【聖夜までに恋をひとつ】第2章 「天才少女、恋を実験する」
第2章のヒロインは、辰城 ことは(たつしろ ことは)です
このシナリオはクリスマスの週に書く恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画シナリオで、各章の❤の数にてメインヒロインを決める予定です
スキの対象は以下の4通りです
各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介内)
それでは、第2章 「天才少女、恋を実験する」をお楽しみ下さい
序章おさらい
「あなた、今日の“サンプル”にちょうどいいや」
その言葉から逃げようとした俺の足は、なぜか止まっていた
いや、なぜ止まったんだ俺。逃げろよ。警報鳴らせよ。帰れよ俺
しかし現実は残酷だ
目の前では辰城ことはが、理科室前の長机いっぱいに謎の装置を広げ、嬉々として配線を繋いでいた
「君、来ると思ってた」
「いや怖いですよその確信」
「予測値86%だったし」
「数値出てる時点で予測じゃなくて待ち伏せですよね?」
ことはは俺のツッコミをまるで空気のようにスルーし
何か小さな金属片をねじ込みながら続ける
「天ヶ瀬、座って?」
「いや機材の横に椅子あるのおかしくないです?」
「大丈夫。爆発はしないから」
「爆発前提なの?」
恐怖より先にツッコミが口から出るあたり、俺も大概だ
渋々座ると、ことはは俺の顔の前で小型センサーを構えた
「はい、動かないで。今、心拍数測るから」
「心拍……え、健康診断?」
「違うよ?これは、“恋愛反応値計測器(仮)”」
「仮にしても長いし怖い!そして恋愛に心拍使うな!」
ことはは本当に必要なデータを取る科学者の顔で、俺の手首にひやりとした金属を触れさせた
くすぐったい感覚
少しだけ距離が近い
いや、かなり近い
視線を逸らした瞬間
「今の顔、可愛い反応」
「ストレートに言うな!!」
「言語化しないとデータがズレるから」
「俺の尊厳がズレてるんですけど!?」
ことはは真剣そのものの目でモニターを見つめている
琥珀色の瞳は光を反射していて、集中するとまつげの影が落ちる
その横顔は、奇妙な装置と比べるのが失礼なほど綺麗だった
(いや、見惚れるな俺。相手は実験狂少女だぞ)
しかし視線を戻すと―気付いた―
ことはの肩がほんの少し震えている
「……天ヶ瀬」
「な、何?」
「距離を……あと3センチ縮めてほしい」
「なんでそのピンポイント指定!?」
「あなたは今、“観察対象として最適な位置”からズレてるの」
その言い方、普通に告白より刺さるんだが
「……3センチくらいなら、いいでしょ?」
「うわ、言い方ズル」
俺が少し前へ傾くと、ことはは息を潜めた
まるで触れたら壊れるガラスを前にしてるみたいに
それから、ほんの小さな声で
「……心拍、上がってるね」
「そりゃそうです!!」
「ふふ、いい反応」
悪気がない分ダメージがデカい
ことはは装置のスイッチを切り、そっと手を離した
いつもの勢いじゃなく、どこか慎重な動作で
そして突然、静かに言った
「天ヶ瀬。ひとつだけ、言っていい?」
「また怖いやつ?」
「うん」
「自覚あるんだ……」
ことはは俺の目をまっすぐ見た
「実験結果なんて、どうでもいいの」
「……え?」
「あなたと話すときの私の反応の方が、大事だから」
柔らかく笑った
いつもの理屈っぽさも、暴走気味のテンションもなく
ただ素直で、少しだけ照れた顔で
その瞬間、胸の奥が静かに揺れた
(……あ、やばい)
ことはの言葉は変なのに、心には真っ直ぐ刺さる
そして俺は思う
(この先、絶対面倒くさい。でも―逃げたくない―)
そう思ってしまった自分が、一番怖かった

「……で、もう終わり?」
静かに告げられた本音に余韻を感じつつ、俺がそう言うと、ことはは首を横に振った
「終わりじゃないよ?まだ“追加検証”が残ってる」
「追加って言葉が既に怖いんだよな……」
ことはは机の上に置いていた黒いケースを開けた
中には数本のケーブルと、小さな丸い機械
見た瞬間、嫌な予感しかしない
「……それ何?」
「“接触時反応測定器”」
「名前がだいぶアウト。あと接触って何!」
「触れた時の反応を測るだけ。簡単」
「簡単の定義、俺と違うよね?」
ことはは俺の左手を取る
その動作は驚くほど自然で、拒否する隙間すらない
指先が触れた瞬間、機械の針が―跳ねた―
「わ、動いた……!」
ことはの声が弾む
研究者の顔から、年相応の少女の顔へ
その変化が妙に可愛くて、心臓がさらに跳ねた
「ほら、また上がった」
「言うから上がるんだよ!」
「じゃあ次は―こっち」
ことはは俺が何か言う前に、今度は少しだけ距離を詰めてくる
意図的に、近く
逃げられない距離
「……これでどう?」
声が少し小さい
息がかかる
考える余裕なんてない
針が、跳ねた
「すごい。距離で反応変わる。面白いね」
「いや俺は面白くないです!」
「私は面白い」
「感想が身勝手!!」
ことはは満足げにメモを取った
そして急に、真剣な声で聞いてくる
「ねえ、天ヶ瀬」
「……また怖いやつ?」
「うん。怖いかも」
ことはは少しだけ言葉を選ぶように口を閉じ、ゆっくり言った
「恋って―理屈じゃないの?」
「……急に核心きたな」
「好きって、何を基準に決まるの?」
「……知らないよ。俺もわかんない」
「そう。わかんないのに苦しくなるの?」
その問いは、まっすぐだった
彼女なりの“答えを探すための質問”なんだろう
「……ことは」
「なに?」
「恋ってさ。計算じゃなくて、気づいたら始まってるやつなんじゃないの?」
ことはは瞬きをした
じっと俺を見る
「……それ、ずるい答え」
「なんで?」
「だって、それじゃ私―」
言葉が途切れた
そしてほんの少し照れた声で
「……もう始まってるみたいじゃん」
その表情は、研究者じゃなかった
恋を知らない少女の、はじめて見せる戸惑いと期待が混ざった顔だった
俺は返す言葉に困った
逃げたいわけじゃない
でも踏み込んでいいのかもわからない
静かな沈黙が落ちた
ことははすぐに表情を戻し、笑った
「……よし。今日の実験、終わり」
「終わりって……今の返事どうすんだよ」
「結論はまだ先。恋の実験って時間かかるから」
「それ研究テーマにすんな……」
「でもね」
ことはは歩きながら、俺の方を見ずに呟いた
「あなたと話すとね……データじゃ説明できない反応が出る」
それは科学でも理屈でもない
ただの“本音”
「……だから、また協力して?」
断れる雰囲気じゃなかった
いや―断ち切りたいとも思わなかった―
「……まあ、いいよ」
「よし、次の実験楽しみにしてる」
「その言い方やめろ」
ことはは満足そうに小さく手を振り、歩き去った
その背中を見送りながら、俺は思う
(ほんと……何なんだあいつ)
胸のあたりが、少しだけ熱い
でも―言葉にはできなかった―
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↓最後に、辰城 ことはのイメージ楽曲をお楽しみ下さい↓
