【叔父さん勇気を出して】レポート№5 神代 翠(かみしろ すい)―恋だけが構造を持たないー
このシナリオは恋愛シナリオのメインヒロインを決める為の企画
『報われなかった恋を読む場所』対象企画です
この企画は各章の❤の数にてメインヒロインを決める企画
スキの対象は以下の4通りです
各章のヒロインの話の❤の数
各章のイメージ楽曲❤の数(SoundCloud内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの小説紹介 内)
各章のX投稿❤の数(#迷言さんの楽曲紹介 内)
締切は、この物語を執筆予定の26年4月18日迄
果たして、どのヒロインの物語になるか?
それでは、レポート№5 神代 翠(かみしろ すい)―恋だけが構造を持たないーを翠のイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい
↓翠のイメージ楽曲↓
今日の調査対象は、神代翠
触覚が異常に優れている少女
触れるだけで体の状態が分かるらしい
整体、治療、人体研究が趣味
……趣味の方向が怖い
彼女は未来の世界の触覚特化アンドロイドの原型の人物である
接触だけで状態を解析する個体
触れただけで、相手の身体機能を奪う
戦闘では、最も危険とされていた
触れられたら最後……何物も逃れる事ができない
朝、校門の前に立っていたのは、背の高い女子だった
静か
無表情
じっとこちらを見ている
「……今日はよろしく……みらい」
声が小さい
でも近い
「よろしくお願いします」
言った瞬間、手を取られた
「少し失礼」
「え?」
両手で手を握られる
「脈……正常」
顔を上げる
「少し疲れてる?」
私は思わず引いた
「な、何してるんですか?」
「体調確認」
真顔だった
悪気が一切ない
むしろ真剣だ
……怖い
廊下を歩くと、周囲があきらかに避けている
理由は……すぐ分かった
翠さんがいきなり男子の肩を触った
「姿勢悪い」
男子が固まる
「え?」
「腰、痛いはず」
背中を押す
「ここ」
男子が変な声を出した
「痛っ!」
「ほら」
満足そうにうなずく
「大丈夫……すぐ治る」
周囲が引く
本人は気づいていない
保健室の奥に、小さなスペースがあった
ストレッチマット
骨格図
人体模型
正直……怖い
翠さんは普通に言った
「ここ、今から使う」
数分後、次々に人が来る
「翠、ちょっと見て」
「……座って」
触る
押す
首を回す
「固い……けどここを押せば治る」
別の子が来る
「翠さん、足が痛いんだけど……」
触る
すぐ言う
「筋肉疲労」
押す
「痛っ……って治ってる」
本当に歩きやすそうになってる
すごい
外に出ると、少し騒ぎがあった
二人の男子が言い合っている
「だからお前が!」
「違うって言ってんだろ!」
翠さんが止まった
「喧嘩……良くない」
そのまま近づく
私は慌てた
「翠さん、危ないです」
無視
二人の間に入る
一人の腕を軽く押した
それだけだが、男子が動かなくなった
「……あれ?」
「力入らない」
翠さんが言う
「神経を一時的にマヒさせた」
もう一人も止まる
「ここ」
肩を押す
「痛っ!」
「終わり」
そのまま離れる
周囲が静かになった
完全に引いている
翠さんは気にしていないようだ
そして、歩き出す
私は横に並んだ
静かだ
そして……表情がない
彼女は、人を人として見ておらず、構造として見てる
でも……頼られ、必要とされてる
私は心の中でまとめた
異質で静かな人
この人が……恋をする形が想像できなかった

放課後
私達は、人の少ない中庭のベンチに座った
そして、翠さんは、隣に座り、すぐ私の手首を取った
「少し確認」
「え、まだですか?」
脈を触る
指を押す
手のひらを開かされる
「緊張してる」
「してますよ」
真顔でうなずく
「正常」
正常らしい
私は本題に入った
「翠さんって、理人さんとどれくらいの付き合いになるんですか?」
少し考える
「……中学から」
「意外と最近なんですね」
うなずく
「最初……理人が来た」
「来た?」
「助けてって言われた」
私は思わず身を乗り出した
「何があったんですか?」
翠さんは真面目に言った
「機械の制御機構がどうのこうので……人体の構造を知りたいって」
「……はい?」
「神経の位置教えてって」
「……はい?」
翠さんは続けた
「関節の可動域も聞かれた」
「……」
想像できない
どんな状況だったのか全く分からない
「それで……この人……おかしな人だと思った」
「おかしな人?」
「普通……聞かない」
確かに
「だから観察してる」
真顔
「観察?」
「私みたいな変な奴に……変な要求した人間」
少しだけ首をかしげる
「面白い」
完全に研究対象だった
私は聞いた
「じゃあ、理人さんって、他の人とは違うということですか?」
即答だった
「違う」
迷いなし
「だって……人体について聞かれたの……理人が初めて」
そんな基準ある?
私はさらに聞く
「それって……好きって事ですか?」
翠さんは止まった
少しだけ考える
「好き……なのか分からない」
予想通りだった
「でも」
こちらを見る
「観察してて飽きない」
少しだけうなずく
「面白い」
私はもう一歩踏み込んだ
「理人さんと付き合うとか……考えた事ないんですか?」
翠はまた考える
本当に考える
真剣に
「付き合う……?」
「はい」
少し黙る
そして言った
「もう付き合ってると思う」
「えっ!?」
思わず声が出た
翠は真顔のまま
「だって」
指を折る
「話す」
折る
「触らせてくれる」
折る
「頼み事する」
折る
「相談する」
全部折る
「つまり……付き合ってる」
「違います!!」
思わずツッコんだ
翠さんは首をかしげた
「違う?」
「違います!それは友達です」
「友達?」
少し考える
「……同じでは?」
違わないのか……この人の中では
私はため息をついた
「じゃあ、理人さんって特別なんですか?」
翠は少しだけ間を置いた
「特別」
小さく言う
「だって」
少しだけ目を細める
「変だから」
理由がひどい
「あと」
少しだけ続ける
「触っても怒らない」
それ大事なんだ
私は心の中でまとめた
拒否なし
距離近い
特別扱い
興味あり
でも……
恋を理解してない
感情を理解してない
関係の定義が違う
私は立ち上がった
翠さんも立つ
そしてまた手を取る
「最後に確認」
「何をですか?」
脈を触る
少しうなずく
「さっきより安心してる」
「……はい」
翠さんは真顔で言った
「良かった」
その一言だけ
私は歩きながら思った
この人は……人体の構造は全部分かるのに……人の感情の構造だけ、まったく理解できていない
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