15年ぶりに、書きはじめます。
2009年4月1日。僕はブログを始めました。
ITmediaオルタナティブ・ブログ、名前は "in the looop" です。
書き始めた時、舞台は火の車でした。リーマンショックの余波で、経営するループスは瀕死の重傷、倒産寸前だったのです。
社員7人で転がり込んだのは、渋谷の小さなマンション。そこに、オルタナの番長w、鈴木麻紀さんがわざわざ来社してくれた日のこと、書いてて思い出しました。懐かしいな。あれから、もう17年もたったのか。
ちょうど、ソーシャルメディアが世界を変えようとしていた頃でした。
FacebookもTwitterも、一部のイノベーターしか注目していなかった。会社の命運をかけて、ブログを書く、という僕のルーティンが始まりました。
朝2時ごろ起きる。RSSで何百本もの海外記事のタイトルを流しみる。目新しいSNS関連の情報を見つける。複数の記事をつなげ、独自の考察を加える。朝8時にブログを出す。少し寝て、会社にいく。
はじめて数ヶ月、読んでくださる方はほんとうにわずかでした。精魂込めた記事なのに、誰も読んでくれないぞと、意気消沈する日々。。。
でも、虚仮の一念、岩をも通す。半年と少しで、オルタナブログでも定番となり、やがて、ご本家のTech Crunchや、湯川鶴章さんのTechWaveと並び称されるまでになりました。めちゃ、うれしかった。そのころ、読者は10万人を超えていました。
ブログをやめたのは …
でも、2011年春で、僕はブログを止めました。
一義的には「ソーシャルシフト」という本に全力を注ぐため。ブログで積み上げてきた知見を、アートとしてひとつの書籍に結晶させたかった。でも、出版した後も、うまくブログに戻れませんでした。
正直に言うと、気持ちが燃え尽きていたんです。期せずして、何度か記事が炎上したことがあったから。読んでくれてる人の役に立ちたいという気持ちで書いていただけに、思いのほか、心の傷が深かった。筆にチカラが乗らなくなってしまったのです。
あれから15年。一、二度ほど書き始めようとしたことはありました。でも、やっぱりだめだった。うまく続けることはできませんでした。
なぜ、また書くのか
じゃあ、なぜ、こんな年齢になって、またノートを書くなんてことを思ったのか。後づけかもだけど、いくつか理由を思いつきました。
一つは、心のゆとりができたこと。株式会社ループスの代表は福田浩至にバトンタッチ。株式会社hintも、自分たちで考え、動ける組織に育ってくれました。僕に「ゆっくり考える時間」が戻ってきた。年をとって気負いがなくなり、まあ燃えても仕方ないか、みたいな心境にもなれたのもあるかもです。
それともう一つ。「in the looop」を書き始めたとき、世界にはソーシャルメディアの衝撃がありました。まだSNSが何者か、どんな影響を及ぼすのかわからなかった勃興期。掘れば掘るほど深く、書きたいことが尽きない時期でした。「AIの登場」で、あの感覚が戻ってきた感じがあるんです。
ただ、当時と大きく違うことが一つあります。
コンテンツ制作のコストが、劇的に下がったこと。AIを使えば、それなりの記事を半自動でつくれます。YouTubeにも、SNSにも、すごい個性を纏っているんだけど、どこか似たような情報が溢れています。
なんとなく見てたら、なんとなく時間が過ぎてゆく。あ、30分経ってた。みたいな感じ。便利な時代なんです。でも、だからこその欲求が、僕の中で生まれてきました。
うすい情報やポジショントークは、もうお腹いっぱい。
人間だから書けるもの。体系的な情報、深い洞察、新鮮な驚き。
「これはひと味違うぞ」みたいなものを書きたいぞ。
昔は、そんな感じで書けてた気がする。じじいになってしまったけど、もう一度、それにチャレンジしてみよう、と思ったのです。
なにを書くのか
偉そうに言ってるけど、なにが書きたいのか。
それは、僕の信念に起因するものです。
AIの登場で、人間が、自分の居場所に自信を持てなくなっています。
「AIに仕事を奪われないか」「自分には何ができるのだろうか」「そもそも来年、この会社はあるのだろうか」——そんな声を、あちこちで聞きます。
そんなクラックから、差し込む一筋の光みたいになりたい。
これは技術の話ではなく、人類の選択だと思う。
AIとチームメイトになり、人間がもっと幸せになる未来が拓ける。
その選択肢もきっとある。
僕は、その可能性に希望を抱いています。その一助になれたらいいな。
これが、一番深いところにある動機かもしれません。
2009年、僕が問うたのは「ソーシャルメディアは、経営をどう変えるか」。
2026年、僕が問いたいのは「AIは、経営をどう変えるか」です。
問いは変わりました。でも動機は同じ。
世界が変わる瞬間の真髄を、いち早く捉えて、言葉にしたい。
読んでくれた人に、一筋の希望を届けたい。
アンパンマンかよ。みたいなことを言ってしまいましたが、
こんな感じで、はじめてみます。
human in the looop
noteの名前は、human in the looop にしました。
これは、AI系の人たちの言葉で、人間がAIの学習ループの中に入る——そんな前提を表現した言葉です。
AIがどれほど賢くなっても、人がそこにいる。人間が選び、人間がつくる世界を信じたい。その思いを、この名前に込めました。
human in the looopは、レコードみたいに両面設計で書いていきます。
A面には、起業家としての僕の視点を刻みます。
AI・組織・経営。世界の最新動向を調べ、驚きの発見を、少しだけ僕の考察も含めてお届けします。
B面には、人間としての僕が生きてきた歴史を刻みます。
僕自身が、挫折・変容・再起動。生き延びてきた中で気づいたこと、今も実践していることを書いていきます。
どちらから聴いていただいても、かまいません。
そこに、僕の信念を感じていただけたらうれしいです。
15年ぶりに再開します。
また、よろしくお願いします。
斉藤 徹 (とんとん)

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斉藤 徹(とんとん)
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