📓 哲学って面白い!後期シラバス
🎯 後期コース概要
前期の基礎を踏まえ、より多様な哲学的視座から世界を捉え直す発展講座。西洋中心主義を超えて、世界各地の知的伝統と現代的課題を結びつけながら、統合的な思考力を養います。
📋 後期学習目標
多文化的・多声的な哲学的視座を獲得する
宗教、音楽、文学など多様な表現形式と哲学の関係を理解する
ジェンダー、身体、戦争など現代の切実な課題を哲学的に考察する
宇宙的視座から存在と共生の新しいあり方を構想する
📅 週別カリキュラム(全18週、第21週〜第38週)
第21週:「認識への多様な道」
テーマ:世界の認知論と意識の探求
参考図書:井筒俊彦『意識と本質』、鈴木大拙『禅と日本文化』、中沢新一『チベットのモーツァルト』
導入:「知る」ことと「知らない」ことの間
記事109-115(7本)
🎯 到達目標:複数の認識論的伝統を統合する視点
👤 思想・伝統:
西洋:デカルト的懐疑と確実性
老荘:無為自然と「道は言うべからず」
仏教:空と唯識、五蘊と縁起
イスラム:心の浄化(タズキーヤ)とズィクル
🌐 実践的認識法:瞑想・坐禅・祈りの比較
💭 考察ポイント:理性・直観・体験の統合は可能か?
第22週:「音楽は何を語る?」
テーマ:音楽と哲学の深い関係
参考図書:ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』、アドルノ『音楽社会学序説』、武満徹『音、沈黙と測りあえるほどに』
導入:なぜ音楽は言葉を超えて心を動かすのか
記事116-122(7本)
🎯 到達目標:音楽の哲学的意義と社会的性格を理解する
👤 哲学者・思想:
ピタゴラス:宇宙の調和と音楽の数理
ショーペンハウアー:音楽は意志の直接的表現
ニーチェ:ディオニュソス的なものとしての音楽
アドルノ:音楽の社会的性格
🌐 宗教音楽の世界:
キリスト教:グレゴリオ聖歌から黒人霊歌まで
イスラム:コーランの朗唱とスーフィーの旋回舞踏
仏教:声明と念仏の音響的悟り
ヒンドゥー教:ラーガとマントラの宇宙論
ユダヤ教:ニグンと嘆きの歌
🌐 現代的展開:
ジャズ・ブルースと解放の哲学
ヒップホップと社会的抵抗
電子音楽と新しい聴覚体験
AI作曲と創造性の問い
💭 考察ポイント:音楽に魂はあるか?宗教音楽はなぜ普遍的に心を打つのか?
第23週:「物語る存在」
テーマ:文学と哲学の対話
参考図書:リクール『時間と物語』、バルト『物語の構造分析』、野家啓一『物語の哲学』
導入:なぜ人は物語を必要とするのか
記事123-129(7本)
🎯 到達目標:物語論と文学的思考の哲学的意義
👤 文学と哲学の交差点:
古代:ホメロスと哲学の誕生
中世:ダンテ『神曲』の宇宙論
近代:ドストエフスキーと実存
現代:ボルヘスと無限、村上春樹とポストモダン
🌐 現代文学としてのSFの意義:
思考実験としてのSF:アシモフ、ディック、ル・グィン
認知的異化作用:日常を相対化する装置
テクノロジーと人間性の探求:サイバーパンク、ポストヒューマン
気候変動SF(Cli-Fi):未来を物語る責任
日本SF:小松左京、筒井康隆から伊藤計劃まで
🌐 物語論の展開:ナラティブ・アイデンティティ、メタフィクション
💭 考察ポイント:SFは哲学の実験室か?私たちは物語を生きているのか?
第24週:「ジェンダーから問い直す世界」
テーマ:ジェンダー論と多様性の哲学(発展形)
参考図書:ボーヴォワール『第二の性』、バトラー『ジェンダー・トラブル』、ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの』
導入:「男らしさ・女らしさ」って何?
