気持ちがしんどい日に効く──3つのスイッチを見つけました。
しんどい日があります。
もうだめ。絶対間に合わない。パニックで頭に血がのぼってる。
理由はわからないけど、朝からだめ。気持ちがどんより沈んでいる。
「今度こそ続けるぞ」と自分に言い聞かせた。三日でもとに戻った。
そんなとき、決まって、自分が嫌いになります。
僕の人生も、わりとしんどいものでした。
特につらかったのは、まだ、経営者としての経験が少なく、右も左もわからない時に体験した、倒産寸前の経験です。
借金地獄で、しかも資金ショートが長く続いていました。
税金も未納。社会保険も未納。家賃も外注費も多くは未納です。
絵に書いたような最悪な経営状態なんだけど、四世代、家族八人が住む実家が担保に入っていて、絶対に倒産もできない。そんな袋小路の状態が、何年も続いていました。
僕にとって、深夜のひとときだけが、心の救い。
ベッドの中でこんなことを考えていました。
出口の光すら見えない漆黒の苦しみに、果たして終わりはあるのだろうか。
つらい、どうにもならない、もう生きていたくない。そんな負の循環に自分を追い込んでいるのは、現実そのものではなく、実は自分自身なんじゃないか——。
その時、僕は気がついた。この出来事をどう受け止めるか、心のあり方を決めているのは、他の誰でもない、僕自身だった。その時、疑心暗鬼で凝り固まった胸のつかえが、すっと消えていくのを感じた。
意志ではない。脳の機能なんだ。
起業家なので、すこし大げさな話になりました。
でも、大切なのは、事の大小じゃない。
例えば、初恋の相手に振られたら、深く傷つき、絶望するでしょう。
なんとなく嫌なことが続けば、心が塞いでしまうでしょう。
誰にもある、しんどい時。心が動かない時。
どうすればいいんだろう。
僕も、長い間、ずっと答えを探し求めてきました。
やがて、わかってきたのは、
これは「意志の問題」ではないということ。
むしろ、誰もが持つ「脳の機能の問題」なんだ、と。
脳が立ち往生してしまう。
典型的な場所は、三箇所あると思います。
① 激情ゾーン … 強いストレスで「感情」が荒れている
② 不安ゾーン … 慢性的な不安で「思考」が働かない
③ 停滞ゾーン … やる気はあるのに「行動」が続かない
この3つのゾーンが、日常の中では重なったり、行き来したりします。
この時、感情・思考・行動のどこに負荷がかかっているかに気づく。
そうすると、心を整えていけることがわかってきました。
スイッチ① 感情——「扁桃体ランディング」
頭が真っ白になる。動悸がする。視野が狭くなる。言葉が出てこない。
強いストレスを受けると、脳のなかの「扁桃体」が反応し、身体は一気に緊張状態に入ります。その影響で、思考と判断を担う「前頭前野」の働きが弱まる。ダニエル・ゴールマンはこれを「扁桃体ハイジャック」と呼びました。意志の問題ではなく、自動的に起きる生理反応です。
だから、焦りや怒りに任せて行動してはいけない。
まず、ハイジャックされた状態に気づくことが、最初の一手です。
これに効くのが「扁桃体ランディング」です。
感情の荒れを見つけたら、扁桃体の興奮を落ち着ける儀式です。
これをマスターすると、何が変わるか。
感情が荒れても、数分で落ち着きを取り戻せるようになります。
怒鳴ってしまった、泣き崩れてしまった、そういう後悔が減っていく。
嵐の中でも、自分の軸を保てるようになります。
次回のB面①記事では、この状態から抜け出す具体的な方法——「扁桃体ランディング」のやり方を具体的に書きます。
スイッチ② 思考——「ゼロ点リセット」
不安のループに入る。悪いことばかり考えてしまう。
しなくちゃが積み上がって、身体が動かない。
注意が「不安」や「不足」に偏ると、思考は同じところを回り続けます。神経科学では、注意が内側に向かい思考がさまよう状態を「マインド・ワンダリング」と呼びます。
特に、慢性的なストレス状態では、この偏りが特に起きやすい。
自分を責めても、無理にポジティブになろうとしても、解決しません。
問題の場所が違うからです。
これに効くのが「ゼロ点リセット」です。
夜に、その日起きたことを「感謝」でまとめて、感情をリセットする。
そして朝、「まったくのゼロから人生をはじめる」という儀式です。
これをマスターすると、何が変わるか。
同じことをぐるぐると考え続ける時間が、劇的に減ります。
不安に飲み込まれそうな瞬間に、すっと「今」に戻ってこられる。
頭の中が静かになると、本当に大切なことが、自然と見えてきます。
思考が止まっているとき、必要なのは「今」に戻ること——「ゼロ点リセット」の具体的なやり方を、B面②記事に書きます。
スイッチ③ 行動——「フロー設計」
何かを始めても、三日坊主になる。何をしても中途半端で終わる。
やる気がすぐに消えてしまう。
心理学者チクセントミハイは、人が完全に没入できる状態を「フロー」と呼びました。フロー体験は意図的につくるにはコツがある。課題の難易度と、自分のスキルが釣りあっていること。難しすぎれば不安になり、簡単すぎれば退屈になる。ちょうどよければ、誰もが熱中するのです。
続かないのは、意志が弱いからではありません。
課題の難しさ設計が、うまく合っていないからです。
これに効くのが「フロー設計」です。
飽きっぽい自分を、眼の前のことに夢中させてしまえばいい。
フロー体験の知見をもとに、自分を熱中させる儀式です。
これをマスターすると、何が変わるか。
「続けること」が、苦しくなくなります。
気づけば夢中になっている。時間を忘れて取り組んでいる。
そして少しずつ、確実に、自分が成長していく実感が生まれてきます。
自己嫌悪の代わりに、小さな有能感が積み上がっていく。
「フロー設計」の具体的な方法は、B面③記事に書きます。
レジリエンスとは、折れない強さではない
レジリエンスという言葉があります。
ストレスや困難、予期せぬ危機に直面した際に、回復する力のこと。
この「3つのスイッチ」は、レジリエンスを育む鍵でもあります。ただし、レジリエンスとは「折れない強さ」ではありません。 「気づく速さ」と「スイッチ」があれば、誰でも身につけられる能力です。
感情が荒れていることに、気づく。
思考が止まっていることに、気づく。
行動が続かない理由に、気づく。
そして、3つのスイッチをオンにする。
それでもだめな日は——いったん手放してやすみましょう。
大丈夫。ほっておいても、明日は来ます。
つまずいたっていいじゃないか、にんげんだもの。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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斉藤 徹(とんとん)
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