最後の一打を丁寧にすると、次のゴルフが軽くなる
『丁寧な終わり方が次をラクにする』
最後の一打は、その日のゴルフを静かにしまう時間なのかもしれません。
うまく締められた日は、次のラウンドにいい結果が訪れるかもしれません。
夕暮れのコース、最終ホールの静けさ
西の空がオレンジに染まり始めるころ、フェアウェイには長い影が伸びていきます。
芝の匂いは少し湿り気を帯びて、足元から疲労感がじわりとのぼってくる。
18番ホールのティーイングエリア。
カートからクラブを取り、ふと気がゆるむ瞬間があります。
「もうすぐ終わる」
その安堵感が、最後の一打を少しだけ「なんとなく」にしてしまうことがあります。
私も長年ゴルフを指導してきましたが、この感覚はよくわかります。
自分がプレーしているときも、終盤になると「もういいか」という気持ちが顔を出します。
特に疲れている日。
スコアが思うようにいかなかった日。
早くお風呂に入って、冷たいものを飲みたい日。
そういう日に限って、最終ホールのスイングが雑になる。
ゴルフ場の神様も、そこだけ見てるんじゃないかと思うくらいです。
ちょっと意地悪ですね。
「崩れて帰る」ことの重さ
レッスンをしていると、帰り際にこんな言葉をよく聞きます。
「最後の3ホール、もったいなかったなあ」
前半は丁寧に打てていた。中盤も悪くなかった。
でも終盤で集中が切れて、大叩きをしてしまった。
ある生徒さんは、前半を42で回っていました。
「今日は90切れるかも」
そう思った矢先、16番から3ホール連続でダブルボギー。
ラウンド後、その方は少し悔しそうに言いました。
「疲れてきたら、頭が先に止まってしまって。体だけで打ってました」
この言葉、すごくよくわかります。
疲れてくると、打つ前の準備が少しずつ消えていきます。
素振りを省く。
ターゲットをなんとなく見る。
グリップをいつもより強く握る。
「まあいいか」で打ってしまう。
そして帰り道に思うのです。
「なんで最後、あんな打ち方をしたんだろう」
私も、同じです
指導者として「最後まで丁寧にいきましょう」と言いながら、自分のラウンドでは18番で気持ちが切れてしまうことがあります。
17番で大きなミスをして、18番のティーイングエリアに立ったとき。
「今日はもういいか」
そんな気持ちが、すっと顔を出すことがあります。
でも、そこで気づけるかどうかが大事なのだと思います。
「今、雑に終わろうとしているな」
そう気づいたら、私は一度グリップをゆるめます。
深く息を吸う。
ターゲットをもう一度見る。
いつものルーティンを最初からやり直す。
そして心の中で、こうつぶやきます。
「この一打を、今日の最初の一打だと思って打とう」
それだけで、体が少し整います。
もちろん、必ずナイスショットになるわけではありません。
でも、雑な一打は減ります。
「丁寧な終わり方」が意味すること
今日の言葉に戻ります。
『丁寧な終わり方が次をラクにする』
これは「最後まで気合いで頑張れ」という話ではありません。
人は、最後に残った感覚で一日を覚えていることがあります。
ゴルフも不思議なもので、18番の終わり方が、その日の印象を大きく変えてしまいます。
途中で大叩きしても、最後の数ホールを落ち着いて回れた日は、
「まあ、悪くなかったな」
と思えることがあります。
逆に、前半が良くても、最後に雑に崩れると、
「今日はダメだったな」
という気持ちで帰ることがあります。
同じ18ホールなのに、終わり方で心に残る景色が変わる。
だからこそ、最後の一打を丁寧にしまいたいのです。
生徒さんから学んだこと
以前、60代の女性の生徒さんがいました。
週に一度だけラウンドできる方で、いつもとても丁寧にプレーされていました。
ある日、私は気づきました。
その方は18番を終えたあと、すぐにクラブハウスへ向かわず、グリーンの端で静かに今日のパットを振り返っていたのです。
「最後を慌てると、次もなんか慌てた気持ちで来てしまうんですよ」
その言葉が、今も頭に残っています。
その方は、飛距離も出るタイプでなくミスショットも少なくない方でした。
でも半年ほどで、少しずつスコアがまとまっていきました。
きっと毎回、「今日もちゃんと締められた」という感覚を積み重ねていたのだと思います。
今日から試せる、たった一つのこと
今日から試すことは、難しくありません。
最終ホールの最後の一打だけ、いつも通りの準備で打ってみる。
素振りを一回する。
ターゲットを確認する。
グリップをいつもの強さで握る。
パットなら、カップを一度見て、ボールに目を戻して、いつものテンポで打つ。
それだけで十分です。
「もう終わりだから」ではなく、
「これが今日をしまう一打」
そう思って打ってみる。
すると、クラブハウスへ向かう道のりが、少しだけ軽くなるかもしれません。
夕暮れのグリーンを後にするとき
カップからボールを拾い上げて、コースを振り返る。
西の空は、深いオレンジから紫へと変わりかけている。
芝の上には自分の長い影が伸びて、風がほんの少し涼しくなっている。
「今日は最後まで、ちゃんとやれた」
そう思える日は、疲れていてもどこか清々しい。
来週のゴルフが、少し楽しみになる。
丁寧に終わった日は、次が軽くなる。
ゴルフも、毎日の小さな積み重ねも、きっと同じなのだと思います。
あなたは今日、最後の一打をどんな気持ちで打ちましたか?

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