2025.11.3.樋口監督×田口監督トークショー@須賀川特撮アーカイブセンター
2025年11月3日、須賀川特撮アーカイブセンターで行われたトークショーに行ってきました。トークショー、エキストラ撮影、そしてアーカイブセンター内のレポートをお送りします。
トークショー概要
日程:2025年11月3日(月・祝)
時間:10:00~12:00
定員:先着80名
会場:岩瀬市民サービスセンター3階講堂
(須賀川特撮アーカイブセンター隣接)

登壇者
樋口真嗣監督
平成ガメラ三部作、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』等で知られる日本特撮界の重鎮。庵野秀明監督の盟友としても知られる。
須賀川特撮アーカイブセンター運営に携わる、特定非営利法人アニメ特撮アーカイブ機構副理事長。
ついに出来ます。
— 樋口真嗣 (@shinji_higuchi) October 21, 2020
須賀川特撮アーカイブセンター / 須賀川市公式ホームページ https://t.co/ncCaf8zIqK
田口清隆監督
『ウルトラマンブレーザー』、『ウルトラマンZ』等でメイン監督を務め、ニュージェネレーションウルトラマンシリーズを中心に活動。王道の熱い特撮演出が得意な一方、チャレンジングな画面づくりにも意欲的。
須賀川市の中高生を対象とした特撮ワークショップ「すかがわ特撮塾」塾長。
東京はゴジラで大盛り上がりの中、円谷英二監督の故郷・福島県須賀川市ではこの3日間【すかがわ特撮塾・第4期】の最新作『出撃せよ!鎧機甲虫クワガッシャー』を撮影しておりました。今年はロボットVS怪獣対決映画!
— 田口清隆 (@TaguchiKiyotaka) November 3, 2025
2026年3月に須賀川にて公開です。
乞うご期待! pic.twitter.com/YfcQLPy6gB
島崎淳(司会)
映像コーディネーター。『温泉シャーク』監督補、『巨神兵東京に現わる』メイキング制作等。
「すかがわ特撮塾」常任講師。
当日司会をやらせていただきます!
— しまじゅん (@rakudabin) October 20, 2025
貴重なトークになるはずなので、皆さま是非! https://t.co/tYCnmNccl2
須賀川特撮アーカイブセンターとは

アニメや特撮映像に関わる資料を保管する目的で、2020年に開館。
庵野秀明監督が2017年に立ち上げた特定非営利法人アニメ特撮アーカイブ機構と福島県須賀川市が連携して管理している。入館無料、火曜休館。
須賀川市は、ウルトラマンを作った円谷英二監督のふるさと。
トークショー
開始10分前に到着。建物前に案内の職員の方がいて、スムーズに会場へ。
講堂内はすでに参加者でいっぱいでした。9割男性。後方に座っていた若者達ははすかがわ特撮塾のメンバーでしょうか。

