BL作家やろうぜ!3つのお題小説・第5弾!
今回のお題は
「一年の振り返り」「マルチーズ」「ハミング」
3つのお題を入れた5000文字の短編を発表してるよ!
挑戦者さんいらっしゃ〜い!
前回から引き続き1番にエントリー「かし子」さん!2番エントリーは「時雨(藤宇)」さん!ちょっと迷って「市井へい」さんの3名様に・・・さらにもう1人😳
一吾(いちご)さんが参戦してくれました!!
バナナに牛乳で読める私の小説に対し、一吾さんの小説はイングリッシュティにジャムののったクッキーです。
キャンディの缶の中にそっと隠しておきたくなるような、愛らしさの中に少しスパイスも効いてます。
後ほど全員分のまとめ記事出すので読み比べしてください!
✴︎次回はお正月休みをはさんでダラけまくった後の1月20日(月)にお題発表させていただきます。
挑戦者のエントリーは、そちらの記事にお願いします。
以下、私の小説になります↓
小説のテーマ
テーマは「今」
プロ・バスケットマン、有時とカイの惚気話です。
現在・過去・未来、どの視点で物事を考えるか。
未来を見据える為に過去の記憶を使う考えの人は多く、そこで少し回り道をしてしまう。
でもしっかり過去を清算すると全てが現在になって未来を見れる、未来への近道になる気がする。
不安なく前に進む人は元々が「強い」でも「無鉄砲」でもなく、しっかりと過去の辛い事を清算しているから、強く時に無鉄砲になれるんだと思ってます。
今回のロスター
・事故物件住んでますプロバスケットマン・木村 リキ
・オカルト系YouTuberでリキの兄・木村 カイ
・常に鋭角を攻めるプロバスケットマン・宗谷 有時
Special thanks
・プロバスケット界初の世界大統領になる・大和 満
・木村家のポルターガイスト(?)
タイトルは「ゴースト」前編
お化けです。
読みどころは、初対面の有時とカイのボケにひたすらツッコむリキのスピードです。
今はスポーツ選手やチームもYouTubeチャンネルを持っている時代、舞台は木村家とチームの練習場です。
後編は、登場人物が泣いちゃう話なんでクリスマスにでも出そうかと思います。
同じお題で同じ5000文字、有時がお化けとカーチェイスするめっちゃラブストーリーです。
好みはあると思いますが、かなり凝った会話の応酬を仕込んでます。
補足として。
リキは小学生の時に全中(中学バスケの全国大会)の観戦に行き、たった3分出場の有時に憧れて同じ進路を追う事を決めるが、高校で父親を亡くす。
経済的理由で進学を諦めかけた時に、大学を辞めて自分の夢を応援してくれたのが年の離れた兄のカイ。
心が弱かったカイは、リキが無事にプロチームに入団すると、仕事を辞めてリキのマンションに引きこもってしまった。
てのも、全部長編で書いてたんですが、アプリの終了に巻き込まれて消えました🤣
消えるということは不完全だったんでしょう、気が向いたら書きたいですね。
本編「ゴースト」前編
『小太り系オカルトYouTuber!お化けブタ“パンチョ“の螺旋怪談〜!!今回のネタは〜……』
引きこもりからのYouTuberの流れって最近主流なんだって。
動かず、直接交流もせず、視聴率が取れれば金も承認欲求も手に入る、理にかなってるってやつか。
「カイさぁ、小太りは無理じゃね?」
晩飯中、大袈裟な表情と声で喋るテレビの中のカイを箸で指すと、編集作業を終え、好物の雪見だいふくを共食いのように頬張るカイに「行儀悪い」と手を叩かれた。
「リキ、お前はバスケ以外の事を本当に分かってねぇな、今はルッキズムっつってな、見た目をとやかく言っちゃいけないんだ」
「それは知ってっけど、それを盾に数字誤魔化すのはどうなん?」
「お前だって身長サバ読んでるだろ」
「バ、こ、これは戦略の一つなの!カイこそバスケ分かんねぇクセに口だしすんなよ!」
俺がバスケのプロチームに入団したのを機に、突然仕事を辞めたカイがマンションに転がり込んで6年目。
