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Microsoftのサマーインターンに落ちた日

「え、なんで」

不合格の連絡を見たとき、最初に浮かんだのは、その一言でした。

Microsoftのサマーインターンに応募したのは、大学3年になる直前の3月です。就職活動らしい就職活動を始めたばかりで、企業に提出するエントリーシートも、これがほとんど初めてでした。

それでも僕は、書類くらいは通るのではないかと思っていました。

個人でアプリを作り、App Storeに公開した。ITスタートアップでは、エンジニアとして実際の開発にも関わっていた。材料系の学科に通う学生としては、自分なりにITに取り組んできたつもりでした。

しかし、結果は書類落ちでした。

今振り返れば、至極真っ当な結果だったと思います。ただ、当時の僕には、それを素直に受け止めることができませんでした。

この記事では、初めて本気で出したESに落ちて、自分の現在地を思い知らされた日のことを書きます。


3月、初めて出したES


Microsoftのサマーインターンは、他の多くの日系企業と比べて応募時期が早く、僕がESを提出したのは3月でした。

募集人数は各部門5人程度。しかも、約2カ月のインターンで報酬は100万円という破格の条件でした。

今考えれば、全国から非常に高い能力を持つ学生が集まることは簡単に想像できます。海外経験がある人、英語で技術的な議論ができる人、大規模な開発に関わった人、競技プログラミングやハッカソンで結果を残した人。そうした学生が、わずかな枠を争います。

ただ、当時の僕は、その競争の激しさを十分には理解していませんでした。

応募書類では、語学力、ITスキル、課外活動、志望動機などを自由に記述でき、文字数制限は一切ありませんでした。

文字数制限がない分、自分の経験をたくさん書けます。僕は、個人開発した習慣化アプリのこと、ITスタートアップでの開発経験、展示会で顧客にプロダクトを説明した経験、サッカーコーチとして感じた課題など、これまで取り組んできたことをできる限り詰め込みました。

書き終えたときは、かなり良いESができたと思っていました。

「非情報系なのに、ここまでやっている学生は珍しいのではないか」

「少なくとも、書類では興味を持ってもらえるはずだ」

そんな、根拠の薄い自信がありました。


「え、なんで」と思った


届いた結果は、不合格でした。

面接に進むこともなく、書類選考で終わりました。

結果を見た瞬間は、驚きのほうが大きかったです。「難しい企業だから仕方がない」より先に、「え、なんで」という気持ちが出てきました。

自分なりに時間を使って開発してきた。大学の勉強と両立しながら、長期インターンも続けてきた。誰かに言われたからではなく、自分で考えてアプリを作り、公開まで進めた。

それらをまとめて提出したのに、面接で話を聞いてもらうところにすら進めなかった。

もちろん、企業は僕の努力そのものを否定したわけではありません。応募者の中から、求める人物を選んだだけです。

それでも当時は、自分が頑張ってきた時間まで否定されたような気がしました。

「自分がやってきたことには、大した価値がなかったのかもしれない」

そう考えると、悔しかったです。


今読み返すと、落ちた理由が分かる


少し時間がたってから、提出したESを読み返しました。

すると、不合格になった理由は一つではないにしても、足りなかった部分はいくつも見つかりました。

まず、Microsoftが推し進めているAzureについて、僕には十分な知識も実践経験もありませんでした。志望動機ではAzureやAIを学びたいと書いていましたが、Azureを使って何を作ったのか、どのような課題を解決したのかという具体的な経験はほとんどありませんでした。

つまり、「Microsoftで学びたい」という思いは書けても、「すでにこれだけ理解し、試し、そのうえでMicrosoftでなければできないことに挑戦したい」とは示せていなかったのだと思います。

個人開発も、リリースまでやり切ったことには意味があります。しかし、開発規模はまだ小さく、何万人もの利用者を支えるサービスを作ったわけでも、大人数の開発チームを率いたわけでもありません。

競技プログラミングでの入賞経験もなければ、技術コンテストで目立った結果を残した経験もありません。英語力についても、グローバルな環境ですぐに働ける水準には届いていませんでした。

