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日本の戦闘車両… 富士総合火力演習にて

陸上自衛隊のデモ、日頃の訓練成果の公開の場として、毎年 富士総合火力演習(略して 総火演(そうかえん)) が行われてきました。
最新装備の10式戦車等の戦闘車両や、重砲、補助車両、ヘリコプタ等の航空機、そして各種機材の総合デモが行われます。そこでは実弾を使って敵を模した標的を撃破するデモも行われます。天候が良ければ序盤に航空自衛隊の攻撃機も参加して爆撃デモを行うこともあります。
たいてい8月末に行われ、日曜日の本演習(防衛大臣らが観閲します)と、同じ週の平日に事前予行が数回が行われていました。抽選で一般人も参加でき、1回で約3万人(自衛隊隊員・関係者、報道、一般観客等)が参加していました。

デモには想定シナリオ(島嶼防衛作戦等を含む)もあるので、戦争ゲームだとか、1日で何億円も使ったとか批判されることもありましたが、その場で観ると、
これが実際に起こることは避けなくてはならない」、「攻めて来る者がいる以上、こういう防御力はぜったい必要である」、さらに、そんなことが万一起きたなら「防護してくれるものに感謝したい」と思えて来ます。

そして、コロナ禍間(2020~2023年度)には、一般観客等は入れない形でネットライブ中継だけとされましたが、残念ながらその後もその形となると決定され、私も今後このような撮影はできなくなってしまいました。
そのこともあって、かつて撮影した2019年度迄の何回かの富士総合火力演習の写真から選んで、説明を添えて掲げてみます。
(上は最新の10式戦車とその奥で待伏せ攻撃準備中の2両の74式戦車)