記事130-136(7本)
🎯 到達目標:前期との連接と深化、インターセクショナルな分析
👤 哲学者・理論:
ボーヴォワール:セックスとジェンダーの区別(再考)
バトラー:ジェンダー・パフォーマティヴィティ
クレンショー:インターセクショナリティ
🌐 現代的応用:LGBTQ+と性の多様性、包摂的な社会設計
💭 考察ポイント:多様性は「面倒」か「豊かさ」か?
📝 中間課題:「性と多様性」に関する考察(800字)
第25週:「なぜ人は祈るのか」
テーマ:宗教の起源と原初的信仰
参考図書:エリアーデ『聖と俗』、デュルケーム『宗教生活の基本形態』、鎌田東二『宗教と霊性』
導入:人間だけが持つ宗教性の謎
記事137-143(7本)
🎯 到達目標:宗教現象の根源的理解
👤 内容:
アニミズム、シャーマニズム、トーテミズム
神話の構造と機能
儀礼と聖なるものの経験
死者儀礼と来世観の誕生
🌐 現代的意義:世俗化時代の聖なるもの
💭 考察ポイント:宗教性は人間の本質か?
第26週:「軸の時代の革命」
テーマ:世界宗教の誕生(紀元前800-200年)
参考図書:ヤスパース『歴史の起源と目標』、中村元『仏教思想のゼロポイント』、井筒俊彦『意味の深みへ』
導入:なぜ同時期に精神革命が起きたのか
記事144-150(7本)
🎯 到達目標:「軸の時代」の同時多発的精神革命の理解
👤 思想の並行進化:
ゾロアスター教:善悪二元論
ユダヤ教:唯一神と契約
仏教:苦からの解脱
儒教・道教:天と人の関係
ギリシャ哲学:ロゴスと神
🌐 文明論的考察:都市化、文字、貨幣経済との関係
💭 考察ポイント:個人の救済という概念の革命性
第27週:「救済と帝国」
テーマ:キリスト教とイスラームの展開
参考図書:ブラウン『古代末期の世界』、井筒俊彦『イスラーム思想史』、山内志朗『天使の記号学』
導入:宗教が帝国になるとき
記事151-157(7本)
🎯 到達目標:宗教と権力の複雑な関係性
👤 歴史的展開:
イエスから帝国宗教へ
ムハンマドから文明へ
東西教会の分裂
スンニ派とシーア派
十字軍と宗教戦争
🌐 神秘主義の系譜:スーフィズム、カバラ、禅
💭 考察ポイント:聖戦は正当化できるか?
第28週:「近代と宗教」
テーマ:世俗化・原理主義・新しい霊性
参考図書:テイラー『世俗の時代』、島薗進『現代宗教とスピリチュアリティ』、ハラリ『ホモ・デウス』
導入:「神は死んだ」のその後
記事158-164(7本)
🎯 到達目標:現代における宗教性の再編成
👤 現代的展開:
宗教改革と個人の信仰
啓蒙主義による宗教批判
原理主義の台頭
新宗教運動とスピリチュアリティ
🌐 AI時代の宗教:デジタル宗教、VR巡礼、AI説教師
💭 考察ポイント:宗教は必要か?
📝 中間課題:「宗教と現代」に関する考察(800字)
第29週:「身体は誰のもの?」
テーマ:身体・医療・生命倫理
参考図書:フーコー『監獄の誕生』、市野川容孝『身体/生命』、美馬達哉『リスク化する医療』
導入:パンデミックが露呈した身体の政治性
記事165-171(7本)
🎯 到達目標:身体の政治性と医療倫理の複雑性
👤 哲学的探求:
生政治と身体管理
生殖技術とゲノム編集
障害の社会モデル
安楽死・尊厳死の自己決定権
🌐 現代的課題:ワクチン問題、臓器移植、エンハンスメント
💭 考察ポイント:身体の自己決定権はどこまで?