入団2年目までは正直、2人分の生活費がキツくて追い出したくもなった。
でも父ちゃんが早くに死んで、カイと母ちゃんが働いて俺にバスケを続けさせてくれたお陰で今があるし、俺の為に自分の生活を我慢してくれてた事を思うと何も言えなかった。
感謝はしてる。
とは言え、1年前、引きこもりすぎたカイの体重が130kに到達、限界を感じた。
俺も日本人ビックマンを張れる2m6㎝(公式)普通に体重も100は超える。
気がついたらマンションが驚きの狭さ、例えるならマルチーズの小屋に住むゴールデンレトリバー2匹。
広いマンションに引っ越したいけど、器をデカくしたら中身もさらにデカくなる不安もある。
悩める俺に今季から在籍しているビリーバーズから移籍の声がかかった。
キャリアプランに契約内容はあったし、年俸がよくなる、合意と共に引っ越しを決意。
この頃の俺はカイとわざと生活時間をズラしてた。
理由や原因があって引きこもってんのは分かるけど、堕落していく兄が恥ずかしくて見ていられず、部屋の隅でやたら存在感を放つ幽霊みたいに扱った。
いるけど、いない者。
兄と呼ぶのが恥ずかしいけど置いてはいけない。
引越しの相談がてら、ビリーバーズに在籍していた同期の満に話してカイを見せると、満は眉を吊り上げて俺の胸ぐらを掴んだ。
「無視すんな」
ポイントガードの満はポジション上、試合中は先輩にも指示を出さないといけない。
175㎝の身長で当時U18にも選出された満を「生意気」と言って先輩はコート上で満を無視し、幽霊みたいに扱った。
その経験から俺に蔑ろにされるカイを見過ごせなかったのだ。
「人がされて1番傷つくのは無視される事だ!」
俺を怒鳴って突き飛ばし、怯えるカイに向き直ると「いい贅肉してんじゃん!白くてぽちゃっとしてるから、今日からパンチョだ!」とカイにあだ名をつけ、ボヨンと腹を叩いた。
ちなみに満は「世界大統領になって人類からくびれを抹消する」野望を抱えたデブ専、2人の相性は抜群すぎた。
この一件から、カイは満という無二の友人に手伝ってもらい、YouTubeを始めた。
心霊スポットには逆に行かない、デブならではの開き直った売り方が潔いらしくなんだか人気である。
更に驚くことに、俺のチームのYouTubeとコラボ怪談まで決まった。
「年末に怪談かよ?」
「年末といえば怪談だ!アスリートは遠征も多いし、学生時代の夜練とかネタが多い!他に差をつけれる」
「キャスティングは?」
「リキと満で決定した。初回だからエースの満は必須、弟のリキと俺のギャップも面白いだろ!」
「オカルトなのに面白さ追求すんなって。んで、撮影は練習場?」
「そう。歩きたくないからうちのリビングでって言ったけど、リキのプライベートが出る恐れがあるから駄目だってよ」
「そりゃ俺は一選手でタレントですから?」
ぶほっと雪見だいふくの白い粉をカイが飛ばす。
「お前も一丁前言うようになったな!でもよ、弟の職場を見れるのは嬉しいぜ!」
最近は昔より明るくなったカイが、時々吹かす兄貴風が俺はちょっと嬉しい。
「いや〜でも、生の宗谷有時は会ってみたかったなぁ」
「ブッ…!」
「アジア予選見たか?95得点中21得点1人でとったんだぞ!」
咽せたせいで飯粒が鼻に入り、咳き込んで俺は茶碗を置く。
その宗谷有時は俺の恋人です。
言えない。
付き合って5ヶ月、一度も家にも呼んでない。
カイが24時間家にいるからスケベはおろか、ドスケベも出来ない、だから俺がずっと有時さんの家に押しかけて超ドスケベをするスタイルを貫いている。
それもあるけど。
「あ!テレビ消えた!おい〜試聴中はやめてくれよぉ〜」
「コンセント一回抜くわ」
実は我が家は定期的にポルターガイスト現象が起きる事故物件なのだ。
オカルト系YouTuberたるもの、事故物件くらい住んでないと箔がつかない!と満とカイが結託して契約しやがった。
家賃が安いのは正直助かる。
でも、家賃払う俺に選ぶ権限があるんじゃねぇの?
