困る前に、少しだけ相談しておく
はじめに
仕事をしていると、「これは相談した方がいいかもしれない」と思う場面があります。
ただ、実際にはすぐ相談できないこともあります。
「もう少し自分で調べてからにしよう」
「まだ大きな問題ではないし」
「こんなことで聞いていいのかな」
「うまく説明できる気がしない」
そう思っているうちに、だんだん状況が重くなっていくことがあります。
私の経験では、しんどくなってから相談するのは、意外と難しいです。
相談するにも力がいります。
状況を整理する。
相手を選ぶ。
何を聞きたいのか考える。
自分の考えを言葉にする。
相手の反応を受け止める。
これだけでも、けっこうエネルギーを使います。
だから私は、完全に困ってから相談するのではなく、困る前に少しだけ話しておくことが大事だと思っています。
相談は、限界になってからするものではなく、相談する力が残っているうちにするものだからです。
相談には、思っているより力がいる
「困ったら相談すればいい」
これは正しいと思います。
ただ、実際の仕事では、困っているときほど相談しにくくなることがあります。
疲れている。
焦っている。
何から話せばいいか分からない。
自分でも状況を整理できていない。
相談したら怒られるのではないかと思う。
相手の時間を奪うのが怖い。
そういう状態になると、相談そのものが重くなります。
本当は誰かに話した方がいい。
でも、話すための準備をする力が残っていない。
そうなると、さらに一人で抱え込んでしまいます。
相談が遅れるのは、やる気がないからとは限りません。
性格だけの問題でもないと思います。
相談するための力が、だんだん減っていくことがあるのだと思います。
困る前に、少しだけ話しておく
私の会社では、上司には困る前にちょっとだけ話をしておく、という感覚があります。
まだ問題になっていない。
まだ止まってはいない。
まだ大きな判断が必要なわけではない。
でも、
「少し気になっている点があります」
「もしかしたら、ここが後で問題になるかもしれません」
「今はまだ大丈夫ですが、念のため共有しておきます」
「このあたり、少し危ないかもしれません」
このくらいで、先に空気を伝えておく。
それだけでも、本当に問題になったときの動きがかなり変わります。
上司からすると、まったく知らなかった問題が突然出てくるのと、前から少し聞いていた件が大きくなるのとでは、受け止め方が違います。
前から少し聞いていれば、
「やっぱりそこが問題になったか」
「では、あの人に声をかけよう」
「先に調整しておこう」
「優先度を少し上げよう」
と動きやすくなります。
相談は、いつも答えをもらうためだけにするものではありません。
「こういう気配があります」と、早めに場に出しておくことも、相談の一つだと思います。
早めの相談は、自分の負荷を減らすためでもある
相談というと、相手に頼ることのように感じるかもしれません。
もちろん、それもあります。
でも私は、相談にはもう一つ意味があると思っています。
自分の頭の中にある負荷を、少し外に出すことです。
一人で抱えていると、
「この判断で本当にいいのか」
「あとで問題にならないか」
「誰に影響があるのか」
「自分だけが気づいているのではないか」
と、頭の中でぐるぐる回り続けます。
でも、早めに少し共有しておくと、その負荷が少し軽くなります。
判断を一人で抱えなくて済む。
誤解を早く直せる。
手戻りを減らせる。
リスクを共有できる。
「自分だけが抱えている」状態から抜けられる。
これは、仕事を楽にするためにも大事です。
相談は、弱いからするものではありません。
仕事を一人で抱え込みすぎないための工夫だと思います。
相談は大きくしない。小さくする
相談が重くなる理由の一つは、完璧に説明しようとするからだと思います。
全部整理してから話そう。
背景も経緯も全部まとめよう。
自分の考えもきれいに用意しよう。
相手に突っ込まれても答えられるようにしよう。
そう考えると、相談する前の準備だけで疲れてしまいます。
でも、早めの相談は、そこまで大きくしなくてもいいと思っています。
たとえば、
「方向性だけ確認したいです」
「この前提で進めてよいか見てほしいです」
「ここだけ判断に迷っています」
