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【聖夜までに恋をひとつ】第5章 「やわらかい奇跡と放課後の匂い」

第5章のヒロインは、橘 まひろ(たちばな まひろ)です

このシナリオはクリスマスの週に書く恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画シナリオで、各章の❤の数にてメインヒロインを決める予定です
スキの対象は以下の4通りです

各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介内)

それでは、第5章 「やわらかい奇跡と放課後の匂い」をお楽しみ下さい

序章おさらい

「今日、すごく会いたかったんです。理由はありませんけど」

その声は、夕方の風と同じ速度で俺の耳に届いた
振り返ると、公園のブランコのそばに橘まひろが立っていた

ふわふわした茶髪、眠たそうな目、そして小動物みたいな佇まい
いや、違うな。小動物なのになぜか俺の心のセキュリティを突破してくる
天然の侵略者だ

「……なんでここにいるんだ?」

俺が聞くと、まひろは首を傾けた

「来るって思ったんです。なんとなく。でも当たってよかったです」

なんとなくで人間GPSやるのやめてほしい
俺より俺の行動理解してるの普通に怖いんだが

まひろはポケットを探り、何かをそっと差し出してくる

「先輩、はい」

掌には―飴
包み紙には小さく**『よく頑張ったね』**と書いてある

「いや俺、今日何も—」
「疲れてる顔してます。ううん……顔じゃなくて、空気?」

空気で判断するな
俺はさっき霊感少女に会ってきたばっかりだぞ
次は超能力者か?

でも、断れなかった
なんか、この子の言葉は柔らかく刺さる

口に入れると、ほんのりミルク味
子ども向けみたいなのに優しい

「……うまいな、これ」
「ふふ。よかった。先輩、そういう顔の方が好きです」

さらっと爆撃すんな
心臓の準備時間をください

まひろはベンチに座り、空を見上げた

「あ、今日の空、桃色です。先輩もそう思いますか?」
「いや……オレンジじゃないか?」
「ううん、先輩の気持ちが、ちょっと桃色です」

なんだその占い方法
でも反論できないのは悔しい。確かに心が少し浮ついてる

しばらく無言が続いた
だけど気まずくない
不思議と呼吸がゆっくりになる

まひろがぽつりと話し始めた

「今日、授業中に思ったんです
 あ、先輩の心の色、少し薄くなってるなって」
「色ってなんだ」
「感情です。……ちゃんと言えないんですけど、先輩は最近、誰にも言えない悩みあるんですよね」

ドキッとした
俺が反応した瞬間、まひろは嬉しそうに小さく笑った

「やっぱり。……なんとなく分かるんです」
「いやいや、怖い怖い。なんでバレてんだよ」
「だって先輩、“大丈夫なふり”上手いから」

柔らかい声なのに、妙に正確だ
図星すぎて、まともに返事ができない
まひろは両手を膝に載せて、そっと言う

「先輩のこと、好きになる予感するんだ」

ストレートすぎる
でも不思議と押し付けがましくない
揺れる夕日みたいに、ただそこに置かれた言葉

俺の心は―また、無防備に揺れ始めた―

「……好きになる予感って、なんだよ」

俺がそう言うと、まひろは少しだけ考えるように視線を空へ向けた
夕日が落ちる前の空は、淡く金色で、どこか眠そうな色だった

「うーん……なんかね、胸のあたりがフワフワするんです
 風船みたいに」
「それ、多分ただの空腹だろ」
「違います。今日はおやつ食べましたから」

真顔で断言するな
この子、嘘つけないんだろうな、とふと思う

まひろはベンチの端に座り直し、ブランコの方を見つめた

「先輩って、優しいですよね」
「そんなことない」
「あります。気づかないフリが上手い人は優しいんです」

なんでそんな言葉を素で言えるんだ
俺より俺を理解してくる女子、多くないか最近
まひろは続けた

「でも、たまにそれって寂しくないですか?」

心臓が、少し驚いたみたいに跳ねた
俺は視線をそらす
真正面で言われると、逃げたくなる

「……別に。寂しいとか、考えたことないし」
「考えたら、止まっちゃいそうだから?」

図星すぎて言葉が詰まる
この子、本当に天然か?
いや、天然の皮をかぶった何かヤバい能力者なんじゃないか

まひろは、ブランコのロープを指先で触れたまま、小さく笑った

「先輩、すぐ強がる顔、かわいいです」
「可愛い言うな。やめろ」
「やめません」

きっぱり
弱すぎる。俺の抵抗力が

沈黙が落ちた
でもやっぱり気まずくない

風が少し冷たくなり、夕日の色が濃くなる
まひろがぽつりと言った

「先輩。もし……もしですよ?」

唐突に“もし話”をするの、なんか少女漫画のフラグ感がある。やめてほしい

「もし、あたしと一緒にいたら」

視線は空のまま

「冬が少しあったかくなるかもしれません」

ふざけたテンションじゃない
冗談でもない

その言葉がすっと胸の奥に沈んでいく
ゆっくり、でも確実に

俺は返事をしない
できない
代わりに、ベンチの木目を指でなぞる

それだけで精一杯だった
まひろは、少し肩をすくめて笑う

「あ、返事はいらないです。”予感”ですから」

軽い声なのに、ちゃんと届く

こういう子、危険だ
傷つけたくなくなるタイプの危険

そして―どこか救われる―

「……なぁ、まひろ」
「なんですか?」
「お前ってさ、その……」

言いかけて、やめた
言葉にした瞬間、なにか変わりそうで
代わりに俺は、買ったばかりのジュースを差し出す。

「飲む?」
「わぁ……!優しい……!
 ……でもこれ、先輩が飲みたかったやつじゃ……」
「いいよ。なんか、お前のほうが似合うし」

まひろは受け取りながら
ほんの少しだけ照れて俯いた

そんな表情、反則だろ

気づけば空は夜へ変わりかけていた
街灯がつき、風が冬っぽい匂いを含み始める
俺とまひろは立ち上がる

「じゃあ、また――」
「――学校で」

言葉が重なって、ふたりで小さく笑った

序章リンク

↓最後に、橘 まひろのイメージ楽曲をお楽しみ下さい↓


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