まぁそう言うわけで、スケベの真っ最中に扉でも開こうもんなら大惨事。
俺はカイがYouTuberとして食っていけるまで事故物件住みますバスケットマンを続けながら、家では1人エッチをするしかない生活をしているのだ。
撮影当日、選手が体育館からハケるとチームのYouTube班とカイが打ち合わせを始めた。
久しぶりの朝練で早く帰れる予定が、これは長くなりそう。
撮影なかったら有時さんとこ行きたかったな。
練習の汗を流してすごすごロッカールームに戻ると、鼻歌混じりの有時さんがドライヤーで髪を乾かしていた。
「ゆ…」
気付いてない。
こそっと入り口すぐのベンチに座って、綺麗に刈り上がった後頭部を眺めながら聞き耳を立てつつ、ペットボトルの蓋をひねる。
有時さんはよく鼻歌を歌う。
一晩過ごして朝飯の準備をしていると、いつもリビングから有時さんのご機嫌な鼻歌が聞こえる。
これがわざとかよ?ってくらい大きい鼻歌でおかしいのよ!
ご機嫌ですよ?嬉しいですよ?って気持ちがボリュームになって、音楽の時間のハミングみたいになってて、俺はキッチンで1人なのに歯を見せて笑っちゃう。
聞こえてるよ?嬉しいですよ?って俺も歌詞をのせて返す、甘やかな時間。
いつもみたいに返したいけど、ここは職場だからしゃーなしで口笛で参戦。
廊下で聞いてたスタッフが笑いながら「2人の鼻歌コラボSNSに出していい?」とスマホを向けたから、指でバツを作って追い払う。
スタッフが離れたタイミングで、有時さんが右手から左手にドライヤーを持ち替え、俺の口笛に気がついた。
首の後ろがほわっと赤くなる。
手が触れてるわけでも、見つめて愛を囁かれたわけでも、ベットで肌を擦り合わせるわけでもないのに、愛しくなる。
うまく言えねぇけど、こんなとこが好きなんだよなぁ。
初めて有時さんを見たのは全中の地方予選大会、そっから長く見つめてきたもんだ。
ずっと長い間俺の中にいて、そんでやっとここ最近、今度は俺がこの人の中に入れた気がする。
最近思う。
この人の隣で年をとりたい。
付き合っているのに「いない者」みたいにしたくない。
一緒に生きたい。
だから、父ちゃん代わりのカイにしっかり紹介してお、
「おいリキ〜体育館の空調ってこれ以上どうにもならないのか?」
……せっかく良い感じだったのに、ふうふう言いながら汗びっしょりのカイのがムードをぶち壊して入ってきた。
「ここはマッチョばっか!デブいねぇの!マッチョは意外に寒がりなんですぅ」
やる気を削がれてガキみたいに大声で返事したら、有時さんがドライヤーを止めて振り向いた。
手櫛で髪を整えながら、小料理屋の女将みたいに小走りでカイが覗いている扉の前に向かう。
「あの、私……」
「うおっ!すげぇ!宗谷有時ってマジで実在したんだ!」
急なビックゲストにカイの脂肪が揺れる。
やめろ、テレビで見るもの全て架空と思ってる人みたいな顔。
「はい、33年前から存在しております」
いいから、有時さん、真面目に取り合わないでいいから。
「冗談冗談!初めまして!兄のカイです!弟がバカでいつもお世話になってます!いやぁ、充時君とは何度か会ったけど、ほんと似てないですね!」
確かに。でも後頭部がそっくりなんだよな。
「ハハハ!確かに!でも後頭部がそっくりなんですよ」
ほら、と嬉しそうにくるっと後ろを見せる可愛い俺の有時さんと、クリームパンみたいな手をむちむち叩いて喜ぶカイ。
なんだ、この独特の空間は。
「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。充時や満から話は聞いていましたが、本当に、あの、柔らかくて大きいですね」
嘘は吐かないスレっスレの誠実さで勝負するな、有時さん。
「雪見だいふくのCMのオファーがきた時の為にキープしてます!」
「出演は大福役で?」
おぉ、初対面の恋人の家族にそんなインコース攻めるか?
