【叔父さん勇気を出して】レポート№1 星宮 陽葵(ほしみや ひなた)ー視えるのに気づかない恋―
このシナリオは恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画
『報われなかった恋を読む場所』対象企画です
この企画は各章の❤の数にてメインヒロインを決める企画
スキの対象は以下の4通りです
各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介 内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介 内)
締切は、この物語を執筆予定の26年4月18日迄
果たして、どのヒロインの物語になるか?
それでは、レポート№1 星宮 陽葵(ほしみや ひなた)ー視えるのに気づかない恋―を陽葵のイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい
↓陽葵のイメージ楽曲↓
今日は、星宮陽葵を観察する日だ
鳳条理人の幼馴染の中でも、最も付き合いが長い人物
過去の記録を見る限り、理人と過ごした時間は五人の中で一番多い
成功率という観点だけで言えば、最も可能性が高い相手のはずだ
彼女は未来の世界の視覚特化アンドロイドの原型の人物である
人間の動き、表情、視線、癖
すべてを読み取る観測型アンドロイド
その目からは……何物も逃れる事ができない
「みらいちゃん!おはよー!」
後ろから声をかけられ、私は思わず肩を跳ねさせた
振り向くと、制服姿の少女が顔を近づけてきていた
近い
とても近い
「……近いです」
「え?そう?」
彼女は首をかしげたまま、さらに半歩近づいた
悪気が一切ない顔だった
「今日はよろしくー」
「は、はい。よろしくお願いします……」
軽い
とても軽い
「じゃ、部活行こ。今日は練習日だし」
「部活ですか?」
「卓球部。見れば分かるって」
そう言って、陽葵さんは私の手首を軽く引いた
私は一瞬固まりかけたが、何とか歩き出す
……この人、距離感がおかしい
体育館に入ると、すでに数人が練習していた
ラリーの音が規則的に響いている
「おー陽葵来た」
「今日は来るの遅いじゃん」
「みらいちゃん連れてきたー」
その一言で、視線が一斉にこちらへ向いた
「……誰?」
「麗華さんの親戚なんだって」
「へー」
空気は普通だ
笑い声もある
雰囲気も悪くない
けれど……陽葵さんがラケットを持った瞬間、空気が変わった
「じゃ、やろっか」
対戦相手がサーブを打つ
パシッ
次の瞬間には、もう返っている
速い、というより……迷いがない
もう一度サーブ
回転をかけた球だった
だが陽葵さんは迷わず振り抜く
カンッ
鋭い音
相手が苦笑した
「また読まれてるたし……」
「バレバレなんだよ」
「ズッコいってそれ」
「ズッコクない」
陽葵さんは本気で言っていた
冗談ではない
彼女は本当に全ての球を見極めている
次のラリー
普通なら追いつけない角度の球に、体が先に動く
踏み込みが早い
反応が速い
いや違う
そこに来ることが分かっている動きだ
「……」
私は無意識に息を止めていた
未来の記録と重なる
視線
肩の角度
体重移動
すべての先に読み、すべてを封じ破壊する
それは……無慈悲な動きだ
やがて練習が終わり、陽葵さんがこちらへ歩いてきた
「どう?」
得意げでもなく、普通の顔だった
「すごいです……」
「え?普通だよ?」
「普通ではありません」
「そう?」
本気で分かっていない顔だった
私は少しだけ考えてから言った
「皆さん、あなたに遠慮しているように見えます」
「え?」
「別に……嫌っているわけではありません。ですが……」
私は体育館の中を見る
誰も陽葵さんに近づこうとしない
話しかけはする
笑いもする
でも……同じ位置には立っていない
「……勝てないと分かっている相手とは、勝負したくなくなるものです」
陽葵さんは少しだけ黙った
「……あー」
そして、頭をかいた
「それ……誰かに言われたことある」
軽く笑った
でも、その笑いは少しだけ空いていた
「でも……まーいいよ。あたしは楽しいし」
そう言ってラケットを肩に乗せる
明るい
軽い
気にしていない……ように見える
……でも本当にそうだろうか?
