ただ書き留めていただけの午後
先日のセッションの最後に、
少し不思議な時間がありました。
成果発表を終えて、
役員の方々からフィードバックをいただいたあとです。
そのフィードバックの中で、
いくつか印象に残る言葉がありました。
「思考の質」
「バランス」
よく聞く言葉です。
でも、ふと思いました。
思考の質って、どういうことなんでしょう。
経営者が言う「バランス」って、具体的には何を指しているんでしょう。
そんな問いを、皆さんに投げてみました。
すると、最初は少し戸惑いながらも、
ぽつぽつと声が上がり始めます。
「積極的に言ったら、距離ができてしまった」
「役職が上がると、率直に言いにくくなる」
「人に伝えるとき、言い方をすごく気にしてしまう」
「言ったら嫌な顔をされるかもしれない」
話しているうちに、
いろんなモヤモヤが出てきました。
一度話してもらって、
また別のグループで話してもらって、
またモヤモヤを出してもらって、
また話してもらって。
そんなことを、何度か繰り返していました。
誰かが正解を言うわけでもなく、
何かをまとめるわけでもなく。
ただ、
モヤモヤを出して、
それをみんなで眺めて、
また話す。
それだけです。
ふと時計を見ると、
もう夕方の4時になっていました。
かなり長い時間話していたはずなのに、
不思議と誰も疲れた様子はありません。
むしろ、
さっきより少しだけ、
言葉が深くなっているような気がしました。
ちなみに、私はと言えば。
ほとんど何もしていません。
ただ、
皆さんが話してくれたモヤモヤを
ホワイトボードに書き留めていただけでした。
それでも、
議論はかなり深いところまで進みました。
誰かがうまく導いたわけでもなく、
特別なフレームワークを使ったわけでもありません。
ただ、
モヤモヤを急いで結論にせず、
少しのあいだ、
そのまま場に置いておいただけです。
もしかすると、
深い対話というのは、
何か特別な技術で生まれるものではなくて、
モヤモヤを
急いで片付けないこと。
それだけなのかもしれません。
昨日、私は
その場に
静かにいただけでした。
そして、
皆さんの思考は、知らぬ間に深くなっていました。