内容は、お二人のご経歴、須賀川や特撮との関わり、ミニチュア特撮の魅力、新幹線大爆破の裏話、質問コーナー等。
貴重な過去の制作現場のお写真や、新幹線大爆破の資料などのスライドを交えてお話をしていました。
樋口監督は、子どもの頃に怪獣映画のメイキングを見てこの世界に入ったそう。メイキングをあまり表で見せなくなってしまった今、「子どもたちが『狂う』きっかけを作りたい」と考えたことがアーカイブセンター設立のきっかけになったのだそうです。「悪の組織が幼稚園バスをジャックするじゃないですか。我々がやってるのは、あれ!(笑)」
樋口監督が来日したギレルモ・デル・トロと会った際、田口監督も一緒にお酒を飲んだと話していました。「『僕はミニチュア撮影をしているけど、時代はCGで……』と話したら、ギレルモに『いやミニチュアだろ!』と言われて思わず涙ぐみました」
樋口監督より平成ガメラのエピソード。ガメラ2の頃に撮影されていた『鉄甲機ミカヅキ』にスタッフを取られていたとのこと。「業界が盛り上がるとスタッフの取り合いが始まる。平成ウルトラマンも始まって……スタッフに焼き肉とかおごったもん。『行かないで』って」
須賀川市のロケ地「ながぬまラボ」について。樋口監督は『のぼうの城』の洪水シーン撮影の際に、東京の撮影所では水道代がばかにならず苫小牧の「巨大なぬかるみ」で撮り、地方のオープンセットの良さを実感したのだそうです。『新幹線大爆破』でながぬまラボを使用し、「すごく良かった」と言っていました。「ながぬまラボ」については、田口監督から「今年、特撮をながぬまラボで撮影しました。来年の夏に発表されると思います」というお話も!
※以下の動画の屋外セットの場所が「ながぬまラボ」のようです。
我が社の精鋭たちもメインスタッフとして参加している特撮のメイキングあります。
— 特撮研究所の中 (@susumu_nakayama) May 17, 2025
福島県須賀川市ながぬまラボでの激闘をぜひ!#新幹線大爆破 #BulletTrainExplosion https://t.co/MhYcNTegtT
アーカイブセンターを作る際、樋口監督が「誰か常駐させたい」と考え、最初に声をかけたのが田口監督だったという話。その時田口監督はお酒を飲んでいたようなんですが、「俺がどんな気持ちで東京に出てきたと思ってるんだ!せっかく寒い室蘭(※地元)から東京に出てきたのにまた北に行くの?!」と大騒ぎしたと暴露されていました。田口監督は覚えていないそう。今はすかがわ特撮塾のために年に何回も須賀川にいらっしゃっています。
田口監督「今ミニチュア撮影を毎週テレビでやっているのはウルトラマンと戦隊だけ、という話を時々していたんですが、戦隊が……正式には発表されてないけど、戦隊が終わったらミニチュアやってるのはウルトラマンだけになってしまう」。田口監督は過去東映の特撮研究所に在籍していたこともあり、古巣の行く末を心配してらっしゃいましたが、最後は「いろいろあるでしょうし……まあこの話は……」と濁していました。
樋口監督の高校時代のエピソードで、「自主制作映画でミニチュアを燃やす際、美術室にあった画板のテーブルに乗せてガソリンをかけて火をつけた」という話。スライドにはメチャクチャ炎上しているビルのミニチュアの写真が。燃えすぎたので利根川に流したんだとか。
樋口監督は夏頃、昭和ガメラのリマスター作業をしていたそう。「当時のスタッフは生き残ってないから、『この人がやれば一番文句がないだろう』ということで俺が呼ばれた」。平成ガメラでは昭和ガメラの逆張りをしたつもりだったが、ワンカットワンカットリマスタリングしていると「ものがない時代にこれだけのものを撮ったんだ」と感じ入ったそうで、「フィルムの寿命や客層などから、リマスターが出るのはこれが最後。見えないものを見えるようにしたので、ぜひ見え方の違いを感じてください」と話していました。
昭和ガメラ3作品の4K修復を監修した
— 【公式】ガメラ生誕60周年プロジェクト (@gamera_info) August 1, 2025
監督 #樋口真嗣 さん・ #小椋俊一 さん
よりコメント到着!
平成ガメラ3部作の特技監督を務めた樋口さん
多くの名作の4K修復監修を手掛ける小椋さん
お二人の監修によって生まれた
「“まだ誰も見たことがない”昭和ガメラ」
全世界の特撮ファン必見です!! pic.twitter.com/bDXlVxFHm7
田口監督の、ちょっと照れ屋ながらチャーミングで朗らかなお人柄、興が乗ってくると早口になる魂の熱さ、現場を牽引する強くあたたかなリーダーシップ。
樋口監督の、切れ味鋭い言葉のチョイス、納得できるまで突き詰める偏屈なまでのこだわり、未来へ託すために自分こそが走り続ける覚悟。
お二人の魅力を直に感じられた2時間でした。

※正確には2時間10分ほど。終盤は終了予定時刻の12時を割り込んでいたのですが、建物全体にお昼12時にチャイムが鳴るようになっていたようで、最後の昭和ガメラのお話し中に「キーンコーンカーンコーン」とチャイムが。樋口監督は「学校みたい…」とそわそわしていました。
エキストラ撮影
トークショー終了後は、アーカイブセンター前で「すかがわ特撮塾」制作の作品のエキストラ撮影が行われました。参加は自由で、トークショー観覧者の多くがこちらの撮影にも参加していました。
「すかがわ特撮塾」は、須賀川市の中高生を対象に開催されている特撮ワークショップ。田口監督がメインで講師を務め、半年かけて十数分の怪獣特撮映像を制作します。この日は4期生制作の『出撃せよ!機動甲虫クワガッシャ―(仮)』が撮影されていました。公式Twitterを見ると、クワガッシャー、クワガタのロボット怪獣らしい。
クワガッシャー(仮)形になりました‼️
— すかがわ特撮塾 (@tokusatsujuku) August 24, 2025
という事で造形回3日間の活動が無事に終了しました。
塾生のみんなおつかれさま✨
佐藤大介先生ありがとうございました❗️#すかがわ特撮塾 pic.twitter.com/oNZA9t4SFp
「建物の向こうに現れた怪獣から走って逃げる」というシチュエーション。田口監督の「ここが松明通り(須賀川市のメインストリート)だということで」という指示で、4〜5回撮影しました。
樋口監督は、最初はトークショー会場建物の上階から眺めていましたが、後半は撮影場所に登場してエキストラに参加していました!