「いかにも、大福役です!」
キリッとすな。そんな顔の会話じゃねぇよ。
「そうだ!宗谷選手サインください!」
笑顔で対応する有時さんにカイが躙り寄り、カンボジアの木の根に飲まれる寺院みたいに脂肪に飲まれていった。
鼻息で有時さんの前髪が揺れ、そんなのお構いなしのカイが俺を呼ぶ。
「なぁリキ、リキ!」
「…ァんだよ」
「宗谷選手いいにおいする〜」
知ってる〜。
「スゲェ筋肉!触っていいですか?」
「どうぞ」
この有時さんの「どうぞ」は、サインできました、はいどうぞの「どうぞ」だったようで。
突然カイに胸筋を掴まれてカツーンッと床にペンを落とした。
「あ、意外と柔らかい」
モミモミされながら有時さんはゆっくり微笑みを作り、カイの手にやんわり抵抗する。
「あら、カイさんったら大胆」
「いい体してるからつい!」
「だからって、さては甘えん坊ですね?」
「やは!見抜かれちった!」
俺は何を見せられてるんだ。
てか。
俺も有時さんとの初対面で1番に胸筋触ったな。
初めてのチューの時も無意識に触った。
恋人の胸を実兄に揉まれながら、更に手の出し方が俺と同じで血を感じる瞬間の同時上映、正直しんどい。
有時さんも同じことを思ったのかこっちをチラ見。
「やっぱり兄弟ですね、リキと行動が同じ」
でもいけません、と距離をとった有時さんに、カイが真顔で詰め寄る。
「勘違いしないでください!リキはおっぱい星人ですが、俺はおっぱい紳士です!」
突然の小学生みたいな発言に2人で間を置いて大笑い。
平和やけどもうええて。
最終打ち合わせにカイが去って行き、2人きりに戻った。
自分達の関係は伝えられなかったが、初対面はまずまずだったと自己評価していると。
「ねぇ、リキ」
廊下の足音に聞き耳を立てていた有時さんがくるっと振り返り、顔を近づけた。
「今晩、来る?」
「へ?遅くなるから家帰るよ?」
「そうか。無理はさせたくないんだけど、無理をさせてでも一緒にいたい夜ってたまにない?それが今夜なんだけど」
「!」
「でも、明日も会えるしね」
いつものトートバックを肩にかけて車のキーとスマホをスウェットのポケットに入れると、俺にトンっと肩をぶつけ、普段はあまり多く話さない有時さんが時間を惜しむように言葉を早める。
「俺がドライヤーをしている時、リキ口笛でハモってきたでしょ?」
「はい」
「あの時ね、すごく…っ」
慌てて片手で口を押さえて言葉を切った。
ここは職場のロッカールーム、プライベートではない。
けど、
「良くないね、職場でこうゆうのは」
「あ、そ、そうっすね」
聞きたいです。
「でも今日は言う。俺にはリキが必要だって思った」
視界がグラッとする。
あ、俺。ダメかもしんない。
「それで今晩は一緒にいたくて。でも、まぁ。お預けだね」
突然の愛の言葉は膝にくる。
俺の膝関節はぐにゃぐにゃになった。
這って体育館になんとか入ったけど、グダグダすぎてYouTubeの撮影は後日になり、床を叩いて悔やんだ。
帰宅してすぐにベットに転がり、風呂に入ったカイに「有時さんと付き合ってる」と打ち明けようか悩んでゴロゴロしてたら、それに合わせてパキパキとラップ音が鳴った。
「一緒に住んだりすんのかな」
俺を必要と言った時の有時さんの声、喜んでた。
幽霊みたいにすり抜けて今すぐ会えたらいいのに。
「事故物件住んでる場合かよ!」
年が明けたら契約交渉。
一年を振り返ってる暇があったら、有時さんと一年でも長く生きる道を探そう。
有時さんのいないキャリアなんて考えられない。
野暮な後書き
まさか。
お題にある「一年の振り返り」をリキが拒否しました。
本当は、YouTube撮影で「内容がアスリート目線すぎる怪談」と「奇怪現象でなく、天然発言で放送事故起こす怪談」のギャグを書く予定が、文字数の関係で止む無くラブストーリーになりました。
悔しい。
いや、BLやからこれであってる。
25日にも後編を出すので読んでください。
合わせて読むと2人のズレが顕著に現れます。
クリスマス以降はアドベントカレンダーも終わってしまうし、ゆっくり書きたいな。