それなのに、当時のESには「圧倒的」「最先端」「最適解」といった強い言葉がいくつも並んでいました。

今読むと、自分の実力を冷静に伝えるというより、言葉の強さで実績を大きく見せようとしていた部分があったと思います。自信を持って伝えることと、自分を実際以上に見せることは違います。その境界を、当時の僕はよく分かっていませんでした。


狭い環境の中で、少し驕っていた


僕は材料系の学科に通っています。

周囲には、もちろん優秀な学生がたくさんいます。ただ、Webサービスを個人で開発している人や、エンジニアとして長期インターンをしている人は、少なくとも僕の身近には多くありませんでした。

そのため、自分のITスキルや経験を、同じ領域を目指す学生と比べる機会がほとんどありませんでした。

身近な環境だけを見れば、僕は「ITに詳しい人」でした。アプリを公開したと話せば、すごいと言ってもらえます。スタートアップで開発していると話せば、行動力があると評価してもらえます。

そうした言葉を受け取るうちに、僕は知らないうちに自分を高く見積もっていたのだと思います。

しかし、比較する場所が変われば、見える景色も変わります。

外資ITを本気で目指す学生の中に入れば、個人開発や長期インターンは、それだけで選ばれる特別な切符ではありません。むしろ、そこから何を学び、どの程度の技術力を身につけ、どんな価値を生み出したのかまで問われます。

Microsoftへの応募は、僕にとって初めて、自分の小さな物差しが通用しない場所に立った経験でした。


不合格のあとに変えたこと


悔しさは残りましたが、この不合格を「自分には才能がない」で終わらせたくはありませんでした。

まず、ESの書き方を見直しました。

取り組んだことをただ並べるのではなく、なぜ始めたのか、どんな課題があったのか、自分がどう考えて動いたのか、結果として何が変わったのかを意識して書くようになりました。また、強い言葉で自分を飾るより、具体的な事実や行動で示すことを大切にしました。

技術面でも、自分が普段使っているフロントエンドや個人開発の範囲だけに閉じこもらないようにしました。

クラウド、AI、バックエンド、システム設計など、これまで理解の浅かった領域にも触れ、分からない技術が出てきたときに、そのままにせずキャッチアップするようになりました。自分が作りたいものを作るためだけの勉強から、エンジニアとして扱える選択肢を増やすための勉強へ、少しずつ意識が変わりました。

もちろん、数カ月で外資ITに通用するほどの力が身についたわけではありません。

今の自分の能力を考えると、外資ITはまだ遠いと感じています。だから現在は、まず日本の大手IT企業を中心にサマーインターンへ応募しています。

これは、目標を諦めたということではありません。今の自分に足りないものを認めたうえで、一段ずつ経験を積むための選択です。


あの日の不合格が、次の合格につながった


前回の記事で書いた通り、その後、僕は日本の大手IT企業のサマーインターンに合格することができました。


Microsoftに落ちたことだけが合格の理由ではありません。ただ、あの不合格がなければ、最初のESのまま、自分の実績を並べて満足していたかもしれません。自分の技術力を客観視せず、「これだけやってきたのだから評価されるはずだ」と考え続けていたかもしれません。

Microsoftの書類選考に落ちた日は、自分の頑張りを否定されたようで、本当に悔しかったです。

でも、否定されたのは、これまでの努力ではありませんでした。

ただ、その時点の実力と伝え方では、求められる水準に届かなかった。それだけです。

努力してきた事実と、選考で通用する実力があることは、同じではありません。頑張ったから必ず選ばれるわけではないし、落ちたから頑張りが無意味になるわけでもありません。

不合格は、ときに自分の現在地をかなり残酷な形で教えてくれます。

大切なのは、その結果を自分の価値の否定として抱え続けるのではなく、次に進むための材料に変えることだと思います。

あの日の僕は、「え、なんで」と思いました。

今の僕なら、こう答えます。

まだ、足りなかったからです。

そして、足りないと分かったからこそ、次に進むことができました。

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