第4章『同盟』終節:並ぶために、もう一度……【ケンタウルスストーリーイベント】
前回のあらすじ
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ふれあい文化センターの前で足を止めたとき、さっきまでの勝負の気配はすでに消えていた
息は整っている
体も動く
だが、あの一瞬にあった張り詰めた感覚だけが、静かに抜け落ちている
「……静かだ」
誰に言うでもなく呟くと、そのまま空気に溶けた
「ねー!もう一回走ろうよ!」
サクラミストが、間を置かずに声を上げる
先ほどの勝負の余韻など、まるで残っていない顔だ
「いいね、それ」
ランが軽く頷く
「……まだ、走れる」
ユキハクが静かに続ける
「流れは、途切れていないわ」
ルナヴェイルがいつも通りの調子で言う
誰も振り返らない
誰も勝ち負けの話をしない
ただ、次に進むことだけが自然に決まっている
「……誰も、負けを気にしていない」
誰からともなく、脚が前に出る
合図はない。並びも決めない
それでも、自然に形が整う
ユキハクは距離を崩さない。近づきすぎず、離れすぎない位置を保つ
ルナヴェイルは風と地面の流れを拾い、抵抗のない軌道を選ぶ
サクラミストは相変わらず少しだけ寄り道をしながら、楽しそうな方へ軽く進む
ランはそのすべてを無理なくまとめ、どこにも歪みを作らない
私は、その中に入る
今度は、考えないようにするのではなく、考えが入る前に脚を出す
視界に入ったものに対して、遅れずに反応する
流れを読むことも、距離を保つことも、選択することも、ひとつひとつを分けない
一瞬だけ、感覚が揃う
「……少しだけ……分かった気がします」
そう思った直後、私は首を振る
「……いや、違うな」
分かったわけではない
ただ、その瞬間に、外れていなかっただけだ
「分からなくても、いいのか?」
そう考えたとき、初めて肩の力が抜ける
「次どこ行く?」
サクラミストが軽く振り返る
「フフッ、慌てなくてもまだいっぱいあるよ」
ランが答える
「流れは続いているもの」
ルナヴェイルが静かに言う
「……離れなければ」
ユキハクが小さく続ける
「……そうですね」
私は短く返す
そのまま走り続けながら、ふと視線が横に向く
ランがいる
同じ位置に並んでいる
「……並べている」
そう思う
だが、次の瞬間に気づく
だが……勝ててはいない
その事実は、消えていない
私は走りながら、声をかける
「ラン」
彼女は軽くこちらを見る
「次は……負けません」
強くは言わない。ただ、事実として置く
ランは少しだけ笑う
「楽しみにしてる」
それだけで十分だった
崩さない者がいる
流れに乗る者がいる
考えない者がいる
そして……完成している者がいる
私は、まだそこにいない
だから……もう一度、走る
次は……あの人に勝つために
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今回の記事で【第4章『同盟』】は終了です
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