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とらぶた自習室 (14) 勉強メモ 野口良平『幕末的思考』第2部「内戦」第1章-3

勉強メモ 野口良平『幕末的思考』
第2部「内戦」
第1章「内戦の経験──第二のミッシングリンク」-3


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(筆)栗林佐知
2023年4月12日のメモ

■ あくまで抵抗する人々、北上

えぐいえぐい戊辰戦争。
尊皇攘夷だったはずなのに、いつのまにかするっと開国派になって、急ごしらえの「錦の御旗」でちゃっかり「官軍」になり、相手を「賊軍」呼ばわりして、江戸に攻め上った新政府軍。

将軍様が降伏し、有名な西郷と勝の話合いで「江戸開城」となっても(この本では、この場面はほとんど語られない。認めてないのだ。「開城」を批判的に見ていた福沢諭吉の言い方「解城」という言葉を、著者も使っている)納得できない幕臣たち(彰義隊)が、上野にこもって戦った。
が、長州のアームストロング砲で叩き潰される。
(えぐっ! 大村益次郎、花神とかいっちゃっていいのかー!!)

この様子を、幕府の軍艦に乗って見ていた榎本武揚や、彰義隊を脱出した大鳥圭介(京唄子とは関係ない)たちはこの軍艦で北上する。

榎本たちは、仙台まで来て、 陸上を転戦北上してきた新選組の生き残り土方歳三と合流。
(土方は、ただのケンカ好きではなくて、新式の軍の指揮に精通していたそうだ)

■ 榎本武揚と土方歳三、仙台藩の降伏派を説得……

おりしも東北の諸藩は、連盟して「新政府軍」への抵抗を決めてたけど、 「もー降伏しよう」という意見も強かった。
東北の大藩である仙台藩もしかり。

仙台で、榎本土方は、主戦派の人たちを激励し、 かたや降伏派をも訪問して「闘おう!」と説得する。

成り行きから言って、自分がもし仙台藩の人だったら、
「そんなこと言われてもなあ~」と思うだろうなと思ってしまった。
それだけ、私というか現代人は、土方たちが負けるのを知ってるので、「無駄な抵抗~」などと無意識のうちに思ってしまうのだと思う。

だがこの節で一番、胸をつかれたのがこの場面だったのだ。

著者は、土方歳三を評価している。
学問の人は、だいたい「新選組」を「アタマ悪い人たち」とみて、馬鹿にする向きがあると思うので、前章での近藤勇への評価に加え、ちょっと驚いた。

仙台藩の「勤王恭順論者」大条孫三郎・遠藤文七郎という人に、榎本と土方は説く。
榎本「今の新政府は正しい勤王じゃありません! 薩長の策士が方便でこしらえたものですっ」
土方「利・不利の問題ではない。薩長のやり口は不正義。貴藩はそんな奴らに味方するのですか、それでいいのですか」

大条と遠藤は説得されなかった。
だが、遠藤文七郎はあとで、榎本を「胆気愛すべき、しかれども順逆をしらず」と好意的に評した。だが、土方のことは 「斗筲の小人、論ずるに足りず」(ちんけな小者がうぜーよな) と吐き捨てたとか。

土方が京でやらかした人殺しや、仲間内の粛清を思うと、そういう評価は「ま、自業自得だよね~」と、私には思えた。
だが著者は、“土方が説いたのは節義” だと言う。
《ここで土方が問うていたのは、それなしにはルール自体が存在しえないルールの源泉をどうかんがえるか、ということだったろう。》 p126

え、なに?
《それなしにはルール自体が存在しえないルールの源泉》
立ち止まって何度か反芻する。
《ルールの源泉》?

……そうだ。
自然にしてたら人間の群れは、弱肉強食し放題になる。
でも「そんなの悲惨だ、いい社会じゃない」 。そう考えて、人間は「ルール」をつくったんだ。
それは「どんな手を使っても勝てば正解じゃん」という考えに「ノー」という心だ。
じーん。

土方はやっぱりあんまり好きじゃないけど(私の好みはどうでもいい)、著者のぶれない理非の考えが、「新選組」を再発見したことに揺さぶられた。

→ とらぶた自習室(15)野口良平『幕末的思考』第2部 第2章

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『幕末的思考』みすず書房 の著者、野口良平先生による連載
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*ヘッダー写真:土方歳三(伝:1969年1月1日函館・田本写真館似て撮影)函館市中央図書館、パブリックドメイン


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