私は記録を整理する
能力 高い
距離 近い
性格 軽い
自覚 薄い
周囲 尊敬+距離
理人さんとの関係は長い
相性だけなら、最も自然なはず
だが……
「ねえ、みらいちゃん」
陽葵さんが急に顔を覗き込んできた
また近い
「……理人のこと調べてるの?」
心臓が一瞬止まりかけた
「え……?」
「なんかそんな感じする」
笑っている
けれど目は真っ直ぐだった
見えているのかもしれない
表情を
視線を
迷いを
「じゃあ……あたしのことも調べたてみない?」
軽い口調
私は一瞬迷ってから答えた
「はい。陽葵さん事……もっと知りたいです」
陽葵さんは少しだけ驚いた顔をして
「そっか」
と笑った
「じゃ、帰り道つきあってよ」
軽く言ったその一言が、なぜか少しだけ重く聞こえた

体育館を出ると、夕方の空気が少しだけ冷たかった
陽葵さんはラケットを肩に乗せたまま、いつも通りの軽い歩き方で校門へ向かう
「理人の家で大丈夫だよね?」
「はい」
「了解ー」
本当に気軽だ
緊張というものが存在しないのかと思うくらい、自然に隣を歩く
私は少し間を空けてから話しかけた
「陽葵さんって、理人さんとはどれくらいの付き合いになるんですか?」
「んー?」
陽葵は空を見上げた
「どれくらいだろ……幼稚園くらいからかな?」
「そんなに長いんですか?」
「うん。家近かったし。気づいたら一緒にいた感じ」
少し笑う
「小さい頃からずっとあんな感じだよ。あいつ」
「あんな感じ……?」
「変なもん作っては壊して、また作って。あたし、よく実験に付き合わされてたし」
「実験……?」
「ローラースケートにロケットつけるとか言い出してさ」
「危険では?」
「危険だったよ。転んで二人で怒られた」
楽しそうに笑う
本当に、ただの思い出を話している顔だった
「でも……楽しかったし……嫌じゃなかった」
「嫌ではなかったんですか?」
「嫌なら行かないって」
即答だった
少し考えて、私は続ける
「他の人とは……違うって事ですか?」
陽葵さんは少しだけ歩く速度を落とした
「違うっていうか……」
少し考えて
「楽なんだよね」
と答えた
「楽……ですか?」
「うん。気使わなくていいし」
石を蹴りながら歩く
「無理しなくていいし」
また蹴る
「普通でいられるっていうか」
そして、こちらを見る
「分かる?」
「……少しだけ分かります」
本当は分からないけど、分かると言っておこう
私はさらに踏み込む
「じゃあ、理人さんって……陽葵さんにとってどういう人ですか?」
「どういうって……」
即答しない
少しだけ考えてから
「バカな奴かな」
と言った
でも、そのあと少しだけ間があった
「でも……一緒にいると楽」
また同じ言葉だった
私は思い切って聞く
「それって好きって事では?」
「は?」
陽葵さんが止まった
「えっいきなり何?」
「確認です」
「確認って何だよ」
笑う
でもすぐに目をそらした
「そういうんじゃないし」
「違うんですか?」
「違うって」
即答ではない
少しだけ考えてからの否定だった
「だって……さ」
歩き出す
「好きとか、そういうの考えたことないし」
「考えたことがない?」
「うん。隣に普通にいるし」
また石を蹴る
「でも……」
少しだけ止まった
「私……今……他の奴と付き合うとかは想像できないかも」
「理人さんとは?」
「理人なら……まあ……普通にいけそうだけど」
言ってから
「あ、違う違う!」
と笑った
「別に好きとかじゃないから!」
私は黙って歩く
距離が近い
信頼が強い
拒否感がない
でも……それは恋ではない
その理由は……近すぎるから
近すぎるから気づかない
私は少し考えてから言った
「では、試してみます」
「何を?」
私は立ち止まり、真剣に言った
「今から理人さんを想像してください」
「は?」
「いいから、そして、そのまま手をつないでください」
「誰と?」
「理人さんです」
「何でだよ」
「確認です」
「何の?」
「確認です」
陽葵はしばらく黙ってから
「……分かったよ」
『流石麗華さんのいとこだなあ……こうゆう所はよく似てる』
目を閉じる
腕を少しだけ前に出す
そして……何もない空間で、誰かの手を握るような形をした
5秒
10秒
そして目を開ける
「……普通」
「普通ですか?」
「普通にいける」
「嫌ではないですか?」
「全然」
少し考える
「むしろ楽」
私は頷いた
「ありがとうございます」
「何だったの今の?」
「確認です」
「だから何の?」
私は答えず歩き出した
一番近い
一番自然
一番成功しそう
なのに……本人が気づいていない
隣を見る
陽葵さんは空を見ながら歩いている
私はこの人の事をこう結論づけた……
この人は……全てを見通す事ができるのに……自分の恋は見えていない
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