「このリスクを先に共有しておきます」
「まだ整理中ですが、少し気になっている点があります」
このくらいでも十分なことがあります。
全部説明して、全部判断してもらう必要はありません。
一部だけ確認する。
気配だけ共有する。
前提だけ見てもらう。
リスクだけ先に出しておく。
相談を小さくすると、話し始めるハードルが下がります。
相談前に書く4つのこと
とはいえ、何も整理せずに話すと、自分でも何を相談したいのか分からなくなることがあります。
なので私は、相談する前に少しだけ書き出すのがよいと思っています。
書くのは、だいたいこの4つで十分です。
今やっていること
まず、今何をしているのかを書きます。
「リリース手順を確認しています」
「仕様の確認をしています」
「障害対応の原因を調べています」
「関係部署への影響を見ています」
今どこにいるのかを短く書くだけで、相談の出発点が分かりやすくなります。
困っていること
次に、どこで引っかかっているのかを書きます。
「ロールバック手順が未確認です」
「仕様Aと仕様Bのどちらで進めるべきか迷っています」
「影響範囲がまだはっきりしていません」
「このまま進めると、あとで手戻りになりそうです」
ここが見えると、相手も状況をつかみやすくなります。
自分の考え
次に、自分はどう考えているのかを書きます。
正解でなくてもいいです。
「私は一度、検証環境で戻し手順を試した方がよいと思っています」
「影響が少ないので、仕様Aで進める方がよさそうに見えます」
「この部分だけ先に関係者へ確認した方がよいと思っています」
自分の考えがあると、相談は丸投げになりにくくなります。
相手に聞きたいこと
最後に、相手に何をしてほしいのかを書きます。
「この方針で進めてよいか確認したいです」
「判断者が誰か確認したいです」
「このリスクを先に共有しておきたいです」
「この点だけ見てもらえますか」
ここがあると、相談される側も答えやすくなります。
たとえば、こうです。
今、リリース手順を確認しています。
ロールバック手順が未確認なのが気になっています。
私は一度、検証環境で戻し手順を試した方がよいと思っています。
この方針で進めてよいか確認したいです。
このくらいであれば、相談する側も話しやすいですし、相談される側も答えやすくなります。
「ちょっと危ないかも」を共有しておく
仕事では、はっきり問題と言える前の段階があります。
まだ障害ではない。
まだ遅れてはいない。
まだ誰かが困っているわけではない。
でも、少し危ない気がする。
この感覚を、自分の中だけに置いておくと重くなります。
もちろん、すべての違和感が正しいわけではありません。
心配しすぎのこともあります。
それでも、早めに小さく出しておくことで、助かることがあります。
ここでは、解決してもらうことよりも、リスクを共有することが目的です。
「まだ問題ではないですが、少し気になっています」
「今すぐ対応が必要かは分かりませんが、念のため共有します」
「後で大きくなるかもしれないので、先に話しておきます」
こういう言い方で十分です。
相談は、結論が出てからするものとは限りません。
結論が出る前に、少しだけ状況を渡しておく。
それだけで、自分も周りも動きやすくなることがあります。
まとめ
相談には、思っているより力がいります。
状況を整理する。
相手を選ぶ。
何を聞くか決める。
自分の考えを言葉にする。
疲れているときや、しんどくなっているときには、それだけでも重く感じます。
だからこそ、完全に困ってからではなく、まだ小さく話せるうちに出しておくことが大事だと思っています。
相談は、大きな問題になってからするものだけではありません。
「少し気になっています」
「ここだけ確認したいです」
「もしかしたら危ないかもしれません」
「念のため共有しておきます」
このくらいの小さな相談でも、仕事は進めやすくなります。
上司や周りの人に、少しだけ状況を渡しておく。
自分の頭の中にある負荷を、少し外に出しておく。
それだけで、仕事は抱え込みにくくなります。
相談は、弱さではなく、仕事を楽に進めるための工夫なのだと思います。
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