第30週:「性とは何か」
テーマ:性の哲学的探求
参考図書:フーコー『性の歴史』、メルロ=ポンティ『知覚の現象学』、ガイル・ルービン『性を考える』
導入:性とは何か - タブーを超えて考える
記事172-178(7本)
🎯 到達目標:性の規範性と解放の問題
👤 哲学的系譜:プラトンからフーコーまで
🌐 現代的課題:セックスワークの倫理、AI時代の性
💭 考察ポイント:性的快楽と人格の尊厳
第31週:「愛と欲望の哲学」
テーマ:愛の多様な形と倫理
参考図書:プラトン『饗宴』、フロム『愛するということ』、ベル・フックス『オール・アバウト・ラブ』
導入:愛は所有か、解放か?
記事179-185(7本)
🎯 到達目標:愛の多元的な形態と倫理的意味
👤 哲学者・思想:エロスとアガペー、愛の技術、愛の政治学
🌐 現代的応用:ポリアモリー、デジタル時代の親密性
💭 考察ポイント:「真の愛」は存在するか?
第32週:「なぜ戦争は起こるの?」
テーマ:戦争と平和の哲学
参考図書:クラウゼヴィッツ『戦争論』、カント『永遠平和のために』、バトラー『戦争の枠組』
導入:人間だけが戦争をする
記事186-192(7本)
🎯 到達目標:戦争の本質と平和構築への道
👤 理論的探求:
正戦論の系譜
非暴力主義の思想
構造的暴力論
🌐 現代の戦争:核、ドローン、サイバー、情報戦
💭 考察ポイント:永遠平和は可能か?
📝 中間課題:「戦争と平和」に関する考察(800字)
第33週:「国境は必要?」
テーマ:移民・難民と共同体
参考図書:アンダーソン『想像の共同体』、アガンベン『ホモ・サケル』、酒井直樹『翻訳と主体』
導入:誰が「私たち」を決めるのか
記事193-199(7本)
🎯 到達目標:コスモポリタニズムと共同体主義のバランス
👤 哲学的立場:コスモポリタニズムvs共同体主義
🌐 現代的課題:気候難民、経済移民、多文化共生
💭 考察ポイント:開かれた社会は可能か?
第34週:「働くって何?」
テーマ:労働の意味と未来
参考図書:アレント『人間の条件』、グレーバー『ブルシット・ジョブ』、今野晴貴『ブラック企業』
導入:AIが仕事を奪うとき
記事200-206(7本)
🎯 到達目標:労働の本質と未来への展望
👤 哲学的考察:
労働・仕事・活動の区別
ブルシット・ジョブの問題
ケア労働の価値
🌐 未来の労働:ベーシックインカム、労働からの解放
💭 考察ポイント:働かない生は可能か?
第35週:「プライバシーって何?」
テーマ:情報とデジタル人格
参考図書:ズボフ『監視資本主義』、ハン『透明社会』、東浩紀『一般意志2.0』
導入:すべてが記録される時代
記事207-213(7本)
🎯 到達目標:監視社会と個人の自由の問題
👤 現代的課題:
監視資本主義の構造
データの所有権
フェイクニュースと真実
🌐 デジタル人格権:忘れられる権利、AI時代のプライバシー
💭 考察ポイント:透明性は善か?
第36週:「経済って何のため?」
テーマ:経済システムを問い直す
参考図書:ポランニー『大転換』、グレーバー『負債論』、斎藤幸平『人新世の「資本論」』
導入:お金のない世界は想像できる?
記事214-220(7本)
🎯 到達目標:経済システムの根本的問い直し
👤 哲学者・思想:資本主義批判、贈与経済、脱成長
🌐 代替システム:ベーシックインカム、暗号通貨、コモンズ
💭 考察ポイント:「豊かさ」をどう再定義する?
