またいつもの4人と【島小③#06】/離島の小学校編Season3 06
2004年6月。
「教室を考える会」が終わり、島の学校にもいつもの毎日が戻ってきました。
1.ほめられていたよ
この日は校長先生も教頭先生も出張中です。
そのため、全校朝会は自分が担当することになりました。
4人の子どもたちを前にして話を始めます。
「金曜日の夜に来てくれた先生たちがな、みんなのことをほめてくれてたよ」
子どもたちの顔が少し上がりました。
「元気がいいって」
「発表もがんばってたって」
「気持ちのあいさつだったって言ってくれてた」
自分のことをほめられるのは照れくさいものです。
それでも、どこかうれしそうな表情をしていました。
最後に今週行われる人権カルタ大会の話をして朝会を終えます。
3校時は、途中で中断していたプール掃除の続きでした。
朝まで降っていた雨はすっかり上がり、強い日差しが戻っています。
新しく買ってきたタワシで底をこすっているうちに、子どもたちはいつの間にか水遊び状態になっていました。
掃除の進み具合はともかく、みんなとても楽しそうでした。
2.みんなで消防署へ
その週は市の人権カルタ大会がありました。
本来なら低学年1人、中学年1人の代表だけが参加すればよい行事です。
けれど、2人だけ学校へ残していくのも何だかもったいない気がしました。
そこで全校児童4人を連れて本土へ渡ることにしました。
せっかくの機会なので、消防署見学も計画します。
連絡船で本土へ渡り、まずは消防署へ向かいました。
昨年完成したばかりだという建物は広く、設備も新しいものばかりです。
署員の方が丁寧に説明してくださり、子どもたちは興味津々で話を聞いていました。
中でも一番印象に残ったのは、はしご車でした。
普段はシャッターの閉まった車庫に入っているそうですが、この日は特別に見せていただけたのです。
子どもたちは大きな車体を見上げながら、
「高いなあ」
「ここまで伸びるん?」
と歓声を上げていました。
人数の少ない学校だからこそできる、ぜいたくな見学だったのかもしれません。
3.西日の体育館
しばらくぶりのバドミントン練習の日。
西日が差し込む体育館は、まるでサウナのようでした。
まだ6月なのに、立っているだけで汗が流れてきます。
それでも子どもたちは元気です。
声を出しながらコートを走り回り、シャトルを追いかけていました。
練習の最後になると、保育所の先生もコートへ入ってきました。
「今日は暑いですね。」
「もう夏ですね」
そんな話をしながらラケットを手にします。
「ちょっと見ときよ」
子どもたちを座らせ、自分と保育所の先生でラリーを始めました。
高く打ち上げたシャトルが体育館の天井近くまで舞い上がります。
ハイクリアです。
子どもたちは自然と顔を上げ、その軌道を目で追っていました。

言葉だけでは伝わらないことがあります。
まずは見せること。
そして、そのイメージを頭の中につくること。
そんなことも大事な指導だと思っていました。
練習を終えて職員室へ戻ると、エアコンの風が何とも心地よく感じられました。
4.久しぶりの休日
週末は朝の船で自宅へ戻りました。
先週は「教室を考える会」があり、ほとんど家にいる時間がありませんでした。
子どもたちを図書館へ連れて行き、たまったメールを処理し、パソコンショップやカー用品店にも立ち寄ります。
パソコンショップには、社長さんと島出身の店員さんがいました。
雑談とともに今度先日の島でのことがテレビ放送されることを話しました。
特別な出来事があったわけではありません。
それでも、こうした何気ない休日が少しありがたく感じられる頃でした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回に続く。👇
前回の話👇
◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇
約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。 予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。
3年目2004年度の、Season3のお話です。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。
離島の小学校編Season3👇
離島の小学校編Season1👇👇
離島の小学校編Season2👇👇👇
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