④エッセイを仕事にした考え方
「文章で生きています。」
そう言うと、たまに聞かれることがあります。
「どうやったら、そんな働き方ができますか。」
でも、本当は僕も、その答えを最初から知っていたわけではありません。
書き続けているうちに、少しずつ気づいていったことばかりです。
だから、この章では「成功する方法」ではなく、僕が文章を仕事にする中で、大切にしてきた考え方を書いてみようと思います。
きっと、技術よりも先に知っておいてよかったことです。
まず、一番大切にしているのは、無理をしないことです。
少し意外に思われるかもしれません。
仕事なのだから、頑張るのが当たり前。
そう考える人も多いと思います。
でも、僕は一度、無理をして働けなくなりました。
だから、もう二度と「仕事のために自分を壊す」という選択だけはしたくありませんでした。
少し休む日があってもいい。
書けない日があってもいい。
今日は散歩だけで終わってもいい。
そんな余白を残したまま続けられることだけを、仕事にしてきました。
次に大切にしているのは、目立とうとしないことです。
SNSを見ていると、どうしても大きな数字が目に入ります。
何万いいね。
何十万回再生。
派手な実績。
以前の僕なら、そういう人を見て焦っていたと思います。
でも今は、少し違います。
僕が届けたい相手は、一万人ではありません。
今日どこかで少し疲れている、一人です。
その一人に届けば、その文章には意味がある。
そう思えるようになってから、数字に振り回されることが減りました。
そして、最後に。
自分らしい文章を書き続けること。
これが、一番難しくて、一番大切でした。
文章は、うまく書こうと思えば思うほど、自分から離れていきます。
読まれそうな言葉。
バズりそうな表現。
強いタイトル。
もちろん、それらも大切です。
でも、それだけを追いかけていると、自分の声が聞こえなくなってしまいます。
僕は、自分が心から書きたいと思える文章だけは、手放さないようにしています。
静かな文章でもいい。
派手じゃなくてもいい。
誰か一人の夜に寄り添えるなら、それで十分です。
文章を仕事にするということは、たくさん稼ぐことではありません。
有名になることでもありません。
僕にとっては、
「自分を偽らなくても、生きていける状態をつくること」
でした。
だから今も、「もっと売れる文章」より、「もっと自分らしい文章」を探しています。
不思議なことに、その積み重ねが、少しずつ仕事にもつながっていきました。
遠回りに見えるかもしれません。
でも僕は、この遠回りだったからこそ、今も書き続けられているのだと思います。
もし、あなたも文章を書きたいと思っているなら。
誰かみたいになろうとしなくて大丈夫です。
あなたには、あなたの人生があります。
あなたには、あなたにしか見えなかった景色があります。
その景色を、あなたの言葉で書いてみてください。
きっと、その文章を待っている人がいます。
つづく▼
