見出し画像

【「補助金があるから続く」と「価値があるから続く」の違い】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
なぜここまでソーラー発電は広がったのか ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先日参加した勉強会で、
「家庭に太陽光パネルを設置したら、元は取れるんですか?」という素朴な質問を聞いてみました。

そこで教えてもらったのが「FIT(固定価格買取制度)」です。

太陽光などの再エネで発電した電気を、国が決めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務づける制度。2012年7月にスタートし、その後の普及を一気に後押ししました。

数字で見るとその効果は明らかで、日本国内の太陽光発電の設備容量は、FIT制度が始まった2012年度から2024年度までの12年間で約10倍(73GW)に拡大しました。

一方で、世界に目を向けると、日本の動きは遅れています。

世界全体での太陽光発電の累積導入量は、2014年から2023年の10年間で8倍に拡大しており、日本の2倍以上のペース。

EU27カ国では2024年に再エネの発電割合が47.5%に達し、化石燃料による発電の29.1%を大きく上回っています。これは日本の自然エネルギー比率の約2倍に相当します。

日本の年間の新規導入量はここ3年間、横ばいが続いており、世界の伸びと比べてあまりにも少ない状況です。

FIT制度という強力な後押しがあっても、日本の歩みは世界に比べて遅いというのも正直に見ればあるということです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あえて「FITを使わない」という選択━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
来月の映画上映会に向けて「ソーラーシェアリング」を調べていた時のこと。陸前高田で取り組む方のお話に、
「最近は、あえてFITを使わない『非FIT』を選ぶ企業が増えている」
こんな一節がありました。

え、なんで?せっかく国が価格を保証してくれる制度があるのに。
気になって調べてみると、そこには大事な理由がありました。

FITの仕組みをもう少し正確に説明すると、FIT電力の買取コストは「再エネ賦課金」という形で、私たちが毎月払っている電気料金に上乗せされています。
つまり、電気を使うすべての人がコストを分担している仕組みです。

国際的な環境基準(RE100など)では、「国民の税金や賦課金に頼らず、新しく再エネ設備を増やした(追加性がある)」という実績が非常に重視されます。
この仕組みの結果として、注目されているのが非FIT電力です。非FIT発電所の電気は、国の買取義務がなく、市場の中で発電事業者と需要家が直接取引します。環境価値が供給先に帰属するため、「100%再生可能エネルギー」として認定されます。

だから企業はあえて「非FIT」を選ぶ。特に電力を多く消費する企業にとっては、環境対策とコスト削減を両立させる切り札として、今後のスタンダードになりつつあります。

国の保証がなくても市場で成立するほど、再エネが「通常の経済活動(ビジネス)」として自立し始めたということでもあります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
制度のその先で問われること ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここまで考えてきて、一つのことが頭に浮かびました。どんな変化も、最初は「制度」からは始まりません。

「このままでいいはずがない」
「自分たちの手でつくりたい」
という、泥臭い一人ひとりの想いと行動から始まる。

FITが始まる前から、補助金などほとんどない時代から、手探りで再エネを普及させようとしてきた人たちがいました。
その動きが広がり、社会課題として認識され、ようやく制度になる。FIT制度はそうして生まれ、たしかに普及を大きく加速させました。

でも制度が育てたものは、やがて制度の外へ出ていきます。
「補助金があるからやる」から「価値があるから選ばれる」への移行は、ある意味で、その分野が本当の意味で自立していく過程なのだと思います。

そして自立したとき、改めて問われるのは「その活動は、なぜ続くのか」という、より本質的な問いです。
これは地域でのまちづくりも、コミュニティも、同じ構造をしているように見えます。

ーーーーーー

7/12佐久上映会:食とエネルギーを自給するフクシマの農家たちの挑戦を描くドキュメンタリー


来月の映画上映会で観るのは、
ドキュメンタリー映画
『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』です。

「ソーラーシェアリング」とは、農地の上に太陽光パネルを設置して、発電と農業を同時に成り立たせる仕組みのこと。気候変動による猛暑が深刻になる中、日差しから作物を守る効果も注目されていて、取り組む農家も増えています。

映画には、福島第一原発事故をきっかけにソーラーシェアリングへ踏み出した農家さんたちの姿が描かれています。

エネルギーの話。 農業の話。 地域の未来の話。一見すると別々のテーマに見えますが、実はすべてつながっています。

「制度があるから続く社会」と「価値があるから続く社会」。その違いについても、映画を観ながら一緒に考える時間にできたらと思っています。

東日本大震災から15年の今年、仲間たちとこんな場をつくります。ぜひご一緒しましょう!
ーーーーーー
📽 映画『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』上映会
日時:7月12日(土)9:45〜12:30(9:15開場) 内容:上映+感想シェア
場所:佐久市市民創錬センター 音楽室1
参加費:無料

▼ 申込はこちら
https://forms.gle/mzP7xzjxETrsJGHe8
主催:さくまる未来会議
共催:持続社会連携推進機構 アース・シェルパ

いいなと思ったら応援しよう!