【ファ〇チキを送ってくれ】第2章 「静寂領域の同調者(サイレント・レゾナンス)」
第2章テーマは、情動存在効果(Affective Presence)
情動存在効果は【その人が周囲に残す感情の空気感】というものです
しかし、心理学に沿いながらも「冷静に考えるとおかしい行動」になる場合もあります
それでは、第2章 「静寂領域の同調者(サイレント・レゾナンス)」をイメージ楽曲と共にお楽しみ下さい
↓第2章のイメージ楽曲↓
前回のあらすじ
翌日
私は、特に理由もなく、昨日と同じ公園に向かっていた
……いや、理由はある
「継続(コンティニュエーション)」だとかいう、意味不明な単語のせいである
合理的に考えれば、来る必要はない
だが来ている
つまりこれは、合理的な判断……という事にしておきましょう
そして案の定
白詰さん——いや、ゼフィリアは既にそこにいた
「遅い。既に波形(ウェーブフォーム)は乱れている」
「それ……前も聞きました」
「同一現象は反復する。それが世界の基本構造だ」
いや、違うと思いますけどね
しかし不思議なことに、このやり取りは初めてではない感覚がある
会話が“続いている”
……いや、昨日も似たようなこと言われましたしね
ゼフィリアは動かない
立ちもせず、歩きもせず、ただベンチの前で空間を見ている
「……今日は移動しないんですか?」
「この地点が最も安定(スタビリティ)している」
そう言って、彼女はベンチに座った
なので、私も座る
……なぜかは分からないが、そうするのが自然な気がした
それから……会話が途切れた
いや、正確には、最初から始まっていない
私は何か言おうとする
例えば、「今日は天気いいですね」とか
あるいは「授業どうしたんですか」とか
いくらでも言葉は浮かぶ
だが、口を開く直前で、やめた
……なんか違う気がする
理由は説明できない
だが、“今じゃない”という感覚だけははっきりしている
隣を見る
ゼフィリアは、何も言わない
ただそこにいる
……妙に、静かだ
風の音が聞こえる
遠くで子供が遊ぶ声もする
それなのに、このベンチだけが切り取られたように静かだ
……いや、別に静かってだけなんですけどね
なのに、やけに意識に残る
『近い。だが届かない』
頭の中で、セラフィム様の声がした
「……何がですか」
小声で返す
「到達(アライバル)はしていない。だが誤差(エラー)は縮まっている」
隣からゼフィリア声
私は、ゆっくりと顔を上げた
「……何なんですかこの現象」
「現象ではない。必然だ」
「いや絶対違いますよね」
全く別の文脈のはずなのに、妙に噛み合っているように聞こえる
気持ちが悪い
……いや、偶然でしょう
偶然であってほしい……
再び、沈黙
私はもう一度、話そうとした
さすがに、このまま何も話さないのはどうかと思う
だが……
「無理に言語化するな」
ゼフィリアが言った
「いや別に無理はしてませんけど……」
「今の汝は、不要なノイズ(雑音)を発生させようとしている」
……ひどい言われようである
だが、不思議と反論する気にならなかった
確かに、今ここで話す必要はない気もする
……いや、あると思いますけどね普通
でもまあ
「……分かりました」
私は、何も言わないことを選んだ
気づけば、また私はファ〇チキを持っていた
……いや本当に、なんでですかねこれ
「供物(くもつ)か」
「違い……」
言い終わる前に、1つ取られた
もはや確認すらない
「……安定している」
「味の話ですよね?」
返答なし
無視である
……まあいいです。慣れました
時間が経つ
何もしていない
本当に……何もしていない
「本日はここでいい」
ゼフィリアが言った
「いや、何もしてないですよね?」
「それが重要だ」
意味が分からない
だが……
「……そうですか」
なぜか、否定しきれなかった
私は立ち上がる
……何もしていないはずなのに、妙に疲れた
むしろ
「……まあ、いいか」
そんな気分だった

別の日
私は、特に迷うこともなく、同じ公園に来ていた
……いや、正確には“迷う必要がなかった”と言うべきか
理由は分からない
だが来ることが前提になっている時点で、もう何かがおかしい
そして当然のように
白詰さん——いや、ゼフィリアは既にそこにいる
「遅い。既に均衡(バランス)は崩れかけている」
「はいはい」
私はそれだけ返して、隣に座った
……今回は、最初から話さないことにした
理由はない
いや、あるのかもしれないが、言語化する必要はない
『……別に、話さなくても問題ないか』
内心でそう思う
そして実際、問題はなかった
沈黙
だが、それは前回のような“気まずさを含んだ沈黙”ではない
ただ、何も言わない時間が流れているだけだ
風の音
遠くの話し声
そして隣に、ゼフィリアがいる
それだけで成立している
……いや、成立って何ですかね
ゼフィリアが、水のボトルを取り出した
キャップを開け、少しだけ飲む
それを見て、私は自分の水を取り出した
そして、飲む
タイミングは、ほんの少しだけ遅れていた
だが、ほぼ同じ動作だった
……いや、別に合わせたわけではない
ただ、そうなっただけだ
しばらくして、ゼフィリアが立ち上がる
私も立ち上がる
ほぼ同時
「……」
「……」
どちらも何も言わない
気づいていないのか、気にしていないのか
たぶん後者だろう
……まあ、いいか
『干渉は最小限に』
頭の中でセラフィム様の声がした
「……何の話ですか」
「過剰な干渉(インターフェア)は崩壊(コラプス)を招く」
隣からゼフィリア声
私は、ゆっくりと視線を上げた
「……いや、偶然ですよねこれ」
「何がだ」
「いえ、何でもありません」
もはや、この現象にツッコむのも面倒になってきた
合理的に説明できないものは、とりあえず放置する
それが……一番効率がいい
……たぶん
しばらくして
ゼフィリアが、先に立ち上がった
「今日はここまでだ」
「分かりました」
私は素直に頷いた
特に引き止める理由もない
彼女はそのまま、歩いていく
振り返らない
……まあ、そういう人だ
私は、少しだけベンチに残った
すぐに帰ってもいい
だが、なぜか立ち上がる気にならない
「……帰るか」
そう思ってから、数秒
いや、数分かもしれない
私は動かなかった
理由はない
ただ、もう少しだけこのままでいい気がした
……いや、本当に何なんですかねこれ
ようやく立ち上がる
軽く伸びをして、空を見る
特に変わったことはない
普通の公園だ
(……いや、なんでこんなに落ち着いてたんですかね)
私は振り返る
当然、ゼフィリアの姿はない
最初からいなかったかのように、綺麗に消えている
(……何もしてないのに……おかしいですね)
本当に、何もしていない
歩いたわけでもない
話したわけでもない
それなのに……
「……まあ、いいか」
私は小さく呟く
結論は、もう出ている
まあ……明日も来ますから問題ありませんね
次章へ
このシナリオは共同マガジン初参加に伴い
自己紹介代わりのオリジナル小説です
参加共同マガジンはこちら……皆様良作品なので必見です
アカリウム|みんなの創作が泳ぐ場所🐟️
【一緒に創ろう】シュンの共同運営マガジン
トランスミッション
【共同運営マガジン】頑張る隊
最後に、他の迷言作品は下記リンクより……興味がある方は見て頂けるとありがたいです
