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TRUNK #046 蒔いた種を、世界中が拾っていった 新型エルグランドと、ジュークが先取りした上下分割の文法

蒔いた種を、世界中が拾っていった

新型エルグランドと、ジュークが先取りした上下分割の文法

16年ぶりのフルモデルチェンジ

2026年7月16日、日産は16年ぶりのフルモデルチェンジとなる4代目エルグランドを発売した。デザインコンセプトは「The private MAGLEV」――個人用のリニアモーターカー。ノートやアリアと同じ「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」という言語で組み立てられており、ここ数年で確立してきた日産の外装アイデンティティが、そのままフラッグシップにも受け継がれている。

フロントグリルはクロームメッキを一切使わず、日本の伝統工芸「組子」をモチーフにした意匠だけで存在感を出す。日本庭園の"間"(広い面の余白)と"整"(緻密なディテール)というコントラストを取り入れたというサイドパネルの構成、そしてリアエンドの"く"の字に折れ曲がったDシェイプ――担当デザイナーいわく、車が走り去った後も長い余韻が残るようにと考えられた造形だという。エクステリアに関しては、行き当たりばったりの意匠変更ではなく、ブランド全体の言語の上に乗った一台であることがよくわかる。

エルグランドが20年前にやっていたこと

だが、エルグランドの顔つきについては、もう一つ指摘しておきたいことがある。エルグランドは、フロントの上下2段構成というレイアウトの先駆けだった。2代目E51型(2002年)の時点で、すでにグリルとヘッドライトを上下に分割する構造を採用していた。今でこそ「上段に細いシグネチャーランプ、下段にメインライト」という顔つきは、SUVを中心にどのブランドでも見かける定番の構成だが、エルグランドはそれを20年以上前からやっていたことになる。

ジュークが世界に広げた文法

この文法を世界規模でブレークさせたのが、2010年のジュークだ。ボンネット上端の細いスラッシュ状のランプがポジション・ウインカー、バンパー両端の丸いランプが実は本来のヘッドライトという、当時は「どっちがヘッドライトなの」と話題になった構成。もっとも、これは奇抜さを狙った結果ではなく、すれ違い用前照灯の取り付け高さを1.2m以下とする保安基準の制約から生まれた、いわば苦肉の策だった。狙って崩したのではなく、法規と造形がぶつかった先にできた顔だ。だが結果として、この上下分割の構成は従来のクルマの顔つきを塗り替え、後にメルセデス・ヒョンデ・シトロエンといった面々が採用する分割型ライトの潮流を、10年以上先取りする存在になった。

狙わずに蒔かれた種

エルグランドが蒔いた種を、ジュークが世界中に広げた格好だ。しかも、その種は狙って蒔かれたものではなく、法規制約という外的な制約の中から偶然生まれたものだった。trunkというのは、必ずしも一貫した意志の産物とは限らない。制約に押し出される形で生まれた答えが、後から振り返れば一番影響力のある文法だった、ということもある。

新型エルグランドでグリルからシグネチャーランプへ連続する組子の意匠を選んだのも、この上下分割という自分たちの文法の延長線上にある。流行を追いかけたのではなく、自分たちが20年前から蒔いていた種に、今の技術と素材で答えを出し直した格好だ。

あなたの好きなブランドの「今の顔」は、どこまで遡れば、その種の蒔かれた瞬間に辿り着くだろうか。

#TRUNK #日産 #エルグランド #ジューク #デザイン #自動車デザイン

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