📝 中間課題:選択テーマの探求(1000字)
第37週:「宇宙を哲学する」
テーマ:宇宙論的転回と地球共棲
参考図書:カール・セーガン『コスモス』、ティム・モートン『ハイパーオブジェクト』、中沢新一『野生の科学』
導入:地球外生命と出会ったら哲学は変わるか?
記事221-227(7本)
🎯 到達目標:宇宙論的視座と人間中心性の超克
👤 思想の展開:
宇宙論的スケールでの倫理
人新世とポスト人間中心主義
多種共生の実践
🌐 現代的課題:宇宙開発の倫理、惑星的思考
💭 考察ポイント:宇宙における人間の位置づけ
第38週:「共鳴する存在として生きる」
テーマ:関係性の存在論と実践
参考図書:ハルトムート・ローザ『共鳴』、西田幾多郎『善の研究』、ナンシー『共同-体』
導入:38週間の旅を振り返って
記事228-234(7本)
🎯 到達目標:共鳴理論の実装と新しい生き方の構想
👤 哲学的探求:
共鳴理論:世界との生きた関係
西田の場所論と絶対無
Ubuntu:「我々があるゆえに私がある」
🌐 実践への展開:
AIとの共鳴は可能か
制度の詩学と多声性
共鳴する知性の構築
💭 最終プロジェクト:「私の哲学宣言」(1500字)
✨ 後期の特徴
🌍 多文化的・多声的アプローチ:西洋中心主義を超えた哲学
🎵 芸術との対話:音楽・文学を通じた哲学的探求
📖 宗教史の包括的理解:原初から現代まで4週間の集中学習(第25〜28週)
💭 現代的課題への応答:戦争、移民、労働、プライバシーなど
🌌 宇宙的視座への到達:地球を超えた哲学的思考
💫 共鳴の哲学:関係性の中で生きる知恵
📚 後期推奨図書(主要なもの)
認識論・芸術
井筒俊彦『意識と本質』(岩波書店)
ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』(中央公論新社)
リクール『時間と物語』(新曜社)
武満徹『音、沈黙と測りあえるほどに』(新潮社)
宗教・思想史
エリアーデ『聖と俗』(法政大学出版局)
ヤスパース『歴史の起源と目標』(理想社)
テイラー『世俗の時代』(名古屋大学出版会)
SF・現代文学
アーシュラ・K・ル・グィン『闇の左手』(ハヤカワ文庫)
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ハヤカワ文庫)
伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房)
ジェンダー・身体・性
ボーヴォワール『第二の性』(新潮文庫)
バトラー『ジェンダー・トラブル』(青土社)
フーコー『性の歴史』(新潮社)
戦争・政治・経済
カント『永遠平和のために』(岩波文庫)
グレーバー『負債論』(以文社)
ズボフ『監視資本主義』(東洋経済新報社)
宇宙・共鳴
カール・セーガン『コスモス』(朝日新聞出版)
ハルトムート・ローザ『共鳴』(みすず書房)
西田幾多郎『善の研究』(岩波文庫)
🎓 修了後の展望
獲得される能力
多元的視座からの批判的思考
芸術と哲学を横断する感性
宗教的多様性への深い理解
現代的課題への哲学的応答力
宇宙的スケールでの思考
共鳴する存在としての実践知
実践への道
哲学カフェの主催者として
多様性の擁護者として
平和の構築者として
共鳴する知性の体現者として
💭 前期+後期 全38週間のメッセージ
前期20週で哲学的思考の基礎を固め、後期18週で現代の切実な課題と向き合い、最終的に宇宙的視座から「共鳴する存在」としての生き方に到達する。
この38週間(約9.5ヶ月)の旅は、知識の習得を超えて、新しい生き方の発見となるでしょう。
個人から世界へ、現在から未来へ、そして宇宙的スケールで、私たちは共鳴する——それが「哲学って面白い!」が描く、新しい知性と感性の地平です。
Copyright © 2025 Tomoyuki Kano <X:@tomyuk>
This work is licensed under CC BY-NC-ND 4.0
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