秋の晴れ舞台【島小③#18】/離島の小学校編Season3 18
2004年10月。
超大型台風が過ぎ去ると、島には少し穏やかな時間が戻ってきました。
とはいえ、のんびりしている暇はありません。
今度は4年生2人を引率して、全国育樹祭へ向かうことになりました。
1.島の日常が戻る
台風が過ぎたある日、島の方からメジロの刺身をいただきました。
夕方、宿舎へ戻ると、中学校の先生方が談話室で夕食を囲んでいます。
「一緒に食べませんか。」
そう声を掛けていただき、その日はみんなで食卓を囲むことになりました。
いただいたメジロの刺身も並び、仕事の話をしたり、島の出来事を話したりしながら、ゆっくりと夕食の時間が流れていきます。
運動会や台風続きで慌ただしかった9月から10月でしたが、こういう何気ない夜が戻ってくると、ようやくいつもの島に戻ったような気がしました。
イカ釣りも相変わらず続けています。
竿が折れてしまってからは代わりの竿を使っていましたが、この日も夕方になると防波堤へ向かいました。
朝は穏やかだった海も、夕方には一変して強い風が吹き始めます。
波しぶきが防波堤を越え、雨のように降りかかってくる中、それでも1時間ほど粘ると200グラムほどのアオリイカが1杯。
これで今シーズン8杯目です。
また別の日には、何度か場所を変えながら釣り歩き、最後に2杯を追加しました。
大きい方は400グラムほどありましたが、取り込む直前に思いきり墨を掛けられてしまいました。
服を見て苦笑いしながらも、それもまたイカ釣りの楽しみの一つなのかもしれません。
2.4年生2人と全国育樹祭へ
10月中旬、4年生2人を引率して、緑の少年隊活動発表会へ向かいました。
翌日に開催される全国育樹祭にも参加するため、この日は宿泊を伴う日程です。
この島の学校でも緑の少年隊の活動があります。
海に囲まれた島ですが、豊かな森が川を通して海を育て、魚を育むことを子どもたちは学んでいました。
午後には皇太子さま(現在の天皇陛下)が県内に入られ、実家のすぐ近くの施設をご訪問される予定だと聞きました。
引率がなければ見に行っていたかもしれませんが、それよりも子どもたちと過ごす2日間の方が大切です。
発表会では、全国から集まった7つの緑の少年団が、それぞれの活動を7分間で紹介しました。
スライドも映像もなく、自分たちの言葉だけで発表していきます。
翌日の育樹祭で発表する代表も、その場で決まりました。
4年生2人も団旗とプラカードを持って堂々と入場し、その姿を見ているだけで少し誇らしい気持ちになりました。

午後5時前に発表会が終わると、交流会を経て山の上の宿泊施設へ向かいました。
3.山の上の長い夜
宿泊先では、まず夕食です。
参加者が多いため、レストランはバイキング形式でしたが、会場は子どもたちや引率の先生方でいっぱいでした。
食事のあとにはネイチャーゲームが行われました。
私にとっては初めての体験です。
最初は室内でカードを使って生き物を当てるゲームをし、そのあと外へ出て、決められた範囲の中から人工物を探していきます。
単純な活動でしたが、思っていた以上に夢中になっていました。
ゲームが終わって山の上から街を見下ろすと、眼下には夜景が広がっていました。
翌朝は6時10分発のバスです。
宿泊荷物は朝一番でゆうパックに預けることになっていたので、荷物をまとめながら5時起きに備えて早めに休みました。
4.少し緊張した1日
翌朝5時に起床し、子どもたちの荷物を発送すると、6時過ぎにホテルを出発しました。
朝食はバスの中でパンとジュースです。
会場には朝7時頃に到着しましたが、県内各地から続々とバスが集まり、まだ式典まで何時間もあります。
会場へ入るには、空港と同じような手荷物検査を受けなければなりません。
荷物は透明の袋へ入れ、金属類はすべて取り出します。
デジタルカメラも、その場で試し撮りをして確認を受けました。
皇太子さまのご臨席ということもあり、会場全体がどこか引き締まった空気に包まれています。
子どもたちは長い待ち時間にもよく頑張り、本番では立派に入場行進を終えました。
宿泊を伴う2日間で疲れもあったと思いますが、それ以上に、島ではなかなか経験できない大きな行事に参加できたことは、きっと忘れられない思い出になったことでしょう。
1泊2日の日程を終えた子どもたち。
島に向かう連絡船乗り場まで、連れて行きました。
帰りは子どもたちだけが3便の連絡船で、島へ戻る先生方と一緒に帰っていきました。
翌日は、子どもたちと私は振替休日になっています。
私はその様子を見送りながら、ちょうどこの週末に開かれていた「2005年の教室を考える会」のことを思い出していました。
第3回、第4回と参加し、多くの先生方との出会いや学びを得た研究会です。
今回が最後の全国大会でしたが、この全国育樹祭の引率と重なったため参加することはできませんでした。
少し残念な気持ちもありましたが、4年生2人と過ごしたこの2日間も、私にとって大切な時間だったように思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回に続く。👇
前回の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇
約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。
3年目2004年度の、Season3のお話です。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
離島の小学校編Season3👇
離島の小学校編Season1👇👇
離島の小学校編Season2👇👇👇
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