ティーグラウンドに立つ前に、もう勝負は始まっている
朝の駐車場で、心だけが急いでいる
ゴルフ場に着いたのに、なぜか気持ちだけが先に走っている朝があります。
キャディバッグを下ろして、受付をして、靴を履き替えて、ロッカーを閉めた頃には、もうスタート時間が気になっている。
空は澄んでいて、芝は朝露に濡れていて、本当はそれだけで気持ちのいい朝のはずなのに、胸の中だけが少しざわつくんです。
「あ、グローブどこだっけ」
「スタートまであと何分だろう」
「とりあえずドライバーを打っておこうかな」
そんなふうに迷っているうちに、呼吸は浅くなって、素振りまで少し速くなる。
そんな経験、ありませんか。
慌ただしい自分を、責めなくていい
初心者の頃、私もそうでした。
コースに来るだけで精いっぱいで、打つ前からもう少し疲れていたんです。
緊張しているから、だけじゃない。
準備まで気持ちが回らない朝って、誰にでもあるんですよね。
でも、それは責められることじゃありません。
ゴルフって、覚えることが本当に多い。
何を準備すればいいか、最初から全部わかる人なんて、ほとんどいないからです。
悔しくなるのは、それだけゴルフを大事にしている証拠。
うまく打ちたいと思うから、朝の小さな乱れにも心が反応してしまう。
だから、慌ただしい自分に気づけたら、それだけでもう十分なんです。
練習場で何度も見てきた心の揺れ
15年レッスンをしてきて、何度も見てきた光景があります。
打席に入った瞬間から、速いテンポで球を打ち始める人。
でも、どのクラブで何を確かめたいのかが決まっていないから、一球ごとに感覚が変わって、だんだん表情が曇っていくんです。
「今日は何を練習しますか?」
そう聞くと、少し困ったように笑って、
「とりあえず全部です」と返ってくることがあります。
その気持ち、よく分かるんです。
私も時間がない日ほど、「あれもやりたい、これも確認したい」と欲張って、結局どれも中途半端で終わったことが何度もあります。
どれだけ知識があっても、心が急いでいると、いつもの感覚はすっと遠のいてしまう。
ゴルフって、本当に隠しごとができないスポーツだなと感じます。
準備は、不安を静かにしてくれる
私は長いあいだ、上達するには「もっと正しく振らなきゃいけない」と思っていました。
もちろん、それも大事です。
でも、数千人のゴルファーを見てきて強く感じるのは、いい一打の前には、いい準備があるということです。
朝に少し早く着く。
練習場では短いクラブからゆっくり打つ。
今日は何を確かめるのか、ひとつだけ決める。
たったそれだけで、心は思っている以上に散らばりにくくなります。
全部を完璧にしなくていいんです。
準備というのは、上手な人だけの特別な習慣ではなくて、不安な自分を落ち着かせるための、やさしい段取りなんだと思います。
ゴルフは繊細です。
だからこそ、最初の一歩が整うだけで、その日一日の流れまで少しやさしく変わっていきます。
今日の言葉
『準備が8割、最初の一歩で勝負は決まる』
ゴルフはショットの前に、もう始まっています。
いい一打は、クラブがボールに当たる瞬間に生まれるんじゃない。
朝、家を出るとき。
コースで靴紐を結ぶとき。
そんな打つ前の静かな時間の中で、少しずつ育っている気がします。
ティーグラウンドに立ったとき、すでに心が整っているか。
それとも、まだ少し急いでいるか。
その差が、最初の一打に静かに出てくるんですよね。
準備とは、道具をそろえることだけじゃない。
「今日、何をひとつ大事にするか」を自分に聞いてあげること。
それが、心の準備なんだと思います。
小さな行動提案
次のラウンドや練習場では、打つ前に3秒だけ立ち止まってみてください。
そして心の中で、
「今日は何をひとつだけ確かめる?」
と、自分に聞いてみるんです。
全部やろうとしなくていい。
ひとつ決めるだけで、焦りは少しずつほどけていきます。
それだけで、練習もラウンドも、少しやさしくなるはずです。
また、あの広い空の下でお会いしましょう。
ゴルフはときどき意地悪で、とてつもなく難しい。
けれど、風が頬をなでる感触や、カツンと響く澄んだ打球音。
あの開放感だけは、何物にも代えがたい宝物です。
完璧じゃなくていい。
不器用な自分を抱えたまま、一歩ずつでいい。
準備を整えたあなたのことを、コースはいつでもやさしく待っています。
次はどんな景色に出会えるか、今から少し楽しみになりませんか。⛳
最後に、あなたに聞かせてください
あなたはラウンド前に、「これを決めておいてよかった」と感じたことはありますか?
あるいは、朝のバタバタで失敗した思い出があれば、ぜひ聞かせてください。

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