ICTは道具、主役は“伝える力”【な総島魚#07】/なるほど!総合的な学習(離島の小学校編)/おさかな天国編
前回、子どもたちは“読み手”の存在に気づき、図鑑づくりが「調べて終わり」から「届ける学び」へと動き始めた。
その気づきが、島の総合を外へ開く大きな転換点になったのである。
いよいよ研究授業本番を迎えた・・・。
※2002年度(平成14年度)離島勤務1年目の「総合的な学習の時間」の実践記録をもとにしています。
※本文中の地名・固有名詞・氏名などは一部仮名にしています。
今回の対応する本編(島総07)👇
1.“想定外”が教師を育てる
本編に登場する「デジタルボードのマーカーが突然動かなくなる」というトラブルは、当時のICT環境では日常的に起こり得る“あるある”だった。
機器が使えなくなる要因はさまざまだが、意外と単純なことも多い。
電源が抜けている、USBが認識されていない、古い常駐ソフトが干渉している──。
重要なのは、特別なスキルではなく、原因をひとつずつ切り分けて考える姿勢であると思っている。
まずは,単純なところから確認し,その後はパソコン側の問題なのか,ソフトの問題か,ボード本体の問題か,順に考えていくことが必要である。
本編で描かれたように、常駐ソフトを疑い、アンインストールして復旧できたのは、トラブルを「教師の判断力を磨く教材」と捉えていたからだ。

ICT活用の黎明期を象徴するような一幕だが、同時に、今の教育現場にも通じる本質がそこにあると考えられる。
2.小さなおまけ、大きな役割
公開授業の当日、総合的な学習の時間の前の1時間目の算数では、教科書会社の指導書付属ソフトを使って授業を行っていた。
当時はデジタル教科書がまだ一般的ではなく、こうした付属ソフトは内容も限定的で、いわば“小さなおまけ”であった。
しかし、この“おまけ”が非常に重要な役割を果たしていた。
それは、子どもたちがデジタルボードの操作に慣れるためのウォーミングアップとして機能するという点だ。
画面に書く
ページをめくる
図を動かす
といった基本操作を算数で経験しておくことで、次の総合的な学習の時間に行う 本番のプレゼン操作 への心理的負荷が大幅に軽減される。
つまり算数の時間は、総合的な学習の時間を成功させるための「肩慣らし」としての意味を持っていた。
機器に気を取られずに済む状態をつくることで、子どもたちは総合的な学習の時間で大切となる“伝える中身”に少しでも集中できるようにさせたいと思い,事前に準備しておいたのだ。
3.プレゼンが学びを深める理由
総合的な学習に入ると、教室の空気が変わった。 扉の向こうに参観者の姿が見えた瞬間、子どもたちは一気に緊張を帯びた。
離島の子どもたちは、普段「知らない大人の前で話す」経験が極端に少ない。
だから教師としては、公開授業を単なるパソコンを使った作業を行う場面ではなく、コミュニケーション能力を育てる学習の場にしたいという狙いがあった。
ここから先は

【完結】離島の小学校で行われた「魚の図鑑づくり」プロジェクトを通して、子どもたちが探究に出会い、学びを深めていく記録をまとめたシリーズです…
この記事が参加している募集
応援いただいたお気持ちは、子どもたちの学びを物語として発信し続ける力となり、教育の現場で役立つヒントへとつなげていきます。
