英語発音を学ぶ理由
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英語には、ノンネイティブ英語話者が多数派であるというややめずらしい特徴があり、そのため必然的に多種多様な「なまり」が存在します。
そして、なまりの存在が許容されるかどうかに関する議論はいまだに決着がついておらず、なまりは直すべきものなのか、個性として尊重すべきものなのかについてはネットで積極的に議論されています。
今回は、発音を学ぶ理由、言い換えるとなまりを除去する理由について、僕の意見を説明します。僕の意見は、「発音を磨く恩恵は間違いなくあるのだから、そこにメリットを感じるならトレーニングすべき」です。
前提
まず、僕は以下のように考えています:
なまりには程度がある。なまりは、あるかないかのブール値ではない
標準的でよろしいとされる英語発音は存在する
標準的発音に近いかどうかは客観的に評価できる
標準的発音から遠ざかるほど、万人に理解させることが困難になる
そして、僕がもっとも強調したいのは、4 の「標準的発音から遠ざかるほど、万人に理解させることが困難になる」です。たぶん、伝わる伝わらないという話を発音とからめて説明する人は多いと思うのですが、「いろんな人(=万人)に理解させられるか」という視点はあんまりないというは、聞かないです。
発音を学ぶと理解させやすくなる
発音を学ぶと、初めましての人に対して、つまり、こちらのしゃべりかたや癖などをまったく知らない人に対しても、かんたんにメッセージを理解させることができるようになります。もちろん、これは大きなメリットであり、国際学会発表などの初めましての人同士でのコミュニケーションや、初めて行く国でのノンネイティブ同士での英語コミュニケーションでエラーが発生する可能性がぐっと減ります。
逆に、なまりがあると、英語話者の特定のサブセットに対してのみ伝わりやすい状態になります。たとえば、仲のいい日本人ではない知人、会社にいる日本人ではない同僚を相手にして英語で話しかける場合、その人たちはこちらの癖を知っていますから、極端にコミュニケーションが阻害される、という事態はあまり発生しませんが、それ以外の人(例:初めましての人)に伝わりにくくなる可能性があります。
英語発音の良しあしでメッセージが伝わる、伝わらないが別れるというのは、特に説明せずともわかってもらえるはずです。よく、「伝わる英語発音」とも言われますが、その通りで、発音を鍛えれば伝わるようになります。
ただ、この伝わる伝わらないというのは二元論的な話ではなく、その間に連続的な、程度の問題があります。カタカナ発音は立派に「つたわる」ことが多いですし、極端なミスコミュニケーションが発生する可能性もあまりないのですが、これは、「よく伝わる」状態であるとはいえません。
自分のメッセージを「伝わらせやすくする」というのは、この連続的な程度をよくする方向に、動かすということです。ある種の気遣いのようなもので、相手かかる負担を減らすような取り組みをする、と言い換えてもいいはずです。
伝わればokの精神は一概にわるいとは言えないのですが、その場合どうしでも、「相手が頑張って察する」という要素が介入してきます。これを「仕方のないもの」として許容するか、それとも、「それはちょっとまずいのでは」という問題意識をもって取り組むのかが、クリティカルな分岐点になります。
また、僕はいろいろなところで、スピーキングとリスニングは等価であるという説明をしています。今回の話もこれと整合していて、万人に伝わる発音を習得するということは、標準的、あるいは標準的に近いアクセントの英語であれば、たとえ初めましての人のスピーキングであったとしても理解できます。これは、「発音を学ぶといろんな人の英語を理解できるようになる」と言い換えることができます。
読み書きも同じ
ここまでで説明したことは主に「話すこと」と「聞くこと」についてですが、読み書きについても同様に恩恵を得ることができます。発音学習をすると、読み書きのスキルによい影響があるということです。
まず、読み書きの話を進める前に、楽曲や英語のように「音」を介するメッセージ伝達手段とは別に、記号や色などの音を介さないなにかで意味を伝える手段が世の中に存在することを確認する必要があります。
たとえば、「これは良好である」、「これは及第点である」、「これは不合格である」というそれぞれの言葉を、〇、△、×、という記号で書き換えてもなんら不都合はありません。記号は人間が音にして読める形式である必要性はなく、記号が何の意味に対応しているかがクリアにさえなっていれば問題なく機能します。絵文字やLINEのスタンプとかも記号ですが、絵文字やLINEスタンプは「音」を介在することなく「意味」を伝達しています。赤は危険で緑は安全みたいな、色覚情報で意味を伝えることもありますが、あれも意味を担う記号であるといえるかもしれません。
コンピュータの内部で使用される二進数は0と1の世界であり、人間は0と1の羅列を見ても「チンプンカンプン」ですが、コンピュータはその羅列が意味するところを理解できます。音をいっさい介さずとも意味の伝達ができる場合がある、という事例は、コンピュータがどのように「人間の複雑な意図」を理解するかを確認すれば把握できます。
音楽や英語などは、「音を介して意味を伝達するモード」、絵文字やLINEスタンプは、「音を介さず記号そのもので意味を伝達するモード」です。
記号とメロディ
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