90式戦車(4両)小隊
4両の90式戦車が会場に入場して来ます。1両約50トンの重車両なので数十m以上離れたところでも地響きが伝わります。その後、3万人が集まる観客席前方中央で行進間射撃(走行しながら射撃する)を行い、1kmほど先の標的に命中弾を送ります(停車中なら有効射程距離はさらに数kmとなります)。観覧席最前端にいたら射撃時の衝撃に耐えられない人もいると思えるほどですが、案外トラブルは起きていないようです。中央右上には87式自走高射機関砲もいます
突入する74式戦車(4両)小隊
上の写真の90式戦車に比べ、1両約38トンの戦車です。本型は2025年現在全車が退役しているはずです(2008年の撮影)。また、旧式なので90式戦車のように走行しながらでは十分な命中精度を得られず停車しての射撃が多いです。私は独特な鋳造砲塔の形などがとても好きです
10式戦車
2010(平成22)年度に制式化された最新型戦車です。本型とも自衛隊の全ての戦車や、その他車両の殆どは国産です。本型は最強クラスの120mm口径主砲を備え、重量約44トン、路上では最高70km/hで走行できます。写真は主砲発射直後の瞬間。他の写真を含め、上部の赤い旗は「射撃中」かその準備中であることを示し、緑色の旗は、射撃等の火器発射予定が全くない(完全に安全な)状態であることを示しています
10式戦車
上記の10式戦車が2両で主会場へ入場し、踊るようにスラローム走行しながら(走行軌跡を見てください)標的へ主砲弾を発射した瞬間です。たいていは命中します。手前は観客席前端です。左のカーキ色の人々は自衛隊員(教育的観覧)、その右は一般観覧者です
支援車輛
本演習は午前10時から12時迄行われますが、早朝6時くらいから、点検・試射等のための「点検射」が行われます。早めに行ってその様子を観ることもできます。開催地 東富士演習場 は戦前陸軍当時からの代表的な演習場で、標高800m以上、面積は8,800ヘクタール(10km × 9kmに相当する広さ)です。写真は点検射終了後の8時半頃の富士山で、晴れの日であればこの時間には雲は少なく涼しいです。本演習を始める前に、自衛隊が有する支援車両(災害復旧等にも使用されます)がデモ会場整地作業を行っています。ホイールローダーやロードローラー等は自衛隊の濃緑色系の塗装が施されていますが基本的に民間用と同一品です
重砲曳火射撃による富士山描画
会場から約2.5kmほど離れた地点に置かれた20門以上の重砲(榴弾砲等)から非常に精密に照準した上、起爆時刻を1/100秒単位で正確に同期させて射撃することで、各弾頭を空中に並ぶ3次元立体位置にて同期空中爆発させるもの(曳火射撃)で、「富士山」を点描しています。驚異的な射撃術で最初に観たときは信じられなかったです。要は「数km離れた20門以上の砲の砲弾を1か所で精密に空中シンクロ爆破させて立体的な点描をする」ものです。後ろも富士山です
富士山を背後に飛行するAHー64D攻撃ヘリコプタ。自衛隊で(米国等でも)最強の攻撃ヘリコプタです(米国機の国産化機)。30mm口径の機関砲やミサイル、高度な索敵レーダーと攻撃システムを備え、敵の戦車等重車両を撃破できます
平成30年度 富士総合火力演習 (2018年 8月)
演習開始直前の撮影です。写っているのは左右に広がるスタジアム席後端で、その前端の前方にござ席が広がります。ござ座席前端のロープ柵の前方わずか数十mのところで戦車等が主砲発射を含む迫力デモを行います
F2支援戦闘機
本演習序盤で 航空機による支援爆撃 がデモされます。そのためにF2戦闘機(支援戦闘機:航空自衛隊所属)が飛来して 爆撃デモ を行います
支援爆撃
上写真のF2戦闘機による迫真の爆撃デモ。とはいえこれは予め地上に設置されている爆薬をF2戦闘機の飛来に合わせて発破させているものです。観覧席に近いので万一を考えた安全上のため爆発は定位置となっています
10式戦車
停車して主砲を発射した瞬間で、写真左端には主砲弾の軌跡が写っています
90式戦車
1990(平成2)年度に制式化された日本独自の戦車です。停車して主砲を発射した瞬間です。写真右に輝く主砲弾の軌跡が写っています。90式戦車は上述10式戦車の前代ですが未だ日本の第一線戦車で、10式戦車と同級の120mm口径主砲を備え、より重量級・重装甲とも言える約50トンです。路上最高速度約70km/h
CH-47J ヘリコプタ
アメリカのCH-47(’チヌーク’)を国産化した大型輸送ヘリコプタです。最大輸送重量は10トンを超え(輸送機オスプレイより大きい)、写真のように重量4.5トンの 軽装甲機動車(ジープを装甲化したような4輪車)を余裕をもって吊り下げ輸送できます。最大速度約300km/h で、総合的にみて話題の輸送機オスプレイに優るとも劣らぬ性能を有しています
CH-47Jヘリコプタ
着陸したCH-47格納庫から 高機動車(最大10人が乗車できる大型ジープのような車両。3トン弱)を降車させています。相当する他の小型車両や人員、物資を輸送することもできます
