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最後の一打が、来月の自分を助けてくれる

『月末の一打が来月を軽くする』

終わり方は、思っている以上に次の始まりへつながっています。
最後の一打を丁寧にできた日は、不思議と次のゴルフが少し軽くなるものです。


六月の終わり、コースに夕日が落ちるころ

空が赤く染まりはじめ、芝の緑がすこしだけ深く見える。
影は長く伸びて、風も静かになり、クラブを握る手に伝わる空気までやわらかく感じる。

この時間帯のコースが、私は好きです。

けれど同時に、ある種の油断が生まれやすい時間でもあると知っています。

月末のラウンド。
今月もそろそろ終わるな——そう思ったとき、どこかで「もういいか」という気持ちが顔を出す。

最後のホール。
最後のアプローチ。
最後のパット。

丁寧さが、すこしずつ抜けていく。

この言葉を思い浮かべたとき、すぐにある生徒さんのことを思い出しました。


「今月はもういいか」が積み重なっていく

60代の女性、Yさんは、ゴルフ歴3年の熱心な方です。毎月かならずラウンドに行き、スコアをノートに記録していました。

ある月末のラウンドレッスンの帰り道、彼女がこんなことを言いました。

「今日の最後の2ホール、なんか力が抜けちゃって。疲れたというより……もう終わりだから、まあいいかって気分になってたんですよね」

スコアカードを見ると、たしかに16番から少し崩れていました。

それまでは大きなミスもなく、落ち着いてプレーできていたのに、最後の3ホールで急に大叩きが続いていたのです。

「でも不思議で、家に帰ってから後悔するんです。あの2ホール、もうちょっとちゃんとやればよかったって」

その言葉を聞いたとき、私は大きくうなずいてしまいました。


締めくくりが、次のスタートを決める

私も、同じような経験が何度もあります。

「もう終わりだから」
「今日はこれくらいでいいか」
「最後だし、まあいいか」

その小さな気のゆるみが、意外と心に残ります。

そして次のラウンドの朝、ふと思い出してしまう。

「また最後に崩れるんじゃないか」
「前回みたいに、終盤で雑になったらどうしよう」

終わり方が、次の始まり方に影を落とすことがあるのです。

これはゴルフだけではないのかもしれません。

仕事でも、勉強でも、一日の終わり方が翌日の入り方を変えることがあります。

「今日はまあいいか」と雑に終わった日の翌朝は、なんとなく重い。
「今日は丁寧にやり切った」と思えた日の翌朝は、少しだけ気持ちよく動き出せる。

ゴルフもそれと似ています。

月末の最終ラウンドをどう締めくくるか。
その感覚が、来月の最初の一打に静かにつながっていく。

うまく終わった月は、次の月も前向きにスタートしやすい。
雑に終わった月は、どこかに小さなモヤを残したまま次の月を迎える。

スコアだけじゃない。
終わり方が、自分への信頼になる


私自身が、最後のホールで崩れ続けた話

正直に言うと、これは昔の自分への言葉でもあります。

競技に出ていた頃、私は最終ホールが苦手でした。

18番のティーグラウンドに立つと、「あと少しで終わる」という安堵感と、「ここでミスしたくない」という緊張が同時にやってくる。

どちらにも振り切れないまま、なんとなく構えて、なんとなく振る。

するとボールも、どっちつかずの場所へ飛んでいく。

何十回も、そんな終わり方をしました。

あるとき、コーチに言われたことがあります。

「最後のホールを一番丁寧に打つ人と、一番雑に打つ人では、一年後のゴルフが全然違うよ」

当時の私には、その意味がまだよくわかりませんでした。

でも今なら、少しわかる気がします。

丁寧に終えた記憶が積み重なると、「自分は最後までやれる」という感覚が残っていく。

その感覚が、次のラウンドの朝イチのショットを、ほんの少し軽くしてくれるのです。


「最後だから丁寧に」という逆転の発想

ゴルフでは、よく「最初が大事」と言われます。

ウォームアップをする。
1番ホールのティーショットを慎重に打つ。
前半の入りを丁寧にする。

もちろん、それはとても大切です。

でも私は、それと同じくらい「最後を丁寧にすること」も大事だと思っています。

不思議と、終わりの印象は強く残ります。

最後が丁寧だと、「いいラウンドだったな」という感覚が残りやすい。
最後が雑だと、前半がどれだけ良くても、少しだけモヤが残る。

だからこそ、月末のゴルフではこう考えてみてほしいのです。

「最後だから、もういいか」ではなく、
「最後だからこそ、丁寧に」


今日から一つだけ試してほしいこと

今日から試せることは、とてもシンプルです。

ラウンドでも練習場でも、最後の一打の前に一度だけ深呼吸をする。

そして、心の中でこう言ってみてください。

「今日最後の一打を、いちばん丁寧に打とう」

最終ホールのパットでもいい。
練習場の最後の一球でもいい。
アプローチ練習の締めくくりでもいい。

大きく変えようとしなくて大丈夫です。

いつもより少しだけ、足裏を感じる。
いつもより少しだけ、握る力をゆるめる。
いつもより少しだけ、最後まで見届ける。

それだけで、終わったあとの気持ちは少し変わります。


六月の終わりに、静かに打ち終える

Yさんは翌月のラウンドで、最終ホールの向き合い方を変えてきました。

「先生、今日は最後まで丁寧にやってみました」

そう話してくれた帰り際の表情が、とても印象に残っています。

スコアカードを見ると、後半は前回より4打少なくなっていました。もちろん数字もうれしい。

でもそれ以上に、彼女の顔が違っていました。

「ちゃんとやり切れた」という、静かな明るさがありました。

六月が終わります。

夕日に染まったコースで、誰かが最後の一打を静かに打っている。クラブの音がやわらかく響き、ボールが暮れかけた空の下へ飛んでいく。

明日から、また新しい月が始まります。

その最初の一打を少しだけ軽くするために、今月最後の一打を、いちばん丁寧に。

それだけで、来月のゴルフは少し変わっていくのかもしれません。


あなたは今月最後の一打を、どんな気持ちで打ちましたか?
「丁寧に終われた日」のことを、ぜひコメントで聞かせてください。


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