この看板を持ったスタイル、何かの映画のオマージュらしい。
映像の確認後、「歩いているところも撮りましょう」ということで、「人々が避難場所へ向かう中、2人のセンター職員が雑談しながら歩いていると、上空に巨大な昆虫怪獣が現れる」というシーンも追加で撮影しました。
歩く→職員が怪獣を発見→逆方向に走る、という流れ。こちらも数回撮影しOK。映像は来年3月に完成するそうです。

トークショーの最後に樋口監督からも注意があったんですが、大前提としてエキストラ撮影の注意事項は、
ケガに気をつける(転ばない!)
笑ってるように見えてしまうので歯を見せない(「撮影楽しい!」という気持ちだとどうしても顔に出てしまうのだそう。撮影中も「今のカットは3分の2の皆さんが笑ってました」と言われました)
カメラを見ない
なのだそう。今後エキストラに参加される方はぜひ覚えておいてください……!
お昼休憩を挟み、特撮塾班は午後もアーカイブセンター前で特撮シーンの撮影をしていました。見学自由でしたが、時間の都合でほとんど見ることができず!いつか拝見したいです。
須賀川特撮アーカイブセンター
午後はアーカイブセンターで過ごしました。

1階:エントランスホール、収蔵庫兼展示室、図書室
2階:ミニチュアセット展示、視聴覚室
1階 エントランスホール
受付でパンフレットと、樋口監督による収蔵品図解がもらえます。パンフレットは紙ペラで渡されて自分で折り本を作ります。内容は公式トップページにあるものと同じ。収蔵品図解については、トークショーで樋口監督が「(展示品が変わったから)作り直さなきゃ……」と話していました。

受付時に撮影等について職員の方からの諸注意があるのでしっかり聞きましょう!
さて、センターに入ると樋口監督のスタンドパネルがお出迎え。首に「樋口真嗣」と書かれた札が下げられています。(庵野監督と間違えている人もネットで見かけたのでそれででしょうか……)



ホールは吹き抜けになっていて、背景画や飛行機のミニチュアなどが展示されています。




ガンキリュウは、2022年に須賀川で開催された「全国自主怪獣映画選手権」で上映された『ガンキリュウ 超特報』に登場する怪獣。『ウルトラマンブレーザー』22話に、CM内に出てくる怪獣として出演しています。


他、展示の背景画について詳しくはこちら↓
壁には特撮関係者のサインが。

庵野秀明監督。

田口監督。

樋口監督の描いたスカキング(アーカイブセンターオリジナル怪獣)。品田冬樹のビオランテも。シン・仮面ライダーと仮面ライダーBLACK SUNの絵は造形の藤原カクセイ。

こちらは怪獣絵で知られる開田裕治のスカキング。

ウルトラシリーズ出演者も多い。

1階 収蔵庫
展示というよりも、収蔵庫の一部をガラス張りにして鑑賞できるようにしているイメージ。
ここに写っているものがほぼすべてです。というくらいのサイズ感。



明日7/16(水)より、福島県須賀川市にある
— 【公式】ガメラ生誕60周年プロジェクト (@gamera_info) July 15, 2025
「須賀川特撮アーカイブセンター」の収蔵庫にて
『ガメラ 大怪獣空中決戦』の#ガメラ の雛形が公開されます。
(制作:ガメラ造型部)
※この雛形は平成ガメラシリーズの造型を手掛けた原口智生さんが撮影用の型を使用して制作した、FRP成形の立像です pic.twitter.com/gWOf4MiANB


※図書室には入室しませんでした。使用の際には名前を書いて入ります。
超全集や映画秘宝、『館長 庵野秀明 特撮博物館』の冊子などがあるようです。
2階 ミニチュアセット
ゴジラや平成ガメラの特撮美術を担当した三池敏夫(アニメ特撮アーカイブ機構の理事でもあります)によるジオラマ。須賀川の町をイメージしているそう。



