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【叔父さん勇気を出して】レポート№3 香月 美桜(こうづき みお)―匂いは分かるのに恋は分からないー

このシナリオは恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画
『報われなかった恋を読む場所』対象企画です

この企画は各章の❤の数にてメインヒロインを決める企画
スキの対象は以下の4通りです

各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介 内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介 内)

締切は、この物語を執筆予定の26年4月18日迄
果たして、どのヒロインの物語になるか?

それでは、レポート№3 香月 美桜(こうづき みお)―匂いは分かるのに恋は分からないーを美桜のイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい


↓美桜のイメージ楽曲↓

今日の調査対象は、香月美桜
嗅覚が異常に鋭い少女
体調、感情、嘘、全部匂いで分かるらしい

彼女は未来の世界の嗅覚特化アンドロイドの原型の人物である

匂いから状態を解析する個体
逃げても、隠れても、追跡される

その鼻からは……何物も逃れる事ができない


校門の前で待っていると、後ろから急に顔が近づいた

「……ちょっと動かないで」
「え?」

美桜さんが、私の首元に顔を寄せてくる
すごく……近い

「……変な匂いはしないわね」
「な、何してるんですか!?」
「確認よ。麗華さんに頼まれたと言え、変な匂いの奴と歩きたくないから」

鼻を鳴らしてから、腕を組む

「まあ……合格ね。変な薬の匂いもないし」

私は思わず一歩下がった
……この人、初対面で匂いを嗅ぐんだ
普通じゃない

廊下を歩いていると、周囲の生徒が少し距離を取っているのが分かった

嫌われているわけじゃない

でも、近づきづらそうだ
理由はすぐ分かった
昇降口で、ある男子が友達に言った

「今日さ、俺――」
「貴方……熱あるわね」

横から美桜が言った
男子が固まる

「え?」
「37度ちょい。薬飲んでるでしょ」
「……なんで分かるんだよ」
「匂い……不快だから今日は無理せず休みなさい」

それだけ言って歩き出す
私は小走りで追いかけ

「……すごいですね」
「普通よ」

即答だった

「みんな鈍いのよ。匂いで分かるでしょ普通」

普通じゃない
校外に出ると、美桜さんは急に立ち止まった

「……あっち」
「え?」
「嘘ついてる匂いする」

人混みの中を指さす
数分後、店の前で騒ぎが起きていた

財布が無くなったらしい

美桜さんはため息をついて近づいた

「この人」

指さされた男が驚く

「は?」
「左ポケットに自分のじゃない財布持ってる……盗んだでしょ」

周囲がざわつく
店員が確認すると、本当に男のポケットから財布が出てきた
その場が一気に静かになる

男が怒鳴る

「偶然だろ!」
「偶然じゃないわ。それに……右のポケット女性物の財布の匂いがする。そう……貴女と同じ匂い」

店員が右のポケットを確認すると、確かに女性物の財布があった
同時に女性の方も財布がない事に気付く

「えっ!!その財布私の財布です」
「これでも偶然じゃないというのかしら……窃盗犯さん」

言い切った
……怖い

帰り道、私は思わず言った

「すごいですね。美桜さん。探偵みたいです」
「そう?」

美桜さんは肩をすくめた

「真実を言ってるだけよ」
「でも……ちょっと人と距離ありますよね」

一瞬だけ、歩く速度が落ちた

「……別にいいわよ……他人なんて」

小さな声だった

「私は、正しいこと言ってるだけ。けど……みんな嫌な顔する」
「……」
「匂いは……嘘をつかないのに」

私は美桜さんの横顔を見た
この人は、全部分かるんだ
だから、余計なことも全部言ってしまう

だから、近づきにくい

嘘はない
観察力が高く、判断も早い
でも……孤立している