UH-60JA多用途ヘリコプタ(米UH-60’ブラックホーク’の陸上自衛隊型機)とCH-47J輸送ヘリコプタ(上述)によるヘリボーン(ヘリコプタによる作戦)デモです
上空約3000mのCH-47Jヘリコプタから降下中の落下傘隊員
上空の風に流されることもなく見事に会場内に着地する落下傘隊員。拍手が湧き起こります
観覧席
全体で3万人とされる観覧場の一部です。地面にシートを敷いただけのござ席が右方に広がり、その前(写真右奥)が演習場です。左側や撮影している私がいるのはスタジアム席です。写真手前側にも同じように席が広がっています。ござ席では雨が降っても傘は禁止でレインコート等必携です
90式戦車(4両)小隊
4両小隊で隊列を組んで会場に入場しながら主砲を発射します。適当に撃っているのではなく、右奥1kmくらい遠方にはきちんと標的が置かれていてたいてい見事に命中します。手前には観覧ござ席があり、間近(最短十数m?)なので、衝撃はスゴいものです(危険はありませんが)
99式自走155mm榴弾砲203mm自走榴弾砲
自走155mm榴弾砲は戦車(相手の戦車等を破壊して勝利する)とは異なり長射程(30km、弾種によっては40km)の強力な支援火砲(いわば地上から爆撃する)です。後方は自衛隊で最大の203mm口径榴弾砲を搭載した自走砲で最大射程は21kmとやや短いですが打撃力は155mm榴弾砲より大きいです
89式装甲戦闘車
口径は小さめですが強力な35mm機関砲と敵の上陸等を阻止するためのミサイルを備え、さらに戦闘員を乗車輸送できます。左方に35mm砲弾の軌跡が写っています
AH-1S ’コブラ’ 攻撃ヘリコプタ
機首下に20mm口径の多銃身機関砲(バルカン砲)を備え、写真のTOWミサイル(最大射程距離約4000m)で敵戦車等を攻撃することができます
74式戦車
2両で待ち伏せ攻撃をデモしています。74式戦車は日本独特の姿勢制御機構によって車高や傾きを調整できます。写真では車高を低く目立たないようにして待ち伏せを有利にしています
16式機動戦闘車
本戦闘車は戦車(重装甲)ではなく、国内の整備された高速道路等舗装道路網を活用して迅速に展開できる8輪タイヤ式軽装甲車に強力な105mm口径砲を搭載した一種の自走砲です。戦車にはない戦略的機動性により、広い海岸線、島嶼等での有事即応に適した新型戦闘車両です。旧式で退役した前述の74式戦車の代替となって行きます
UHー1J ’ヒューイ’ 多用途ヘリコプタ
バイクを降車させて飛び立つところです。アメリカのオリジナル型は1959年の生産開始後、世界的に16,000機もが量産されたロングベストセラー機です
偵察部隊のバイク
土山を越えてジャンプしています。カワサキの一般オフロードバイクKLX250の自衛隊仕様車(殆ど同じ)で、250cc、24馬力以上、基本重量120kgとされます
01式軽対戦車誘導弾
軽装甲機動車(装甲されたジープのようなクルマ)の上面から発射されたところです。先端に備えられた赤外線カメラの画像により目標を自動追尾します。目標が少々動いても追尾を続け、命中します。既に2010年頃迄に1000セット以上が配備された主力携帯型ミサイルです
最終攻勢
総合火力演習のデモシナリオは長年だいたい同じです(はっきり言ってマンネリ感がありましたが、尖閣列島問題等が起きてから島嶼防衛対応にいくらか修正されました)。写真は、終盤に敵を制圧しつつあるという段階のデモで、戦車等陸上部隊とヘリコプタによる航空部隊が一体となって攻勢に転じて突入する(画面右方へ)想定です
最終攻勢
上の写真のアップです。下左には強力な戦車部隊が見えます
最終攻勢
上の写真の地上攻撃部隊がさらに前進すると、車両は一線上に並んで停車して各々が搭載する煙幕弾を同時発射します。写真は発射直後ですがとても綺麗に映ります
最終攻勢
煙が徐々に広がり、霧のような煙幕となって行きます。煙に包まれて敵から見えなくなったら、その中を車両部隊と上空の航空部隊(ヘリコプタ)ががいるはずの奥方へ突入します。デモはその途中迄で総合火力演習は完了します。象徴的なラッパが鳴り響きます(昔の陸軍の感じ?)。その後停止した車両は順々に会場を後にします
フェアウェル
本演習終了で上述の参加車両が順々に会場を後にして行くところです。戦車等の乗員が手を振り、観客が歓声を上げて手を振って応じています

上の写真の後、自衛隊音楽隊による生演奏、そして最後に参加車両や機材を静展示する装備品展示があって全プログラムが終了します。
全てに参加すれば本演習(10時~)が始まってから装備品展示終了迄約4時間ですが、私は上述の点検射(朝6時頃~)から居ますので8時間の参加で、8月末の行事ですからなかなかのものでした。


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