左の民家は、平成ガメラシリーズで使用したミニチュアらしいです。公園のセットが『巨神兵東京に現る』のものと似てる?と思ったけど微妙に違った。

こちらは大河ドラマ『いだてん』で使用されたとのこと。

2階 視聴覚室
『巨神兵東京に現る』と、すかがわ特撮塾制作作品が1時間おきに交互に上映されています。映像は各30分程度。

『巨神兵東京に現る』
庵野秀明監督が、CGを使用せずミニチュア特撮のみで制作した10分ほどの短編。巨神兵が東京の街を破壊しまくる。2012年のイベント「館長 庵野秀明 特撮博物館」で上映後、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の同時上映作品として公開。『Q』テレビ放送時に同時に放送されたこともあります。
今のところサブスク等にはなく、現在は『Q』の円盤か、このセンターでしか見ることができないようです。
私は「特撮博物館」でも見たことがあったんですが、ただただ破壊されていく街を眺める絶望感、今思うと『シン・ゴジラ』のいわゆる内閣総辞職ビームのシーンに近いですよね。
本編が終わると、メイキング『巨神兵が東京に現れるまで』が続けて上映されます。あらゆるアナログな手法でビルを壊し、巨神兵を動かし、「ギャハハ!めちゃくちゃいいじゃないですか!」などとはしゃぐ大人たち。最高です。
すかがわ特撮塾3期生制作『フェザーロン 須賀川と古の唄』
この日はすかがわ特撮塾の作品より、3期生(令和6年度)の『フェザーロン 須賀川と古の唄』が上映されていました。
須賀川市に怪獣が現れそして去っていく、須賀川版ウルトラQ的なテイストの映像なんですが、素朴な学生たちと町の人々!見たことある須賀川の風景の破壊シーン!容赦なく炸裂する田口特撮!という感じで、個人的には大変楽しめました。田口作品でおなじみ、『ウルトラマンオーブ』ジャグラス・ジャグラー役の青柳尊哉も出演しています。
こちらも本編上映後そのままメイキングが流れます。プロの講師に支えられ、企画、ミニチュアや衣装制作、スーツアクターも受講生が務めていることがわかります。自分が須賀川の中高生でないことが悔しくなりますね。
過去作はYoutubeでも視聴できます。以下は1期生(令和4年度)の作品『魂の叫び ヨロイガー』。
2期生(令和5年度)の『エスターガ 愛と命と怪獣と』。
グッズ販売
ショップではなく、事務室の窓口にグッズがちょっと並べてある、というような形。この日あった商品は以下。
アクリルキーホルダー 2種 各500円
ステッカー 3種 各200円 3種セット500円
マスキングテープ 2種 各500円
台本風オリジナルノート 500円
マスクケース 200円
クリアファイル 2種セット 300円
サコッシュ 2種 各1000円
手ぬぐい 2種 各900円
Tシャツ M,L,XL 各3500円
※時により品揃えが変わるようです



クリアファイル、ステッカー、アクリルキーホルダー、マスキングテープを購入。1000円以上購入でショッパーがつきます(有料でショッパー購入も可)。
トークショーでは、樋口監督が「入場料を取れない」「儲けちゃいけないからグッズも安い」と話していました。建物がかつての公民館を利用したものだからなのか、アニメ特撮アーカイブ機構がNPOだからなのかはわかりませんが……「いいと思ったら物販を買って!」とも言っていたので、来訪の際はぜひグッズ購入を。募金箱もあったので、そちらで協力するのも良いかもです。
一日を終えて

私は田口監督のファンなので(田口監督制作映画のクラファンのリターンに田口監督のアクスタがあったので支援してしまった)、大満足の一日でした。アーカイブセンター内でお写真を撮っている田口監督に手を振ったらニコニコしながら振り返してくれました、握手すればよかった。
アーカイブセンターもいつかは行きたいと思っていたのでいい機会でした。ただ展示スペースは2~3部屋なので、映像も含め半日あればひと通り見終わるかなというサイズです。須賀川にはほかにもウルトラマン関連のスポットがたくさんあるので、一日あるならもう半日は別なスポットに充ててもいいかも。
ただこのアーカイブセンター、アクセスがなかなかに悪いです(須賀川駅からバスで20分、一日3本)。樋口監督も「お車でのご来館をおすすめします」と書いている。

須賀川に来てもここまで足を伸ばすのは確かに厳しい!でもぜひ行ってほしい!という場所でした。


当日のニュース記事
【開館5周年の御礼】
— 須賀川特撮アーカイブセンター (@suka_tokusatsu) November 3, 2025
本日2025年11月3日で、須賀川特撮アーカイブセンターは開館5周年を迎えました。記念イベントには多くの方にご参加いただきました。日頃よりセンターを応援してくださる皆様に感謝申し上げます。どうぞこれからも、よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/lJeN2Nr6Yf
おまけ
お昼は、アーカイブセンター最寄りのランチスポット・千代乃や食堂に行きました。センターより徒歩5分。センターのロケーションとしては隣は田んぼという感じで、ここ以外でお昼を食べようと思うと車がないと無理です。コンビニは徒歩15分くらいですね。
名物のごまみそラーメンをいただきました。ごまの風味が自家製麺にからんでおいしかったです!