私は歩きながら決めた
次はもっと深く叔父さんとの関係を聞いてみよう

そう……どう思っているのかを

この人は匂いで全部分かるのに
自分の気持ちだけは、分かっていない

そんな気がするから……

私は今、美桜さんと商店街を並んで歩いている
美桜さんは、さっきからずっと周囲の匂いを嗅いでいる

本当に嗅いでいる
犬のマーキング確認みたいにあちこちと
正直……落ち着かない

私は意を決して、本題に切り込んだ

「美桜さんって、理人さんとどれくらいの付き合いになるんですか?」

美桜は少しだけ考えてから答えた

「小学校四年くらいだから……七年よ」
「長いですね」
「そうね」

少し間を置いてから、急に笑った

「ごめんなさい。あいつと初めて会った時の事、思い出しちゃった」
「えっ!!どんな出会いだったんですか?気になります」
「あいつ、ものすごっっっっっく臭い薬品使ってたのよ」
「……薬品ですか?」
「そう確か……シロキサンだったかしら」
「シロキサン?」
「何かよくわからない電子機器に使ってたみたい。廊下中に匂い広がってて最悪だったわ」

私は思わず聞いた

「その時、理人さんは何て?」

美桜は顔をしかめた

「あいつね」

少し声を低くして真似をした

『この薬品の匂いを感じるとは……君は天才か?』

私は吹き出しそうになった

「……そう言ったんですか」
「そう言ったのよ。バカでしょ」

腕を組む
でも少しだけ、口元が緩んでいる

私は続けた

「理人さんって、他の人と違うんですね?」
「違うわね」

即答だった
そのあとで、じっと私を見る

「ねえ……何でそんな事聞くの?」

ドキッとした

「え?」
「貴女……理人の事、好きなの?」
「ち、違います!」

慌てて否定する

「調査です!ただの調査です!」

じっと見られる
匂いを嗅がれている
顔が近い

「……嘘ではないわね」

離れた

「まあ……どうでもいいけど」

歩き出す
少しだけ無言
そして、ぽつりと言った

「でも……さ」
「はい?」
「理人が他の奴としゃべってると……ちょっとイラつく」

私は思わず止まった

「イラつくんですか?」
「うん」

即答

「何か……変な匂いするのよ」
「変な……匂いですか?」
「そう……変な匂い。でも……どこからするのかは……わからない」

少し顔をしかめる

「ムカつく」

意味が分からない
でも、分かる気がする
私はさらに踏み込んだ

「理人さんの事……好きなんですか?」
「は!?違うし!」

即答だった
でもすぐに視線を逸らす

「まぁ……嫌いじゃないけど」

言い直した

「別にどうでもいいし」

どうでもよくない顔だった
私は続けた

「付き合いたいとかは……考えた事ないんですか?」

美桜さんが止まった
少しだけ困った顔をする
考えている

「……考えた事ない」

正直だった

「そういうの……分かんない」

少しだけ小さな声になる

「匂いでは分かるんだけどね」
「匂い?」
「他の人は全部分かるのよ」

歩きながら言う

「嘘も、本音も、好きも嫌いも」

少しだけ空を見た

「あいつの事も全部分かる」
「理人さんの事ですか?」
「うん」

そして
少しだけ眉をひそめた

「でも……」

止まる

「たまに分かんない時あるのよ」

私は思わず聞いた

「分からないですか?」
「うん」

腕を組む

「あのバカが何考えてるか匂いで分かるのに……たまに違う事する」

少しだけ不機嫌そうに言う

「意味分かんないのよ……あいつ」
「でも……顔は少し楽しそうですよ」
「はぁ~意味わかないし」
『流石麗華さんのいとこだなあ……こうゆう所はよく似てる』

私は歩きながら考えた

美桜さんは叔父さんに対して……

拒否はない
嫌いでもない
むしろ特別

でも……本人がそれに気付いていない

恋を成立させるには……きっかけが必要だ

隣を見る
美桜さんは相変わらず周囲の匂いを嗅いでいる
私はこの人の事をこう結論づけた……

この人は、他人の心は匂いで理解できるのに……自分の恋の匂いだけは理解できていない


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