
休みのはずなのに、どこか気が休まらないまま時間だけが過ぎていきます。
こうした日は、身体は休んでいるはずなのに、気持ちのほうが落ち着かず、かえって疲れてしまいます。
島での生活では、こうした「休みになりきらない日」が時折訪れるのでした。
3 臨時休校という、もう一つの判断
翌日も台風の影響は残り、連絡船は午前中の便が欠航しました。
防波水門も昼頃まで閉じられていたそうで、結果として臨時休校となりました。
その次の日は秋分の日で、仮に島へ渡れたとしても授業はできません。
そうした事情も含めての判断でしたが、やはり最初から予定されていた休みとは違い、どこか落ち着かない気持ちが残ります。
教頭先生からの連絡を受け、再び子どもたちの家へ連絡を入れました。
仕事としての動きはしているものの、日常のリズムには戻りきれない、そんな曖昧な時間が続いていきます。
もちろん、特休ということになっているのでしょうが、あらかじめ予定されていたものではありません。
その合間に、平日に行われる自分の子どもの運動会の予行を見に行きましたが、気持ちの切り替えがうまくできず、かえって疲れを感じる1日でもありました。
4 島に戻る日常と、イカ釣りの季節
連絡船が動き出した日、修学旅行から帰ってきた隣の中学生たちと同じ便になりました。
疲れた様子は見えましたが、台風の影響を受けずに帰ってこられたことに、ほっとした気持ちがあったようです。
船の待合室や船内には、新しく貼り紙がされていました。
イカ釣りの解禁日についての案内です。
この島では10月1日が解禁日とされており、漁協が正式に広報を始めたようでした。

昨年は校長先生に誘われるまま9月中旬から始めていましたが、はっきりとした決まりがあるとは意識していませんでした。
島の子どもたちも10月からだと言っていたような気がしますが、あくまで暗黙の了解のように受け止めていたのです。
しかし、こうして正式に示されると、守らなければならないものになります。
島の外から来る釣り客が夜通し釣っている様子を見れば、自分の行動はささやかなものだと思ってしまいがちですが、それでもルールはルールです。
だからこそ、今年は少し我慢をしています。
そして、解禁の日を心待ちにする気持ちが、いつの間にか日々の楽しみの一つになっていました。
次回に続く・・・👇
離島の小学校編Season2(2年目2003年度)はこちら👇👇
離島の小学校編Season1(赴任1年目2002年度)はこちら👇👇👇
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただいたお気持ちは、子どもたちの学びを物語として発信し続ける力となり、教育の現場で役立つヒントへとつなげていきます。