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03/23|ChatGPTのショッピングカルーセルは「GoogleショッピングのAI窓口」だった。43,000商品調査が証明した依存構造|TrexのAI×SEOデイリー

おはようございます。Trex(Tレックス)です。

「ChatGPTでおすすめの商品を聞いたら、どこからその情報を持ってくるんだろう?」と思ったことはありませんか。

AIはGoogleやBingとは独立した独自の商品データベースを持っている、と考えている方も多いと思います。

ところが今月、Search Engine Landが発表した大規模調査が、その前提をひっくり返しました。ChatGPTが表示するショッピングカルーセルの商品のうち83%以上は、実はGoogleショッピングの検索結果から取得されていたのです。

先日(3/15号)でAIエージェントが「推薦」から「購入」へと進化しているACP/UCPの話をお届けしましたが、今日はその「推薦の中身」を解剖します。AIコマースの裏側で何が起きているか、知っておくと対策が変わります。


📌 ChatGPTのショッピングカルーセルは「GoogleショッピングのAI窓口」だった

ソースコードに隠れていたGoogle Shoppingの刻印

発見の経緯は2025年11月にさかのぼります。AIリサーチャーのトム・ウェルズ氏ら複数の研究者が、ChatGPTのソースコードの中にある不思議なフィールドに気づきました。フィールド名は「id_to_token_map」。

このフィールドはBase64でエンコードされていましたが、デコードしてみると中に含まれていたのは「productid」「offerid」といったGoogleショッピングのパラメータでした。さらに、そのパラメータから実際のGoogleショッピングURLを再構成してみたところ、ChatGPTのカルーセルに表示されていた商品と完全に一致したのです。

これは偶然の一致ではないのか? そう問うてPeec AIのデータを使って実施されたのが、2026年3月5日にSearch Engine Landが発表した大規模検証です。

43,000商品で検証。83%がGoogleショッピング由来と判明

研究チームは5,000以上のChatGPTカルーセルから43,000件の商品データを取得し、それをGoogleショッピングとBingショッピングそれぞれ20万件超の検索結果と照合しました。カテゴリも家電、アパレル、美容、スポーツ用品など10業種にわたる多様なものです。

結果は衝撃的でした。

  • Googleショッピング上位40位との一致率:83%以上

  • Bingショッピングとの一致率:わずか11%

  • Bingにしか存在しない商品:全43,000件中わずか70件(0.16%)

Bingで見つかったほぼすべての商品はGoogleでも同時に見つかっており、「Bingだけ」の商品は事実上ゼロに等しかったのです。ChatGPTの商品棚は、ほぼ丸ごとGoogleショッピングの品揃えで構成されているということになります。

さらに詳しく見ると、Googleショッピング上位10位に入る商品のカルーセル占有率は約60%。8商品のカルーセルを埋めるのにGoogleショッピングの検索結果1ページ分で十分、という効率的な設計も確認されました。

ChatGPTが裏で走らせる「2種類のファンアウトクエリ」

この研究でもう一つ明らかになったのは、ChatGPTが内部で全く性質の異なる2種類の検索を使い分けているという事実です。

ひとつはコンテキスト検索。回答文(テキスト)を生成するためのもので、平均クエリ長は約12語と長く、1プロンプトに対して平均2.4回実行されます。Webページを幅広く収集して回答の根拠を組み立てる目的です。

もうひとつがショッピング検索。カルーセルに並べる商品を取得するためのもので、こちらは平均7語と短く、1プロンプトあたり平均1.16回の実行です。Googleショッピングに特化した検索で、商品の価格・在庫・画像などの構造化データを取得します。

この2つのクエリは98%以上の確率で異なるワードが使われており、目的がまったく別物であることが確認されています。「ChatGPTがBingで検索している」という従来の通説は、テキスト回答に関しては当てはまる部分もありますが、ショッピングカルーセルについてはGoogleショッピングへの依存が圧倒的という結論になります。

EC事業者・アフィリエイターへの実践的インプリケーション

この発見が意味することを整理すると、EC事業者・アフィリエイターにとって戦略的インプリケーションは明確です。

Googleショッピング最適化 = ChatGPTショッピング可視性という等式が成立するということです。ChatGPT向けに独立した最適化は不要で、Googleショッピングで上位に表示されれば、自動的にChatGPTのカルーセルにも入りやすくなります。

具体的なアクションとしては次のポイントが重要です。

  • Googleマーチャントセンターのフィード品質を上げる:商品タイトル、GTIN、説明文、高解像度画像をきちんと整備する

  • レビュー・評価を積み上げる:上位ランキング商品ほどカルーセルに出やすいため、評価数と評価スコアが重要になる

  • 構造化データ(スキーママークアップ)の整備:JSONLDでProduct、Offer、AggregateRatingを記述しておく

  • 鮮度管理:価格・在庫情報が常に最新状態であることがリアルタイムデータとしての信頼性につながる

逆に言えば、Googleショッピングで圏外の商品は、ChatGPTのカルーセルにもほぼ登場しないということです。

Trexはこう見ている

この調査を見て真っ先に思ったのは、「OpenAIはGoogleから独立しているようで、実は深く依存している」という構造的な皮肉です。

3/15号でお伝えしたACP/UCPの話では、AIエージェントがユーザーの代わりに商品を「選んで購入する」未来を紹介しました。今日の調査はその「選ぶ」プロセスの中身を暴いたわけです。ChatGPTが選んでいるように見える商品は、実質的にはGoogleが既に選別・インデックスした商品群の中から選ばれている。つまり、AIが「選ぶ」という行為の上流には、いまだにGoogleの評価軸が存在するということです。

20年のアフィリエイト経験で学んだことのひとつは、「変化の激しい時代でも、勝ち続けている人はプラットフォームの構造を理解している」ということです。ChatGPTという新しい面が現れたとき、「ChatGPT向けに何か特別なことをしなければ」と焦る気持ちはわかります。でも今回の調査は、その焦りが少なくともEC・ショッピング領域においては不要かもしれないことを示しています。

ただし、注意点もあります。この依存関係は現時点のものです。OpenAIが独自の商品インデックスを構築したり、Perplexityのような独自データを持つプレイヤーが台頭したりすれば、前提は変わります。Googleショッピング最適化を軸にしつつ、変化の兆しを観察し続けることが、この局面での正しい姿勢だと思います。

一方で、アフィリエイター視点でもうひとつ気になることがあります。ChatGPTがGoogleショッピングの結果を参照して商品を推薦するということは、Googleショッピングに出品していない商品やブランドは、AIショッピングという新しい流入経路からも除外されるリスクがあるということです。「Googleには出ているからOK」ではなく、「Googleショッピング(マーチャントセンター)にも出ているか」を確認するタイミングが来ているかもしれません。

それともうひとつ、個人的に面白いと思ったのは「OpenAIはGoogleの競合ではなく、Googleのユーザー」という逆説です。SearchGPTが登場した当初、SEO業界では「ChatGPTがGoogleの市場を奪う」という文脈で語られることが多くありました。しかし今回の調査は、少なくとも商品推薦という領域では、ChatGPTはGoogleのインフラの上で動いているに過ぎないことを示しています。Googleが27年かけて構築した商品データベースの上に、ChatGPTという「AIのUI層」が乗っかっている構造。これはビジネスモデルとして非常に興味深く、また脆弱性でもあります。OpenAIが本当の意味でGoogleから自立しようとすれば、独自の商品インデックスを構築するコストは膨大です。現時点では「共存」が最も合理的な選択なのでしょう。

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