悔しさから始まった手応え【島小②#27】/離島の小学校編Season2 27
2003年、島の海にイカ釣りのシーズンがやってきました。
今年もまた、あの時間が始まります。
前回の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
今から約20年以上前、2002年(平成14年)4月、県で唯一の離島にある小学校に赴任しました。
車も信号もなく、連絡船は1日3往復が命綱の島でした。
海の荒れる日は、移動そのものが大きな出来事になります。
島の仕事や暮らしは、天候と船の都合に大きく左右されていました。
少ない職員で学校を回し、小中の宿舎で生活をともにする日々が続きました。 予定通りにいかないことが、特別ではなく日常です。
また、島にはインターネット接続はなく、デジタルデバイドは広がっていくばかりでした。(※離島のデジタルデバイド編参照)
そんな中でも,総合的な学習の時間で子どもたちに自信をもたせてやりたいと考え,取り組んできました。(※離島の総合的な学習の時間編①参照)
そんな背景となるこの島での小学校編では、授業や行事だけでなく、島ならではの工夫や出来事、ここでしか味わえない体験の数々を、当時の日記を元に小さな学校と暮らしの記録として綴っていきます。
2年目2003年の、Season2(2年目)2学期のお話です。
離島の小学校編Season1(1年目の記録)マガジンはこちら
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
1.秋の海に戻ってきた楽しみ
2003年の秋、島の海に再びイカ釣りのシーズンがやってきました。
昨年は校長先生に誘われて始めた釣りでしたが、あのときの大物の手応えが、まだ体のどこかに残っています。
今年もあの感覚に出会えるだろうか、そんな期待を胸に、海の様子を気にする日々が始まりました。
しかし今年は、解禁日の10月1日にどうしても島にいることができませんでした。
出張の予定が重なり、頭では仕方がないと分かっていながらも、どこか落ち着かない時間を過ごしていました。
島に戻ったとき、耳に入ってきたのは「昨日は小中学生でもよく釣れていた」という話でした。
その言葉を聞いた瞬間、嬉しさよりも先に、1日遅れたことへの悔しさが込み上げてきました。
あの場にいられなかったことを思うと、余計にその1日の重みを感じます。
それでも、ようやく自分にとっての「解禁」を迎えました。
少し出遅れてしまったという思いと、それでもこれから始まるという期待が、静かに入り混じっていました。
2.久しぶりの「ググッ」という感触
釣り場に立って最初のうちは、なかなかうまくいきませんでした。
竿先に伝わるのは、海草に引っかかるような重さばかりで、肝心の生命感がありません。
それでも何度か投げ続けていると、ついに違う感触が伝わってきました。
「ググッ」とくる、あの独特の引きです。

久しぶりに感じる確かな手応えに、思わず体が反応しました。
慎重に引き寄せ、ようやく1パイを釣り上げたときには、小さな達成感が広がりました。
計ってみると250グラム。
思わず携帯のカメラで写真を撮り、その日の記録として残しました。
この1パイが、今年のシーズンの始まりでした。
3.島に集まる釣り人と、手応えの違い
翌日は週末ということもあり、島の雰囲気が一変していました。
外から多くの釣り人が訪れ、港や堤防には人影が増えていました。
静かだった海が、少し賑やかに感じられます。
その中での釣果は2ハイ。
1パイ目は150グラムほどの小型でしたが、2ハイ目にかかったイカは違いました。
引いた瞬間にわかる、しっかりとした重み。
慎重にやり取りをしながら引き寄せ、姿が見えたときには思わず力が入りました。
500グラム。
竿を通して伝わる力強さは、やはり格別でした。
イカを取り込むためのギャフも持ってはいたものの、どのタイミングで使うべきかはまだよく分かっていません。
それでもこのサイズなら、なんとか抜き上げることができました。
こうした試行錯誤も、釣りの楽しさの一つなのだと感じます。
4.釣り荒れた海と、それでも続く時間
さらに数日後、島に戻ると、週末の熱気の名残を感じる話を耳にしました。
前夜から多くの釣り人が訪れ、50人以上が島を後にしたというのです。
その数を聞いたとき、正直なところ「もう釣り尽くされているのではないか」という思いがよぎりました。
それでも海へ向かいました。
釣り始めてすぐに小さいイカが2ハイ釣れましたが、その後はぴたりと反応が止まりました。
どれだけ投げても、あの「ググッ」という感触は戻ってきません。
海の中の気配が、どこか変わってしまったようにも感じられました。
これが「釣り荒れた」ということなのだろうか。
そんなことを考えながら、それでもしばらく竿を振り続けました。
5.記録の向こうにある、小さな積み重ね
こうして数日間で、合計5ハイのアオリイカを釣り上げました。
最大は500グラム。
餌木もいくつか海に持っていかれ、決して順調なことばかりではありませんでした。
それでも、1パイごとの手応えや、その日の海の様子は、確かに自分の中に積み重なっていきます。
今年も釣り記録は健在です。
さて、このシーズンは最終的に何ハイ釣り上げることになるのでしょうか。
そんなことを考えながら、次に竿を出す日を楽しみにしていました。
次回に続く・・・👇
離島の小学校編Season2(2年目2003年度)はこちら👇👇
離島の小学校編Season1(赴任1年目2002年度)はこちら👇👇👇
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただいたお気持ちは、子どもたちの学びを物語として発信し続ける力となり、教育の現場で役立つヒントへとつなげていきます。