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【LINE3秒以内返信しないと不安になる病】第5章 「ここまで来たんだし、付き合ってくれるよね?」

第5章テーマは、コンコルド効果
コンコルド効果は【時間・お金・労力をかけた対象を簡単に手放せなくなる。】というものです

しかし、心理学に沿いながらも「冷静に考えるとおかしい行動」になる場合もあります

それでは、第5章 「ここまで来たんだし、付き合ってくれるよね?」をお楽しみ下さい

前回のあらすじ

「陽向くん、今ちょっと時間ある?」

放課後の帰り道、しずくはそう言って僕を近くのファミレスに連れ込んだ。
部活にも行かない僕にとって、断る理由も特にない

とはいえ、テーブル越しに座った彼女の目が妙にキラキラしてるのが気になる

「何かあったのか?」

「ううん。ちょっと“話したいこと”があるだけ」

そう言って、彼女はメニューを開きもしないまま、手を組んだ

「……私たち、さ」

「ん?」

「ここまで、いろいろあったよね?」

唐突すぎて、思わず水を吹きそうになる

「いや、何のナレーション?」

「最初はLINE30通から始まって、非常階段で助けてもらって、泣いたり笑ったりして……」

ひとつずつ指折り数えながら語る姿が、まるで長編ドラマの最終回の回想みたいだ

「そうやって積み重ねてきた時間って、きっと意味あると思うんだ」

「うん、まあ……意味は、あった……のかもな?」

「でしょ? だから、そろそろ……いいよね?」

「なにが?」

しずくはぱちりと瞬きしたあと、にこっと笑って言った

「付き合おっか?」

「待て待て待て待て」

「え? だってもう、ほとんど付き合ってるみたいなもんだし」

「俺、いつ付き合うって言ったっけ!?」

「え、言ってないの? でも、ここまで来たら、言ったのと同じじゃない?」

「その理屈どっから来た!?」

しずくはストローをちゅーっと吸いながら、当然のような顔をしていた

「だって、他にいる? 私以外に、毎日“好き”って言ってくれて、お守り渡して、泣きついて、階段で落ちかけてくる子」

「落ちかけは除外しろ」

「ねぇ陽向くん。私のこと……ちょっとは、好きになったりしてない?」

「……それは、その、まぁ……ちょっと、くらいは……」

「じゃあOKってことだね!」

「話の飛躍がすごいな!?」

返事する前に勝手に結論出された。どうなってんだこのファミレス。

「ここまで“愛の積立”したんだし、今さらゼロに戻すの、もったいないよ?」

「それ貯金感覚で言うやつじゃないからな!?」

「ふふっ。今日から、“陽向くんの彼女”名乗ってもいい?」

「いや、相談は!? 相談フェーズどこいった!?」

テーブル越しの彼女は、すでに“決定済みの顔”をしていた

たぶんこの子、もう僕の反論とか聞いてない

「……陽向くんって、なんだかんだで優しいから、断らないって知ってた」

「やめてくれ、その“勝ち確”みたいな笑顔……」

僕はカフェオレをすすりながら、遠い目をした

翌朝、登校して教室に入ると、いつもより早く来ていたしずくが、僕の机を丁寧に拭いていた

「おはよう、陽向くん。今日は拭きすぎたから、ちょっと湿ってるかも」

「えっ、何? 俺の机だけ“加湿器”導入されてんの?」

「彼氏の机は清潔じゃないとねっ♡」

「待て、それ誰が彼氏だ!?」

「陽向くん、昨日“ちょっと好き”って言ったじゃん」

「“ちょっと”しか言ってないぞ!?」

しずくは気にする様子もなく、にっこにこしていた。
机にメモをそっと置きながら

《今日の予定:
①朝の挨拶→済
②机拭く→済
③放課後、手つなぎチャレンジ→!?》

「ちょっと待て、3番目のチャレンジ項目おかしいだろ!」

「“恋人っぽいことリスト”だよ? 毎日一個ずつ消化してくの」

「バラエティ番組の企画かよ…!」

そのあとも、しずくの行動は完全に“彼女モード”だった
給食のときに僕の好きなおかずを「はい、あーん」とよそってくるし、体育の時間には応援席からこっそり応援メモまで届いた

《陽向くんが頑張るとこ、だいすき!》

「俺、ただのシャトルランなんだけど……」

昼休みに至っては、しずくが僕の机にお弁当を広げていた

「今日のテーマは“付き合いたて感”。一緒にお弁当食べて、ふたりの距離を縮めようってやつ」

「……この子、俺の人生を“コント”として進行してないか?」

何もかもが既成事実で構成されていて、抗う隙がない

そして、放課後

「陽向くん、今日はありがとう。明日も“彼氏”よろしくね」

「なあ……本当に俺たち、付き合ってるのか?」

「うん。もうだいぶ経つよ?」

「いつスタートしたんだよ!?」

「LINE30通目くらいからかな」

「それ告白じゃなくてただのスパムだからな!?」

でも、否定しきれない自分もいる

いろいろ振り回されて、面倒くさくて、重くて、疲れるのに

帰り道に並んで歩くその距離が、妙にしっくりくるのが悔しい

「ねぇ陽向くん」

しずくが立ち止まって、僕の袖をそっとつかむ

「“私たち”って、言っていい?」

「……好きにしろよ」

「じゃあ、“私たち”は今日から正式にカップルだね♡」

「だから俺の了承どこ行った!!」

ツッコミの声が、夕焼け空に吸い込まれていった

この物語に登場する恋愛心理学の正しい使い方を知りたい方
以下リンクにて確認できます

ここまで付き合ってもらいありがとうございました

↓第5章オマケを動画にて公開 気になる方はcheck↓


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