島へ、2組のお客さん【島学#14】/離島の小学校三年目の学び編 14
2004年9月。
2学期が始まると、学校生活はいつものリズムを取り戻した。
一方で、夏休み中に動き始めた県総合部会の仕事やホームページを通じたつながりは、少しずつ島の外へ広がり始めていた。
1.情報をつなぐ、新しい試み
夏休みの終わりに提案していた県総合部会のメーリングリストが、ようやく動き始めた。
登録したのは、今年度の研究発表校の先生方、授業サポートに入る先生方、県事務局、そして各郡市の幹事の先生方である。
まだ全員の登録は終わっていなかったが、まずは運用を始め、軌道に乗ったところで順次メンバーを増やしていくことにした。
今では珍しいことではないが、当時は教育現場でメーリングリストを活用している例はまだ多くなかった。
情報教育の研究会では使われ始めていたものの、総合的な学習の部会で日常的な連絡や情報交換に取り入れる例は、県内ではほとんどなかったように思う。
これまでは、連絡事項があるたびに各郡市へ電話をかけたり、FAXを送ったりしていた。
それが一度の送信で全員へ届き、そのまま意見交換もできる。
研究発表校どうしや授業サポートに入る先生方が気軽に情報を共有できる場になればと考えていた。
これもH先生とのプロジェクトや研修、様々な情報教育関係のつながりで学んできたことであった。
その頃は、夏季研修会のまとめを行う会場探しにも追われていた。
参加者は10人ほどなので、小さな会議室で十分だろうと思っていたが、開催まで1か月を切っていたこともあり、問い合わせる先はどこも予約で埋まっていた。
何か所も電話をかけ、代休の日には施設へ直接足を運んだ。
それでも見つからず、最後に思いついて問い合わせた郷土芸能観光会館の会議室が空いていた。
思いがけない場所だったが、費用も手頃で昼食にも便利だった。
2.離島では5時間かかる
ある日、教育雑誌で漢字テストを簡単に作れるフリーソフトが紹介されていた。
早速使ってみようと思ったが、その前に必要だったのが「Microsoft .NET Framework」のダウンロードだった。
容量は20MB以上。
当時の島の通信環境では、それだけで約5時間かかる計算だった。
今なら数秒で終わる作業も、当時は気長に待つしかない。
それでも無事にインストールを終え、来週からの漢字テストに使える目処が立った。
学校では特別支援関係の発送準備や、遠足の見学先への連絡など、いつもの仕事が続いていた。
その日は珍しく明るいうちに学校を出ることができたので、港まで歩いてみた。
堤防では中学校の先生方がアジを釣り、少し離れた場所では地元の人がメジロを狙っていた。
穏やかな港の風景を眺めながら宿舎へ戻る時間が、この頃にはちょっとした息抜きになっていた。
3.島へ届いた表彰状
9月半ばの昼の船で、2組のお客さんが島へやって来た。
最初に到着したのは、J-KIDS大賞2004県代表の表彰状を届けるため、損保ジャパンの担当者だった。
昼休みだったので、校長先生と一緒に港まで迎えに行き、そのまま校長室へ案内した。
表彰状を受け取ったあと、子どもたちにはおみやげまで用意してくださっていた。
上戸彩さんのパンダの着ぐるみがデザインされたクリアファイルや、消しゴム、蛍光ペンなどが配られると、昼休みの子どもたちは大喜びだった。
校長先生が表彰状を受け取ったあと、帰りの船の時間まで担当の方を島内へ案内された。
実は、同じ船でもう1人のお客さんが来られていた。
時事通信社の記者である。
教育専門誌『内外教育』で総合的な学習の時間を特集することになり、その取材のため島まで足を運んでくださったのだった。
校長室で、赴任以来取り組んできた総合的な学習や情報教育について話をし、これまで記録してきた写真も資料としてお渡しした。
話をしているうちに、離島へ赴任してからの2年半を振り返っているような気持ちにもなった。

この2組の訪問は、事前の打ち合わせで同じ日にお願いしていた。
船で行き来する島では、訪問日が1日違うだけでも動き方が大きく変わる。
結果的に、昼の船でお迎えし、帰りの船でお見送りする、慌ただしくも印象に残る1日になった。
次回に続く・・・
前回の話👇👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇
約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
この話は、離島の小学校勤務2004年度当時の日記をもとに、島の学校編では収まらないプロジェクトや情報教育、外部との関わり等について描いていきます。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
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